書くことがメンタルヘルスに効果的な理由とおすすめの方法

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ストレスを1人で抱え込んでいると、心がどんどん重たくなっていきます。ストレスを抱え続けるとうつ病や不安障害などの精神疾患の引き金になることがあるので、ストレスを対処する方法を身に着けていくことがメンタルヘルスに大切です。

パーッと憂さ晴らしで発散…というのも1つの手ですが、それは一時しのぎに過ぎません。問題は解決できないままですし、毎日忙しい人はそうそう時間も取れません。アルコールや食べ物で発散させるのは、健康を害して問題を深くしたり、クセになると依存症をまねいたりする恐れもあります。

1人で、お金や時間をかけず、場所を選ばずできるストレスの対処法として、「書くこと」がひとつの方法になります。ストレスへの対処法として、すでに精神疾患で治療中の方も含めて、試してみてください。予防的な意味合いだけでなく、治療をより効果的にしていくこともあります。

ここでは、「書くこと」のメンタルヘルスに効果的な理由とおすすめの方法をご紹介します。特定の心理学的な技法というわけではなく、ストレス対処法(ストレスコーピング)としての「書くこと」についてご紹介していきたいと思います。

 

1.ストレスがどうして問題となるのか

ストレスは決して悪いものではありません。ストレスを抱え込んでしまうことが問題です。ストレスを受けているのに感じられていないことも問題です。

嫌なことがあったりモヤモヤしたり、腹が立ったり悲しい気持ちになったり、やりたくないことをしなければいけなかったり。生きていれば、誰しもストレスを避けることはできません。

しかしストレスというのは、実は悪いばかりのものではないのです。ストレスを感じることで様々な問題に気づけたり、自分を成長させる糧になったりもするため、まずは「ストレス=悪いもの」という考えを止めましょう。

ストレスそのものが悪いのではなく、1人で抱え込んでこじらせてしまうことが心の負担になります。「ストレスを抱えている」ということにさえ気づけない場合は、もっとやっかいです。自覚が無いまま無理に頑張り過ぎてしまい、ある日突然糸が切れたように、うつ状態におちいってしまうケースもあります。

ですので、「ストレスを感じる」のは悪いことではありません。上手く対処できる方法さえ身につければ、ストレスは怖いものでは無くなります。

ストレスは、「感じて外に出す」ことで、ある程度軽くすることができます。形にして外に出すことで、自分自身のストレスが整理されます。外に出してみて、はじめてストレスを感じるということもあります。ストレスを感じていればもちろんのこと、そうでなくとも「外に出すこと=外在化」をすることは大切です。

その手段としては、

  • 自分の気持ちを話す
  • 自分の気持ちを書く

の2つがありますが、相手を必要としないで日常的に行うのなら、「書くこと」が向いています。その理由を次でご紹介していきたいと思います。

 

2.「話すこと」と「書くこと」の違い

ストレスを外に出す方法として、「話すこと」を選択する方は多いと思います。もちろんそれも、有効な手段の1つです。しかし、これには欠点もあります。「話すこと」と「書くこと」の利点と問題点について、それぞれ見ていきたいと思います。

 

2-1.「話すこと」の効果と問題点

相手がいるということがメリットにもデメリットにもなります。気持ちが落ち込んでいるときは、自分の感情を相手に投影しやすくなります。また、相手から言われたことによって、自分のストレスを抑圧してしまうこともあります。

書くことと比較しての話すことの利点としては、相手がいることです。

相手によって新たな発想が生まれ、思わぬ解決策が見いだされたり、相手に癒され気持ちが落ち着いたりすることもあります。

なにより、相手に共感されて承認してもらうことで、ストレスは大きく軽減します。ですので、話すということはとても大切なことではありますが、一方で問題も生まれやすいです。

まず、基本的に相手が必要ということです。ペットやぬいぐるみ相手に話すこともありますが、多くの場合は人に向かって話します。こうなると、いくつかの問題点があります。

  • 自分の都合だけではできない
  • 話すと感情がエスカレートすることがある
  • 相手の反応次第では、ストレスが増す恐れがある
  • 人に話したことで話がこじれることがある

