正しい知識で手洗い・うがいを効果的に

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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風邪の予防は何といっても「手洗い・うがい」
これに勝るものはありません。
みなさんも何となく手洗いやうがいをされているかと思います。
せっかくやるなら正しい知識でやってみませんか?

ここでは、手洗い・うがいについて、よく誤解されていることをまとめてみました。

 

1.手洗い・うがいのよくある誤解

正しい手洗い・うがいの知識をご紹介するべく、よくある誤解をまとめました。

手洗い・うがいは風邪の予防にとても大切です。よくある誤解をそれぞれ3つほどあげてみました。

これらをみて「むむむ???」となった方は、ぜひ以下をご確認ください。

 

2.正しい手洗いの方法

まずは手洗いからです。せっかくやるなら正しく手洗いをしましょう。

 

2-1.アルコール消毒より手洗い

アルコールではやっつけられないものもあります。理想は手洗いのあとにアルコール消毒です。

最近はいろいろなところでアルコール消毒が置かれるようになりました。アルコール消毒は手軽にできてとても便利です。ですが、アルコール消毒をしていれば大丈夫かというと、そういうわけではありません。

例えば、冬の下痢・嘔吐の原因として有名なノロウイルス。こいつはアルコールではやっつけることができません。塩素系の消毒剤でなければ効果がないのです。手洗いをしっかりすれば、予防ができます。なんといっても手洗いが最強なのです。

一番の理想は、手洗いのあとにアルコール消毒です。

医者は手術の前に手洗いを念入りに行います。まずはゴシゴシと手洗いを肘まで行います。おわると、無菌ガーゼで拭いてアルコール消毒をしています。そのあとにガウンと手袋をつけて、よくドラマなどで出てくる手術の姿になります。

 

2-2.洗剤はつけてから効くまで時間が必要

しっかり泡を立てて、最低30秒、1分が理想です。

洗剤を手に着けたらすぐに消毒・殺菌されると勘違いされている方が多いです。これは大きな誤解です。効果が出てくるまでには時間がかかります。最低15秒~30秒はかかりますが、理想を言えば1分はしっかりと洗っていただきたいです。

また、泡をしっかりと立てて洗いましょう。洗剤の効果は、界面活性剤がウイルスや細菌の脂溶性の細胞薬を破壊することにあります。泡がたっているのは、界面活性剤がしっかりと働いている証拠です。

 

2-3.洗いもれに注意

手の甲や指のまたを忘れないようにしましょう。

手洗いをしっかりと行っている方でも、洗う場所を意識的に行わないと、洗いもれが出てしまいます。手の甲や指のまたが疎かになってしまうことが多いです。

ですから、手洗いは順番を決めて行っていく方がよいです。以下の資料を参考にして、手洗いをおこなっていきましょう。

手洗い資料(日本食品衛生協会より)

 

3.正しいうがいの方法

手洗いをしたらうがいをしましょう。387名の方を対象にした京都大学の研究では、水うがいをすると、風邪発症率が40%低下したとでています。

 

3-1.まずは口をすすぐ

人の口の中は細菌でいっぱいです。

みなさん、いきなりうがいをはじめていませんか?
実は口の中は細菌がたくさんいます。口の中の細菌の多さは、人>犬>猫といわれています。

夜間救急をしていると、たまに人に噛まれた人がきます。酔っ払いのケンカだったり、奥さんに噛まれたり・・・理由はともかく、感染をしっかり考えて治療しなければいけません。

ですから、うがいをする時はまずは口をしっかりとそそぎましょう。

 

3-2.イソジンは効果が乏しい

緑茶>機能水=塩水>水道水>イソジンの順に有効と考えられています。

うがいにはイソジンが昔からよく使われてきました。ですが最近、イソジン(ヨード)は効果が乏しいといわれています。

上述したとおり、口の中にはたくさんの細菌が住んでいます。実はこれは、マイナスなことばかりではありません。もしバイキンがやってきても、先住菌がいると肩身が狭い思いをします。のびのびと繁殖ができなくなります。この先住菌のことを常在細菌叢と呼びます。イソジンは口の中の菌を一気に殺してしまうので、あまりよくないとすらいわれています。風邪をひいてしまった時の消毒効果はあるかもしれませんが、風邪の予防効果はないといわれています。

上述した京都大学の研究では、水うがいでは風邪発症率が40%低下しましたが、イソジンでは12%にとどまりました。

 

また、福岡で145の保育施設2万人あまりの2~6歳の子供を観察した研究があります。その結果としては、発熱がうがいによって下がったことが示されています。この研究でおもしろいのは、うがいに、水道水・機能水(アルカリイオン水やオゾン水)・塩水・緑茶を使っての違いを比較しています。

 

方法 n(人) 発熱のオッズ比 欠席のオッズ比
うがいせず 3736 1.00 1.00
水道水 14190 0.70(0.58-0.85) 0.94(0.86-1.04)
塩水 173 0.50(0.22-1.12) 1.12(0.80-1.59)
緑茶 407 0.32(0.17-0.61) 1.12(0.90-1.40)
機能水 306 0.46(0.24-0.86) 0.98(0.77-1.25)

Gargling for Oral Hygiene and the Development of Fever in Childhood: A Population Study in Japan
J Epidemiol. 2012; 22(1): 45–49より改変

 

欠席に関しては差が出ませんでしたが、発熱に関しては、緑茶>機能水=塩水>水道水>イソジンの順で効果が出ています。(塩水は統計的には誤差が大きく、有意ではありません。)

 

3-3.のどの奥を意識して

「オ~」と声を出しながら、のどの奥を意識すると効果的です。

うがいをする時に、声をだされることも多いかと思います。ですが、声をだせば効果がよいというわけではありません。一番大切なのは、のどの奥のほうまでキレイにすること。ですから、のどの奥を意識すると効果的です。声を出すならば、「オ~」とすると、のどの奥まで水が届きやすいです。うがいの時間は特に気にせず、適度におこないましょう。

 

まとめ

手洗い・うがいの正しい方法を、よくある誤解を元にまとめました。

社内啓発用資料:みなさん誤解していませんか?手洗い・うがいの正しい知識

(ぜひご活用ください)

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