インフルエンザに家族がかかったら?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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毎年11月から3月まで大流行するインフルエンザ。学校や仕事を休めないことはもちろんのこと、クリスマスやお正月などイベントも盛りだくさんのこの時期、プライベートの用事も多いかと思います。

こんな時期に、家族や会社などで身近な方がインフルエンザにかかってしまうこともあります。「自分は元気だけれども感染のリスクがあるかもしれない・・・」と心配される方も多いです。

ここでは、家族や会社などの近しい方がインフルエンザにかかってしまった時にどうすればよいのか、お伝えしていきます。

 

1.インフルエンザはどのようにして感染するの?

インフルエンザは飛沫感染、接触感染で他の人に移る病気です。そのため身近な人がインフルエンザになると、自分もインフルエンザになる可能性があるのです。

インフルエンザの感染経路は、「接触感染」「飛沫感染」の大きく2つです。

飛沫感染とは、既にインフルエンザに感染している人の咳、クシャミなどによる飛沫が原因となる感染です。飛んでしまった飛沫に含まれているウイルスにより、違う人が鼻から吸い込んでウイルスを体内に取り込んでしまうことによります。

それだけでなく、インフルエンザに感染している人が咳を手で抑えて、その手でドアノブやスイッチに触れるとウイルスが付着してしまいます。そのドアノブやスイッチに触れた人が、その手で自分の身体を触ったり食事をしたりすると、ウイルスが体内に侵入してしまいます。このような感染経路を、接触感染といいます。

このように他の人に移る病気がインフルエンザです。必ず他の人に移ることを念頭に置きましょう。

詳しく知りたい方は、「インフルエンザの感染経路とは?空気感染するの?」を参考にしてください。

 

2.インフルエンザの感染に気をつける期間とは?

インフルエンザで気をつけるのは、発症1日前から発病してから5日程度と言われています。

インフルエンザウイルスの排菌期間は、発症1日前から発症後5~7日までと言われています。特に発熱してから5日間は人に移りやすいといわれています。

またインフルエンザは、解熱してから2日間後にほぼ体内から消失していることが多くの研究でわかっています。

以上のことからインフルエンザは、学校保健安全法では第2種感染症に定められていて、診断された場合は休むことを義務付けられています。

  • 「発熱した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」

このように規定されています。つまり、必ず5日間は休んで、熱が続く場合は解熱してから2日は休みましょうとなっています。これだけ休めば、周囲に感染させる心配は少ないということになります。

では職場ではどうでしょうか?学校のように法律では義務付けられていません(新型インフルエンザや鳥インフルエンザなど一部は制限されます。)。会社ごとに規定が異なりますが、多くの会社さんで学校保健安全法に準じています。

本人がこれを知っておく必要が大切ですが、家族の方もこの期間は移る可能性があるということを認識して看病しましょう。

詳しく知りたい方は、「インフルエンザの出席停止・出勤停止はいつまで?」をお読みください。

 

3.実際に家族がインフルエンザに感染したら?

家族がインフルエンザにかかってしまったら、どのようにすればよいでしょうか?

「私は健康だけれども出勤してもいいですか?」このように聞かれることが多いです。私はいつも、このようにお願いしています。

「マスクを必ずつけて出勤してください。体調が悪いと感じたらすぐに申し出て、早退してください。」

ここでは、家族がインフルエンザに感染したらどうすればよいのか、詳しくみていきましょう。

 

3-1.インフルエンザの家族の方を完全に治す

インフルエンザになった方は、医師に言われた期間及び服薬をしっかり厳守するようにして完全にインフルエンザを治しましょう。

まずは、インフルエンザになった本人がしっかり治すことが大切です。知っておいてほしいことは、熱が下がったからインフルエンザが完全に治ったわけではないのです。

そもそも熱ってどうして出てるのでしょうか?そこから説明していきます。まずは大まかな流れを理解してみましょう。

  1. インフルエンザウイルスが侵入すると、白血球やマクロファージなどの細胞でインフルエンザウイルスなどの異物を食べるように取り込みます。
  2. この際に取り囲んだ細胞が、サイトカインという発熱を促す物質を出します。
  3. サイトカインが脳に行くことで、体内にインフルエンザウイルスが侵入したことを知らせます。
  4. 脳の視床下部の体温調節中枢が、体内の温度を上昇させます。

この順序で熱は上がります。インフルエンザウイルスが体内に侵入した事がきっかけですが、私たちの身体が必要だから熱を上げているのです。ではなぜ、熱を上げるのでしょうか?以下の3つが挙げられます。

  • インフルエンザウイルス等は熱で繁殖が抑制されます。
  • 熱が産生されることで、インフルエンザウイルスと戦う白血球などの面積細胞の活動がさらに高まります。
  • 私達自身が病気になったと気づくことができます。これによって体を休めなきゃと自覚するのです。

熱が出るとき、関節痛や筋肉痛、気持ち悪い、寒気がするなどの症状は、サイトカインの働きです。これらの症状は辛いですが、そのために無理ができずに身体を休めることができます。「熱が高くなっているのは、インフルエンザを頑張って退治しているんだ!」って考えてみるといいかもしれません。

つまり熱とは基本的に、インフルエンザや細菌などを退治するための身体の防御反応です。熱が下がったということは、防御反応を取らなくてもよいくらいインフルエンザウイルスが少なったということです。しかしインフルエンザウイルスは、繁殖力が強いウイルスです。本人が油断するとあっという間に再発してしまいます。

再発すると家族に移る可能性がまたでてきてしまいます。

ですから、タミフルやリレンザなど5日間指示されたお薬は必ず飲みきるようにしましょう。症状が無くなったからといって途中でやめてしまうと、それぞれのお薬に耐性を持ったインフルエンザが出現してしまうため注意が必要です。