順番にみていきましょう。

①自分の都合だけではできない

相手が必要なので、自分の話したいときにいつでもというわけにはいきません。「今すぐこの気持ちを処理したい!」と思っても、誰もつかまらない場合があります。

会話には相手がつきものですから、自分の都合だけではできないことが多いです。いつでもすぐに相談できるような人間関係はなかなか作れないですよね。

②話すと感情がエスカレートすることがある

落ち着いて話しだしたつもりでも、しゃべっているうちに感情がエスカレートし、怒りや悲しみをあおってしまうことがあります。

投影という心理的な働きが影響することもあります。投影とは、自分自身の心の状態や考え方を相手に移してしまうことです。

簡単な例でいえば、気持ちが落ち込んでいるときは物事が暗く見えてしまったりします。同じ物事があっても、気分が良ければ明るく見えますね。このように人は、自分自身の感情を相手に移してしまいます。

相手にその感情をうつしてしまうと、それをうけとる相手もムッとしたりします。その結果、感情がエスカレートしてしまうことがあります。

③相手の反応次第でストレスが増す恐れがある

カウンセリングのように、相手が一方的に自分の話を受容してくれた上で考え方を整理してくれるとは限りません。友人などの関係では、相談しても相手もそれに反応します。

愚痴を聞いている相手が、自分の思い通りの反応をしてくれるとは限りません。話を遮られたり、反対意見を言われたりすると、自分自身の考え方を抑圧してしまうこともあります。その結果、よけいにストレスが増すこともあります。

④人に話したことで話がこじれることがある

現実的な問題として、人間関係がこじれてしまったり、仕事や学校などの社会生活に影響してしまうこともあります。

例えば、誰かに対する人間関係の悩みを親しい友人に話したとしましょう。言葉に出してしまったことは相手を通じ、外へ広がっていかないとは言い切れません。それが思わぬ誤解を招き、現実的に話がこじれてしまうこともあります。

 

このように、話すことは時に後悔してしまうことがあります。特に自分自身が大きなつらさを抱えている場合は、うまく相談することができなくなってしまいます。

できれば、そこで話したことは外には漏れないという絶対の安心感の元で、カウンセリングを定期的に受けていくことが望ましいです。カウンセラーならば、例えば投影されてムッとした感情をクライアントにぶつけず、その感情を心理学的に見てカウンセリングに生かします。

しかしながらカウンセリングは、自費になってしまいます。ですが、第三者で心理的な素養のあるカウンセラーに話を聞いてもらうことは、自分自身の内面を整理することにつながります。

 

2-2.書くことの効果と問題点

相手がいないために、書くことで冷静に整理することができます。書くことにより整理することで、相談もしやすくなります。

ストレスを話すことの利点と問題点をご紹介しましたが、一方で「書くこと」は相手がいないため、話すことの問題点をカバーしてくれます。そのかわり自分1人で向き合うので、視野が狭くなってしまうのが欠点です。

そのため一番いいのは、日常的に書く習慣を持って自分自身で気持ちを整理する術を身につけ、その上で、誰かに話したいことは口に出して相談をしてみるということです。

愚痴と相談では、同じ話すでも大きな違いがあります。相談は、ある程度自分自身で気持ちが整理されていないとできないからです。その整理のために必要なことが、「書くこと」です。この利点は、

  • 一人でできる
  • 時間や場所を選ばない
  • 相手の思惑を気にせず好き放題書ける
  • 外にもれることがない
  • 自分が冷静になれる
  • 記録が残せる

話すことは相手がいないと無理ですが、書くことなら一人でいつでもできます。また、書くという動作に集中することで感情が切り離されて、冷静になります。

自分一人が見て、残したくなければ処分すればすむことなので、相手を気にせず好き放題書けます。冷静になった後で、あらためて振り返ってみることで自分の変化の確認にもなります。

そして手軽なわりに、意外なほど大きな心理的効果を与えてくれるのです。

 

3.書くことで得られる心理的効果

書くこと自体に意味があり、それだけでストレスから離れることができ、形にして吐き出すことができます。そして客観的にみつめやすくなり、視野が広がります。記録に残ることで、認知の修正にも役立ちます。

