心気症を克服する薬と3つの治療法

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
元住吉こころみクリニック

心気症は、「何か重大な病気にかかっているかもしれない」という恐怖にとらわれてしまう病気です。

病院に受診して検査を受けて、「心配ないですよ」と医師が保証しても、病気への不安を拭い去ることができません。不安を払しょくするために、ドクターショッピングを繰り返すことも多い病気です。

心気症の患者さんは、あくまで身体の病気を心配しています。自ら精神科や心療内科を訪れる患者さんは少ないです。内科を受診している患者さんの4~6%は心気症であったという報告もあります。

周りから勧められて精神的を受診しても、治療に抵抗が強い方も多いです。ここでは、心気症を克服する治療についてお伝えしていきます。

 

1.心気症の患者さんは身体の病気と思っている

心気症の患者さんは身体の病気を心配しているので、心の病気だという認識がありません。

心気症は、「私は何か重大な病気があるのでは」という恐怖にとらわれてしまう病気です。心気症の患者さんは心の病気だと思っているわけではなく、「身体に」何か重大な病気があるのではと心配しているのです。

身体への心配が過剰であると認識している患者さんはいますが、心の病気だとは思いません。なかには、心配が過剰であるという認識すらない患者さんもいます。

ですから多くの患者さんは、内科を中心とした身体疾患の診断と治療を求めて病院を受診します。そして様々な検査をうけて、医師から問題ないといわれても、それを心から納得できないのです。

そして他の病院にセカンドオピニオンを受けにいったり、さらなる精密検査を希望したりします。しかしながらこのようなことをしても、まず身体の大きな異常は見つかりません。こうして心気症の患者さんは、数か月~数年にわたって悩み苦しみます。

 

2.心気症を克服するには心に目を向ける

心気症の患者さんは身体の心配が強いかと思いますが、過剰な心配はストレスになります。心気症を克服していくためには、ストレスの対処法も含めて、精神科や心療内科で心に目を向けた治療をしていくことが大切です。

心気症の患者さんは、内科などの身体疾患を疑って病院を受診します。このため、自ら精神科や心療内科に受診する患者さんは少ないです。

心気症の心配は数か月~数年にわたって続きますが、およそ1/3~1/2は次第に改善していきます。残りの患者さんもいったんは落ち着くことが多いです。ですがしばらくしてから、ストレスがかかって心気症を再発してしまいます。

心気症を克服していくためには、心にも目を向けていく必要があります。何らかの身体の不調があるかもしれませんが、その心配が行き過ぎていることを認識しましょう。

一般的にストレスは、身体に悪影響を及ぼします。ですから、ストレスを緩和していくことを考えていく必要があります。

内科など身体を診ていく科では、身体所見や検査に異常が認められなければ、根本的な治療はできません。診察をするということで患者さんは安心感をえられるかもしれませんが、本質的な心気症の克服にはならないのです。

精神科や心療内科では、ストレスへの対処法なども含めて治療を行っていきます。心気症を克服していくためには、心に目を向けた治療をすすめていく必要があります。

 

3.心気症の治療①-薬物療法

抗うつ剤を中心に、抗不安薬を補助薬として使っていきます。内容が妄想的な場合、抗精神病薬も使っていきます。

心気症では、お薬によって症状を緩和させることができます。以下の3つのケースの患者さんは、お薬によって治療をすすめていった方がよいです。

  • うつ状態がひどい場合
  • 不安が非常に強い場合
  • 重大な病気にかかっていると確信している場合

うつ状態がひどい患者さんでは、心気症の症状は悪循環になっています。気持ちがふさぎ込み、不安が強くなってしまいます。心気症状も強くなってしまいます。このような場合は、まずはうつ状態を改善することが大切です。

また、不安が強い場合も同様です。心気症は慢性的に経過する病気です。身体へ不安を抱えながらの生活は、大きなストレスになります。その中で不安障害を合併してしまうと、心気症の症状も悪化させてしまいます。

