上手な気分転換の方法を一緒にみつけよう!

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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どんなにタフな人でも、働きづめでは倒れてしまいます。休息をとらなければ疲労困憊になってしまいますね。

ですがそれは、ただ身体を休めればよいというものでもありません。せっかく休みをとってもうまく気分転換できず、朝からあれこれと思い悩んでいる方もいるでしょう。うまく気持ちが休まらなければ、心の疲労はとれません。

心を休ませるにはどうするのがいちばんよいのでしょうか?私は診察室で患者さんからだけでなく、産業医として従業員の方からもいろいろな休日の過ごし方や気分転換の方法のお話をきいてきました。

その結論としては、「これがいい!」というのがあるわけではありません。人それぞれに合う気分転換の方法があるので、それを見つけてもらうのが良いのだと思います。

そうはいっても、気分転換をするのに大切なこともあります。多くの患者さんから私が感じたことを踏まえて、気分転換の方法を提案してみたいと思います。

いろいろな人の相談にはのってきましたが、そういう私自身も気分転換は苦手です。一緒に自分にあった気分転換の方法をみつけていきましょう。

 

1.気分転換が上手になると、仕事力もあがる

心がしっかりと休まるだけでなく、目の前の現実と向き合う練習になります。その結果として仕事量もあがります。

「気分転換」といって何をイメージされるでしょうか。趣味やスポーツが思い浮かぶ人もいれば、友達や家族と遊ぶという人もいるでしょう。ただゴロゴロすると思う方もいるかもしれません。

気分転換の方法には様々なものがありますが、しっかりと心を休めるために大切なことがあります。心に余白をつくることです。

「心に余白をつくる」とは、そんなに大げさに考えることではありません。家庭や仕事といった日常生活からしっかりと離れることです。休んでいるつもりでも、どこかで明日からの仕事や家庭でのことが気になってしまっては休めません。そういった日常生活から離れることを、意識的に行うことが大切です。

 

私たちは、今に向き合うことが苦手です。せっかくの日曜日でも、「また明日から仕事かぁ」と思うと楽しめなくなってしまいます。これは、休日という今に向きあえていないことになります。

それは決して休日だけではありません。例えば、仕事がたまっている時をイメージしてみてください。忙しいときほど、目の前のことをひとつひとつ処理していかなければなりませんね。ですが、「終わらなかったらどうしよう」「完璧に出来ないかもしれない」と考えてしまって、仕事の効率が落ちてしまうこともあるかと思います。

うまく気分転換をするということは、自分の今に向き合えるようになる練習です。休日を心から楽しむことができれば心が休まるだけでなく、日頃の仕事力にもつながるのです。

心に余裕がなくなってくると、見える世界が狭くなってしまいます。イライラしている時に、花の美しさは感じ取れませんね。心にゆとり(余裕・余白)がないと、いろいろなことに気づけません。

みなさんは、こんな経験がありませんか。仕事で悩んで行き詰った時、ふと気が向いて散歩してみたら、良いアイデアが得られた…など。創造性やアイデアは、心がリラックスした時に生まれてくるのです。

 

2.気分転換をしっかりとするための工夫

①手帳に休暇という予定をいれる②パソコンやスマートフォンを封印③マインドフルネスや瞑想を行うといった工夫があります。

気分転換の具体的な方法は様々です。その方法を具体的に見ていく前に、気分転換をしっかりとするための工夫について考えていきましょう。

気分転換をしっかりとするためには、仕事や家庭から離れて今と向き合うことが大切だとお伝えしてきました。それではどのようにしていけばよいのでしょうか。その工夫についてみていきましょう。

①手帳に休暇という予定をいれる

多くの人は、手帳には予定をどんどんと書きこんでいくと思います。手帳をあけると予定がびっしりと書き込まれていて、何も予定が書いていないところが休暇という手帳が多いと思います。

これでは、「今日は予定がない日だ」となるだけで、他にすることがないから休むといった受け身なものになってしまいます。この意識を変えるだけでも、心から休めるようになる方もいらっしゃいます。

「今日は休むという予定がある」と変えるのです。休む予定があるのですから、全力で休まなければいけません。仕事のことなどの雑念が出てきたら、すぐに考えるのを止めるようにしましょう。

なかなか休みがとれない方も、手帳に休暇という予定をいれることで、休みが少しずつ取れるようになってくることもあります。自分がやらなければダメだと思っていることも、意外と任せても大丈夫ということを覚えていくことにもなります。

②パソコンやスマートフォンを封印

パソコンやスマートフォンは、仕事道具としてなくてはならない人も多いかと思います。そのような方は、休日と決めたら不必要に使わないようにしましょう。

ついついメールを確認してしまったりして、仕事のことが気になってしまいます。心から休めなくなってしまいます。

私もパソコンを開かない日はありませんが、疲労が蓄積してきたときに家族との約束でパソコンを2日間開かない日を作ったら、かなりリフレッシュできました。場合によっては家族に「今日はパソコンやメールをみない」と宣告して、しっかりと休んで気分転換しましょう。

③マインドフルネスや瞑想を行う

「今ここにある自分」に注意を向けていく方法として、マインドフルネスや瞑想があります。

現実をあるがままに受け入れることで、思考や感情にとらわれないようにする心のあり方を目指していきます。これは心の柔軟性を身につけるようなもので、身につけていくには時間もかかります。ですが、じっくりと行っていくのも一つの方法です。