それでは実際に、自分の気持ちや感じているストレスを書くことでどのような効果が得られるのでしょうか。書くことで得られる心理的効果についてみていきましょう。

「書く」行為自体が、ストレスから注意をそらす

まず、「書く」という行為自体が意味を持っています。

いろいろなことを考えてしまい反芻することは、うつや不安を悪化させてしまうことが分かっています。目の前のことに注意をむけることで、自然と考えが消えていきます。

書くという行為自体が、思考の中で作り上げる絶望的な世界から離れて、目の前のことに注意しようとすることにつながります。「書こう」と考えその作業にうつった時点で、まずは一歩冷静になれているということになります。

吐き出すことで気持ちが落ち着く

そして次に、心の中にとどまったモヤモヤを言語化すると、そのモヤモヤが外に形となっていきます。まずは何でもいいのです。はじめからまとまった文章にしようとすると、上手くいきません。

誰かに提出するレポートではないので、「ムカつく!」でも「何がかわからないけどモヤモヤする!」でも、愚痴や文句でも、とにかく思うままに書いてみましょう。このようにして形にすることで、気持ちが少しずつ整理されていきます。

自分や事実を客観視できる

実際に書いてみると、「あ、自分ってこんなことでムカついていたのか」と、少し自分を客観的に見ることができます。軽いものだと、その時点で気持ちがおさまっていくこともあります。

心の中で抱え込んで、頭で悶々と考えているとだんだん大きくなってしまいます。いざ書いてみると、「なんだ、こんなことだったのか」と解決してしまうことがあります。

書いてみても全然スッキリしない、むしろもっとモヤモヤすると言った場合は、自分でも気持ちの整理がついていないということです。

そのときは一度少し落ち着いて、自分の気持ちを振り返りながら書くようにしてみましょう。

④視野が広くなる

自分の中だけで悶々としていると、どんどん視野が狭くなり、本来の事実が見えなくなってしまうことがあります。

何かの出来事や他人とのやり取りについてモヤモヤしている場合は、自分の気持ちだけに焦点を当てず、起こった事実や人の言葉を、そのまま書き起こしてみましょう。

書いているうちに、「あれ?本当にこんなことを言われたっけ?」「もしかしたら、自分が誤解してしまったのかも…」と、感情的になっていたがあまりに、認識が歪んでいたことに気づける場合があります。

また、絶望的に思えていたことも、書いて文字で冷静に振り返ってみると、思わぬ方向に解決策を見いだせることがあります。

⑤記録が残り、自分を振り返ることができる

書いたことは、記録に残すことができます。

とくに精神疾患で治療中の方の場合は、記録が大きな助けとなります。治療には、必ず波があるものです。調子が良くなっているとしても、少し悪い波が来ると、「全然良くなっていない」「悪くなる一方だ」のように、絶望的な考えが浮かんでしまうものです。

また反対に、「先月はもっと元気だったのに」と、自分がどんどん悪くなっているような錯覚をおこしてしまうこともあります。人の記憶は、思っている以上にいい加減なものです。

そんな時に自分の書いたものを客観的に振り返ることで、いい変化に気がつけたり、前向きなときもあったことに気づくことができます。自分の調子に点数をつけてグラフにしてみると、より変化がわかりやすくなります。

体調や出来事だけでなく、食事の具合いや天気でさえ影響を受けることがあります。気持ちの波は様々なものによって変動し、それは健康な人でも同じです。雨の日には落ちこみやすいなどは、めずらしいことではありません。

そのような治療や感情以外の記録も書いておくことで、より客観的に自分を振り返ることができます。このようにして、認知の修正に役立つこともあります。

 

4.「書くこと」はどのような方法

「書くこと」がスムーズにできない方は、まずは「書く」という行動を、どんな形でもよいので始めることが大切です。

ストレスコーピングとして「書くこと」について、その具体的な方法についてみていきたいと思います。

いざ書こうとしても、「どう書いていいのかわからない」「書くことが苦手」そんな方も多いと思います。また、「書くとよけいイライラする」「全然効果が感じられない」などと感じる場合もあるかもしれません。