身体への不安に関して、「何か重大な問題がある」と確信してしまっていることがあります。このような時には、脳の機能的な異常が生じている可能性が高いです。

このような心気症の患者さんで使われるお薬は、SSRIをはじめとした抗うつ剤が中心です。抗うつ剤はセロトニンを増加させることで、不安を和らげていくお薬です。

抗うつ剤は効果が遅いので、即効性のある抗不安薬を併用することが多いです。しかしながら抗不安薬は、長期間使っていると耐性(効かなくなること)や依存の問題があります。このため抗うつ剤が効いてきたら、少しずつ減量して置き換えていきます。

妄想的に病気を信じ込んでいる場合は、抗精神病薬を使うこともあります。このような場合は、ドパミンが過剰に分泌されていることがあります。ドパミンの働きをブロックする抗精神病薬が使われることがあります。

お薬を不安に思われる方も多いかと思いますが、抗うつ剤は安全性の高いお薬です。抗不安薬も、出口を見据えて使えば問題ありません。

お薬について詳しく知りたい方は、「薬物療法のカテゴリー」をお読みください。

 

4.心気症の治療②-精神療法

認知行動療法・森田療法などを行っていきます。疾病利得に注意して、患者さんが自分のストレスに向き合えるようにしていくことが大切です。

心気症の原因としては、3つの側面から考えることができます。

  • 身体感覚の誤った解釈
  • 無意識に抑圧された葛藤によるもの
  • 疾病利得

これらを意識して、精神療法をすすめていく必要があります。心気症の原因について詳しく知りたい方は、「ドクターショッピングの原因?心気症の症状・原因・診断」をお読みください。

身体感覚の誤った解釈という要因が強い患者さんは、認知行動療法森田療法などの精神療法が向いています。無意識の葛藤という要因が強い患者さんは、精神分析などの洞察療法を行っていきます。

そして心気症の患者さんで気をつける必要があるのが、疾病利得になります。疾病利得とは、病気になるということで自分のストレスに向き合わなくて済むというメリットのことです。

病気であるということに逃げてしまい、自分自身のストレスや困難な課題に目を向けるのを避けてしまうことがあります。こういったものに直面化し、向き合っていけるようにしていく必要があります。

 

5.心気症の治療③-薬を使わないリラックス法

呼吸法・漸進的筋弛緩法・自律訓練法など、自分自身をリラックスさせる方法も有効です。

自分自身でリラックスする方法もあります。その代表的な方法としては、以下の3つがあります。

リラックスする呼吸法とは、吐く時間を意識した腹式呼吸法です。上手になってくると、呼吸を整えることで不安や緊張を和らげることができます。苦手な社会的状況に直面した時に、呼吸法で乗り切れれば大きな自信になります。

漸進的筋弛緩法とは、リラクゼーションとも呼ばれている方法です。筋肉の緊張状態を知り、それを和らげていく練習をします。慣れてくると、自分自身の緊張状態に気づけるようになってきます。

自律訓練法とは、リラックス状態を自己暗示で作れるようになっていく方法です。リラックス状態をイメージして、それを身体にしみこませていきます。上手になってくると、リラックス状態をすぐに作れるようになっていきます。

いずれの方法も、繰り返し続けていくことで少しずつ上手になっていきます。いわば筋トレのようなもので、すぐには効果が出ないけれども継続していくことで少しずつ効果が出てきます。

詳しく知りたい方は、「薬に頼らずに不安を解消する4つの方法」をお読みください。

 

まとめ

心気症の患者さんは身体の病気を心配しているので、心の病気だという認識がありません。

心気症の患者さんは身体の心配が強いかと思いますが、過剰な心配はストレスになります。心気症を克服していくためには、ストレスの対処法も含めて、精神科や心療内科で心に目を向けた治療をしていくことが大切です。

抗うつ剤を中心に、抗不安薬を補助薬として使っていきます。内容が妄想的な場合、抗精神病薬も使っていきます。

認知行動療法・森田療法などを行っていきます。疾病利得に注意して、患者さんが自分のストレスに向き合えるようにしていくことが大切です。

投稿者プロフィール

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
元住吉こころみクリニック