マインドフルネスは、呼吸に注意を向けることから始めていきます。呼吸をしているという自分の身体の感覚や動作に注意を持続して、雑念が浮かんで来たら注意を戻すようにします。

こうして少しずつ、現実に注意をむけてありのままに捉えられるようにしていきます。詳しく知りたい方は、「うつ病治療に役立つマインドフルネスとは?」をお読みください。

瞑想とは、心配事を手放して雑念を振り払う方法です。皆さんのイメージされている様に息を整えて目を閉じてリラックスします。そして心の中で言葉を唱え続けていくことで、ひとりでに湧き出てくる雑念を打ち消していきます。

詳しく知りたい方は、「悩みを軽くするセルフケアとしての「瞑想」のすすめ」をお読みください。

 

3.いまの気分転換に小さな変化をつける

まずは現在の気分転換に、小さな変化をつけてみましょう。

日常生活から離れて気分転換することが大切になりますが、具体的にはどのような気分転換を行えばよいでしょうか?

みなさんも、自分の中での休日の過ごし方や気分転換の方法があるかと思います。それでも十分に心が休まらないと感じている方は、まずは「小さな変化」をつけてみてはいかがでしょうか?

人間の行動は日々の生活のなかで、ワンパターンになりがちです。あなたにもこんな暮らしをしていませんか?毎日、会社と家との往復ばかり。毎日同じ会社へ行って、同じ人と出会い、同じ仕事をする。帰りには同じスーパーへ行って、同じようなご飯を食べ、同じような時間に寝る。

私たちは毎日の生活の中で、知らず知らずのうちに行動が自動化しています。そして休日の過ごし方も、似たり寄ったりになってしまうことが多いです。例えば、休日は朝から散歩して、いつものカフェに行く…それはいいのですが、散歩のルートが同じだったり、カフェで座る席や読む新聞まで同じだったりします。そこに小さな変化をつけていくのです。

散歩のルートを少し変えてみたり、色々なカフェをめぐってみたり、どんなことでもいいから小さな変化をつけてみましょう。このような小さな変化は、達成感や充実感につながります。

 

4.具体的な気分転換の方法

具体的な気分転換は、とにかくやってみることが大切です。できれば身体を動かす気分転換をもっておくと、心身の健康に良い影響があります。

精神分析の世界で高名なユングは、「ある人に合う靴も、別の人には窮屈である。あらゆるケースに適用する人生の秘訣などはない。」という言葉を残しています。

気分転換についても、「この方法がよい!」という決まったものがあるわけではありません。人それぞれに合った方法があるのです。

まず、気分転換には2つのタイプがあります。

  • 効果は小さいけれど、すぐにできること(即効性タイプ)
  • 効果は大きいけれど、時間とエネルギーが必要なこと(効果優先タイプ)

即効性タイプは、仕事をしていたときにすぐにできるようなものです。効果優先タイプは、土日や長期休暇で行えるようなことです。この両方の気分転換を意識することが大切ですが、ここでは日頃からすぐにできる効果優先タイプを考えていきましょう。

それでは、どのようにして自分に合った気分転換をみつけていけばよいでしょうか?インターネットで、「気分転換 方法」「ストレス発散 方法」などと検索するとズラズラ出てきます。それらを私の中で整理して列挙したいと思います。

  • 大声で叫ぶ(歌う)
  • サンドバックを叩く
  • 思いっきり泣く
  • 好きなテレビをみる
  • ゲームをする
  • アロマをたく
  • 呼吸を整える
  • 好きな音楽をきく
  • 映画を見る
  • 本を読む
  • 掃除をする
  • 温泉に行く
  • 身体を動かす
  • 料理をする
  • 食べる
  • お酒を飲む

食べるとお酒を飲むは、習慣になると病的になることもあるので気をつけてください。この中でも、とくに「身体を動かす」がお勧めです。適度な運動は、心身の健康にとても良いです。運動をした後に気持ちがスッキリしたことは、おそらく多くの方が経験されていると思います。

運動と大きく構えなくても、少しでも身体を動かす習慣は心身の健康にとてもよいです。

  • できるだけ階段を使うようにする
  • 一駅手前でおりて歩いて帰るようにする
  • 10分のウオーキングをする
  • 休日は図書館まで歩いていくのを日課にする

などといった形でも十分です。暖かな陽気に包まれて散歩をすると、意外と気持ちが良いものです。

色々な方法があるかかと思います。自分にあった気分転換の方法をみつけるためには、実際にやってみることが大切です。少し気が進まなかったとしても、やってみると案外よかったりします。そして気分転換にも達成感が大切ですので、いずれの場合も小さな目的をもちながら行っていくとよいです。

 

まとめ

気分転換の方法は、具体的なものをあげていくのは簡単ですが、それをやみくもにやればよいというものではありません。

日常生活から心が離れることが大切です。そのための工夫としては、以下の3つがあります。

  • 手帳に休暇という予定をいれる
  • パソコンやスマートフォンを封印
  • マインドフルネスや瞑想を行う

まずは自分の気分転換の方法に小さな変化をつけることからはじめてみましょう。全く新しい気分転換の方法を見つけるためには、達成感を大切にしながら実践してみることが大切です。

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