そこで、少し書きやすくなり、効果が感じられやすい方法をご紹介します。

ただ、ここでご紹介しているのは、特定の精神疾患に対する認知行動療法などで用いるような技術的なものではありません。あくまで、ストレスコーピング(ストレス対処法)としての「書く」方法をお伝えしていきます。

また、どのような書き方が向いているかは、それぞれの方の性格や状態によっても違います。色々と試して、自分に合った方法を探す参考にしてみてください。

①言葉が出てこないとき

いざ書こうとしても、全然言葉が浮かんでこないときがあります。そういうときは無理をする必要はありません。

ただ、言葉が出てこないのは、最初から上手く、核心をついたことを書こうとかまえてしまっている場合があります。何も出てこないときは、「何も出てこない。スッキリしない。嫌だ」そんな風に、自分のそのままを書いてみてください。

ひと言でも書くことで、目には見えなくても、必ず何かの動きが心におこります。言葉が出てこないときは無理に探さず、とにかく手を動かして何かを書いてみる…それだけでも十分です。

また、どうしても気がのらないときは、止めておきましょう。できる範囲で少しずつはじめていくのがポイントです。

②文章が苦手な場合

書くことがとにかく苦手…そんな方も多いですよね。

その場合は、話し言葉で書いてみてください。誰かに話すようなつもりで、耳に入った言葉をそのまま書き起こすイメージです。

また、長い文章は疲れます。単文で区切って、「こんなことを言われた。腹が立つ。悲しい」など、子どものような文でもいいのです。作文やレポートではありません。構えず、自由なスタンスで書いてみましょう。

③マイカウンセラーをつくる

書きやすく、さらに癒しの効果を高める方法として、マイカウンセラーをつくるのもおすすめです。

「アンネの日記」をご存じでしょうか。過酷な逃亡生活の中で、日記帳を親友に見立て、語りかけるような文体で書かれた少女の日記です。

誰しも、自分に優しくよりそい、話を聞いてくれる人が欲しいと願うことがありますよね。それを、自分の中につくりあげるのです。これにはダブルの効果があって、書く自分と話を聞いているスタンスの自分が分かれ、客観視の力が養われます。

慣れてきたら、マイカウンセラー側の言葉も入れ、会話形式にしてみましょう。自分自身の気持ちによりそい、それに対してどのような言葉をかけてあげたらいいかを探します。

その作業は、自分自身の感情をコントロールする練習にもなりますし、自分自身を否定せず、優しく接する心を育てることにもつながります。

精神疾患にかかる人は、自分に厳しく自己肯定感の低い方も多いです。一方的に書くだけではなく、自分の言葉を優しく受け止めてみるのも有効な手段です。初めは上手くできませんが、やっていると次第に慣れていくことができます。

④スマホやパソコンの活用

最近は手書きをする機会も減っていて、そもそも文字を書くのが苦痛という方もいます。手書きの方が手軽にできない分、しっかりと意識して向き合うことになるのでよいかと思います。ですが、スマホやパソコンならば気軽にできる方もいるでしょう。

とくにスマホなら、どこでも手軽に行えます。1日のうちに、ひと言でもいいから書くようにすると、習慣がつきやすくなります。メモなどのところに、思うことを書いていくようにしましょう。

ただ、自分の内面をブログ発信している方も多いですが、それには注意が必要です。ネット上には、悪意の人もいることを忘れないでください。悪意のコメントに、自分が無駄に傷つけられることもあります。

私は煮詰まってくると、マインドマップを書いて整理しています。パソコンで樹形図のようにして考え方を整理していくのですが、複雑なことが整理されていきます。

 

5.「書くこと」で思考パターンを変えていく方法

認知行動療法やほめ日記など、目的を決めて書くことで得られることもあります。ストレスコーピングだけでなく、時間をかけて思考パターンを変えていくことにつながっていきます。

これまで、特定の心理学的技法というわけではなく、ストレスコーピングとして「書くこと」そのもののメリットについてお伝えしていきました。とりとめなく「書くこと」だけでも、ストレス対処法になります。

