インフルエンザの感染経路とは?空気感染はするの?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
冬になると、毎年インフルエンザの話題がとりあげられます。インフルエンザは高熱が出て苦しいですし、感染力も強いので自宅待機を余儀なくされます。できることならインフルエンザにはかかりたくないですよね。
インフルエンザはどこからやってくるのでしょうか?そして、どのように感染するのでしょうか?
インフルエンザの感染経路がわかれば、どのようなことに気を付ければよいのかが見えてきます。インフルエンザの感染経路は、「接触感染」「飛沫感染」の大きく2つです。特定の条件がそろうと、「空気感染」することがあります。
ここでは、インフルエンザウイルスの感染経路についてお伝えし、空気感染の可能性などについてみていきましょう。
1.インフルエンザウイルスはどこからくるの?
人間の細胞の中でしか生存や増殖ができず、夏は熱帯で感染が維持され、寒くなってくると広がっていきます。
まずは、インフルエンザウイルスがどういうものなのかをお話したいと思います。
よく誤解されているのですが、そもそもウイルスとは、空気中にフワフワしているようなものではありません。ウイルスは、動物の生きた細胞の中でなければ増殖することができないのです。構造としては、タンパク質の殻が遺伝子を守っているだけです。それだけで増殖することもできなければ、生きていくこともできません。時間が経つと壊れていくのです。
ウイルスは、生きた動物の細胞に感染して入り込むことで増殖していきます。動物の細胞を使って自分のコピーを作り、外に飛び出して他の細胞を探し求めていくのです。
インフルエンザウイルスはこのような振る舞いをするので、動物の細胞の中で生き延びているのです。ウイルスは乾燥と熱に弱いという性質があります。ウイルスが乾燥している冬に流行るのは、湿度が高いと壊れやすいのではありません。湿度が低い方が飛沫が遠くまで飛びやすくなり、粘膜などが乾燥してインフルエンザが感染しやすいからです。
インフルエンザウイルスは、温帯の日本では冬に流行ります。ですが、熱帯では1年中認められます。夏の間は熱帯でインフルエンザウイルスは生き延びています。寒くなってくるとともに広がっていくのです。ですから毎年インフルエンザワクチンは、熱帯地方の流行をみて株を予想しています。
2.インフルエンザの感染経路とは?
インフルエンザの感染経路は、飛沫感染と接触感染が中心です。
インフルエンザの感染経路は、2つが中心となっています。「飛沫感染」と「接触感染」です。
飛沫感染とは、既にインフルエンザに感染している人の咳、クシャミ などによる飛沫が原因となる感染です。飛んでしまった飛沫に含まれているウイルスにより、違う人が鼻から吸い込んでウイルスを体内に取り込んでしまうことによります。
それだけでなく、インフルエンザに感染している人が咳を手で抑えて、その手でドアノブやスイッチに触れるとウイルスが付着してしまいます。そのドアノブやスイッチに触れた人が、その手で自分の身体を触ったり食事をしたりすると、ウイルスが体内に侵入してしまいます。このような感染経路を、接触感染といいます。
3.インフルエンザは空気感染するの?
密閉されて低温で乾燥していると、空気感染が起こることもあります。
次に空気感染と言うことを考えてみましょう。 空気感染とは飛沫よりも小さい微粒子による感染のことを言い、直径5/1000ミリ以下程度の大きさの「飛沫核」によるものを言います。
ここまで小さくなると、乾燥して密閉されているなどの条件がそろうと空気中をしばらく漂うことができます。インフルエンザも空気感染と無縁と言うことではありません。クシャミなどした場合の飛沫の水分がとぶと飛沫核になります。その飛沫核が漂う可能性があるのです。飛沫感染と言うのであれば、インフルエンザにかかった人から避ければよいのですが、空気感染の方はちょっと厄介です。
ウイルスは高温に弱く、高湿度になるとウイルスの飛散力が落ちます。このため、できるだけ密閉せず、温度と湿度を保つことが大切です。空気が低温で乾燥していると空気感染も起こりやすくなることを理解してください。
なお、飛沫は5μm以上、 落下速度30~80cm/secのことをいい、 飛沫核は5μm以下、0.06m~1.5 cm/secのことをいいます。
4.感染経路を踏まえて注意すること
手洗い・うがいを基本にして、十分な睡眠、加湿、予防接種、人込みを避けるなどを意識しましょう。
インフルエンザにかからない為に、感染経路を意識した正しい予防を行うようにしましょう。
手洗いはインフルエンザ予防のためにとても大事なことです。手足に付着して しまったインフルエンザウイルスは手洗いで物理的に除去することが出来ます。インフルエンザだけでなく感染症全般に有効な方法です。しっかりうがいをすることも忘れないようにしましょう。
冬になれば空気が乾燥して、粘膜の防御機能が低下してインフルエンザにかかやすい条件が整ってしまうことになります。このため、加湿器を利用すると言った工夫も検討しましょう。
インフルエンザを完全に防ぐことは難しいです。最後の砦として、インフルエンザワクチンを予防接種しておきましょう。予防接種しておけば、万が一インフルエンザにかかったとしても症状が軽く済みます。
そして体力は低下してはいないでしょうか。インフルエンザ対策として充分な睡眠や栄養を取る必要もあります。そしてインフルエンザの流行を敏感に感じ取って、イ ンフルエンザが流行ってきたら、あまり人混みの中をふらつかないという姿勢も大事です。
インフルエンザの予防について詳しく知りたい方は、
インフルエンザの予防に有効な6つの方法
をお読みください。
5.インフルエンザをうつさない
マスクを必ず着用し、出歩かないようにしましょう。
そして既にインフルエンザに感染してしまった方は、人にうつさないのがマナーです。
咳そしてくしゃみをする時に、飛沫には多くの病原体が含まれているかもしれないと言うことを常に頭に入れて行動を取りましょう。咳、クシャミをする時には、マスクをできるだけ付けるようにしましょう。マスクを付けることで、飛沫の飛び散りをかなり抑えることができます。マスクは自分が感染しないためというよりも、人にうつさないためのものなのです。
まとめ
インフルエンザウイルスは人間の細胞の中でしか生存や増殖ができず、夏は熱帯で感染が維持され、寒くなってくると広がっていきます。
インフルエンザの感染経路は、飛沫感染と接触感染が中心です。
密閉されて低温で乾燥していると、空気感染が起こることもあります。
手洗い・うがいを基本にして、十分な睡眠、加湿、予防接種、人込みを避けるなどを意識しましょう。
インフルエンザになってしまったらマスクを必ず着用し、出歩かないようにしましょう。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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