 

3-2.インフルエンザを移されないように予防

咳で移される可能性が高いためマスクはお互い必須です。また、うがい手洗いも徹底しましょう。どうしても心配な方は予防投与をすることもできます。

では、インフルエンザに実際に家族がかかったらどうすればよいでしょうか。症状で咳がある方は、必ずお互いマスクをするようにしましょう。飛沫感染を少しでも防ぐのです。またうがい、手洗いも徹底して自分が感染しないようにするのが大切です。

ただし、これだけでは防ぐことが難しいくらいインフルエンザは感染力が強いウイルスです。そのため自費診療になりますがタミフル、リレンザ、イナビルは予防投与することができます。

どのインフルエンザ治療薬も、適応としてはインフルエンザ患者さんと同居している家族の方、もしくは共同生活者の中で、

  • 高齢者(65 歳以上)
  • 慢性呼吸器又は慢性心疾患
  • 代謝性疾患(糖尿病など)
  • 腎機能障害

となっています。これらに当てはまる人は免疫が落ちており、インフルエンザにかかりやすい、もしくはかかった時に重症化しやすいです。そのため積極的な予防投与が勧められています。

なぜ適応が限られてしまうのかというと、インフルエンザの治療薬が足りなくなってしまうのを防ぐためです。しかし、上の4つに当てはまらないから予防投与は無理だと諦めるのではなく、まずは医師に相談してみましょう。

もともと保険適応外ですので、場合によっては予防投与が処方されることもあります。それこそ健康の方であっても、状況によっては処方されることがあります。病院に確認してみてください。

それぞれの予防方法については、「タミフルの予防投与リレンザの予防投与イナビルの予防投与」をお読みください。

 

4.インフルエンザを予防するには?

一番大切なのは、事前に予防することです。受験生をかかえていたり、家族の誰かが重要な時期にある場合、予防を意識しましょう。

発症する前からインフルエンザは他の人に移す可能性がある病気です。熱が出てから大慌てしたのでは、時すでに遅しの場合もあります。

 

4-1.一番の予防はインフルエンザの予防接種

一番効果のある予防方法は、インフルエンザの予防接種です。慌てる前にインフルエンザの予防接種を10月末~11月中旬に受けておきましょう。

インフルエンザの予防接種は、注射してからすぐに効果が出てくるわけではありません。インフルエンザワクチンに身体が反応し、抗体を作る必要があります。このため、予防接種を受けてから効果が発揮されるまでは、2~3週間かかります。

予防接種の効果は、少しずつ薄れていってしまいます。3~5か月ほどかけて抗体が低下していくので、しっかりとした予防接種の効果が期待できるのは、予防接種後3~4か月くらいと考えられます。

ですから流行時期を考えると、10月末~11月中旬に受けておくのがよいでしょう。この時期に受けていれば、インフルエンザの流行時期をカバーすることができます。

詳しく知りたい方は「インフルエンザ予防接種に最適な時期は?」を参考にしてください。

インフルエンザの予防接種の効果は高いといっても、残念ながら100%ではありません。

詳しく知りたい方は、「インフルエンザ予防接種の効果と限界・誤解とは?」をお読みください。

 

4-2.インフルエンザの日常生活での予防

インフルエンザの予防接種したからといって油断は禁物です。①人込みに出ない②正しい手洗い・うがい③マスクを着用④適度な湿度⑤口呼吸を改善などを気を付けましょう。

インフルエンザの予防接種は100%予防できるわけではありません。事前にインフルエンザの予防接種を行うだけでなく、インフルエンザがいざ流行りはじめたら、しっかりと感染予防に努めましょう。

ではどんなことに気を付けたら良いのでしょうか?5つのポイントがあげられます。

  1. 人込みに出ない
  2. 正しい手洗い・うがい
  3. マスクを着用
  4. 適度な湿度
  5. 口呼吸を改善

①人込みに出ない

できるだけ感染機会を少なくしましょう。そのため流行時期にむやみに人込みにいかないことが大事です。12月~3月のインフルエンザの流行時期には、そこら中にインフルエンザの感染者がいます。

②正しい手洗い・うがい

インフルエンザウイルスに限らずどんな細菌やウイルスの予防も、まずはうがい手洗いです。敵を身体にいれないようにしなければいけません。

詳しく知りたい方は、「正しい知識で手洗い・うがいを効果的に」をお読みください。

③マスクを着用

インフルエンザの感染で1番多いのは、飛沫感染です。マスクの一番の効果は、人にインフルエンザをうつさないためです。マスクを付けることでウイルスの飛散が大きく減ります。咳をしたらマスクをつけるマスクエチケットを徹底しましょう。

また、マスクをすることでのどが加湿されますので、インフルエンザの感染予防にも一役をかってくれます。

④適度な湿度

インフルエンザウイルスは、湿度が50%を超えると急激に感染力が弱まります。加湿をすることで、50~60%の湿度を目指しましょう。

⑤口呼吸を改善

鼻には免疫のために効果的な働きがたくさんあります。ですから、口呼吸から鼻呼吸にかえることで、免疫はあがります。

詳しく知りたい方は、「口呼吸を改善して鼻呼吸にする8つの方法」をお読みください。

以上の予防についてもっと細かく知りたい方は、「インフルエンザの予防に有効な6つの方法」をお読みください。

 

まとめ

  • インフルエンザは飛沫感染、接触感染で他の人に移る病気です。
  • インフルエンザは発症1日前から発病してから5日程度の間と言われています。
  • インフルエンザに家族がかかった場合は、家族をしっかり治してもらうことと自分がうつされないように予防しましょう。

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