森田療法では、日記療法という形の治療法があります。夕方に1日の日記をつけて、それを治療者がコメントを付けてお返しするというものです。日記をつけていくことで、自分の悩みを自分の中で保持して解消していくことを練習していくのです。こうして少しずつ、自分の器を大きくしていくのです。

このように森田療法では、書くこと自体に意味があることと考えて治療に日記を取り入れることがあります。

森田療法では自由度が高いのですが、目的を決めて「書くこと」で、少しずつ自分の思考パターンを変えていく方法もあります。ここでは、2つの目的に基づいた書き方をお伝えしていきます。

 

5-1.認知行動療法

日々の生活の中でいろいろな出来事がありますが、私たちはその現実を「そのままの現実」としては受け止めることができません。これまでの自分の経験などによって、無意識のうちに評価して解釈します。それに従って気分や感情が生まれ、実際の行動につながっていくのです。

認知行動療法では、この物事の評価や解釈の仕方(=認知)に注目する治療法です。その人の認知が生きづらくしている部分を見つけ出し、少しずつ修正していくのです。それによって気分や行動を変化させていくのが認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioural Therapy)です。

この方法を意識して書いていくことも、考え方を変えていく方法になります。自分自身が日常生活の中でストレスになったことを振り返り、その時の思考パターンを考察していきます。そして自分の思考パターンが見えてきたら、よりよい思考パターンに少しずつ変えていくように意識していくのです。

認知行動療法について詳しく知りたい方は、「認知行動療法とはどういう治療法なのか」をお読みください。

 

5-2.ほめ日記

患者さんの中には、本人の自己評価が極端に低いことがあります。客観的にみればそこまででなくても、自分は周りに比べてひどく劣っていると思い込んでしまっていることもあります。

このような方では、「自分はこのままでよい」という自己肯定感が希薄です。このため、人間関係などや傷つきやすく、ストレスからうつ状態や不安障害などにつながってしまうことが少なくありません。

ですから自己肯定感を強めて、健全な自己愛を身につけていく必要があります。そのために、ほめ日記という方法があります。

ほめ日記とは文字通り、自分のプラスのことを日記にしてつけていく方法です。1日に1個以上を目標にして、自分のことを評価してあげられることを見つけて書いていきます。

自己肯定感が希薄な方は、自分の良い部分に目を向けられていないことが多いです。それを少しずつ探していくのです。

「探してみたけど何も見つからない…」といって落ち込んでしまう方もいるかもしれません。そんな時は、「探そうとしてみた自分」をほめてあげてください。

ほめるポイントの探し方のコツとしては、自分がダメだったことの反対側を考えてみることです。物事には2面性があります。たとえば、「不安になって心配になった」ということは、「細かなことに気を配れた」ということになります。「自分が悪いんだと責めてしまった」ということは、「他人のせいにしない」ということになります。

 

まとめ

書くことがメンタルヘルスに有効な理由とおすすめの方法についてご紹介しました。

書くことの利点としては、

  • 一人でできる
  • 時間や場所を選ばない
  • 相手の思惑を気にせず好き放題書ける
  • 外にもれることがない
  • 自分が冷静になれる
  • 記録が残せる

また、書くことが与える心理的効果は、

  • 「書く」行為自体が、ストレスから注意をそらす
  • 吐き出すことでスッキリする
  • 自分や事実を客観視できる
  • 視野が広くなる
  • 記録が残り自分を振り返ることができる

書くことをストレスコーピングとして行っていく場合は、「自分がやりやすいこと」が一番です。書くことを義務のようにとらえず、自由な形で行うだけでも意味があります。

毎日必ずと締め付けてしまったり、上手く書こうとすると長続きしないことがあります。一番は継続していくことで、それによって少しずつ自分なりのストレス対処法が身についていきます。

誰かに話す前に書いて自分なりに気持ちを整理しておく練習をすると、コミュニケーションもスムーズになりやすく、診察やカウンセリングの際にも役立ちます。構えず、少しずつ取り組んでみてください。

投稿者プロフィール

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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