3つの休息力を意識して仕事を効率的に!
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
日本人は真面目な方が多く、「休むことはいけないこと」と感じてしまう方が多いです。むしろ眠れていないことが美徳とすら思われていて、「昨日は忙しくて徹夜した」と言われると周囲には好印象にうつるかと思います。
そんな日本社会の影響もあって、精神科にかかる患者さんの中には無理をしすぎてしまって調子を崩される方が多くいらっしゃいます。
「ついつい頑張ってしまう」「何もしていないと不安で落ち着かない」といった方は、そのような状況に陥る可能性があります。
あなたにも、そのような傾向がないでしょうか?
最近あなたは、疲れていませんか?
ここではそんな方に対して、どのようにして休息をとっていけばよいのかを考えていきたいと思います。「休む技術=休息力」を、3つの段階に分けて考えていきたいと思います。
1.休息の大切さを知ろう!
自分でコントロールできない部分ももちろんありますが、「うまく休むのも仕事のうち」です。自己コントロールできる部分を増やしていきましょう。
まず第一に、人間にとって休息は必要不可欠なものです。その大切さを振り返りましょう。仕事をしている方にとって、考えていただきたい休息は3つあります。
- 仕事の合間での休息
- 睡眠による休息
- 休暇での休息
人の集中力には限界があって、ぶっ通しで仕事をすることができません。学校のころに授業の合間に休み時間があったように、仕事の合間にも適当な息抜きを入れていく必要があります。
集中して仕事をして少し休む、そしてまた集中するというリズムの方が仕事がはかどっていきます。忙しいからといってずっと机の前から離れずに仕事をしていると、能率は落ちてしまいます。
睡眠はとても大切です。忙しくなってくると、睡眠時間は一番犠牲にしやすいです。「寝ている時間がもったいない」「やるべきことがたくさんある」というようになってしまって、睡眠時間を削ってしまいます。
しかしそれは、大きな間違いです。睡眠時間を削って、過労でふらふら。仕事の能率は落ちて、残業続き。そのせいでますます時間が失われ、慢性的な寝不足。あげくの果てに身心のバランスを崩して、会社に行けなくなる…そんな悪循環におちいってしまう方もいらっしゃいます。
休日をしっかりととることも大切です。休みなく仕事をしていて、プライベートの時間がもてなくなっている方もいらっしゃるでしょう。それがたとえ楽しい仕事だったとしても、プライベートに悪影響が出てしまう方も多いです。
プライベートの時間を犠牲にしてしまうことで、家族や友達との関係性が希薄になってしまいます。そうなってくるとますます、「私は仕事が生きがいだ」と思ってのめりこんでしまいます。今の私がまさにその状態かもしれません…
もちろん、自分でコントロールできない部分も現実的にはたくさんあると思います。しかしながら、「うまく休むのも仕事のうち」です。心身の状態を保つことは自己管理として大切なことです。
休息に対する考え方を整理していき、自分でコントロールできる部分から取り組んでいきましょう。そして少しずつ、自分でコントロールできる部分を広げていきましょう。
2.仕事の合間での休息
仕事での目標を細分化して区切りにするか、時間によって区切りにすることで、達成感を大事にしながら仕事の合間で休息をとっていきましょう。
3つの休息の中でもっとも自分のコントロールが出来るのが、仕事の合間での休息をとることです。自分の仕事がきっちりしていれば、仕事の進め方には裁量が委ねられることが多いでしょう。
人間の集中力というものは、最大で1時間程度しかもちません。どんなに集中力がある人でも、それが限界なのです。思い返していただければ、学校の授業は長くて90分だったかと思います。それが人間の集中力の限界なのです。2~3時間集中できないからといって、劣等感を感じる必要はありません。
ぶっ続けで仕事をしても、効率は落ちてしまうのは当たり前なのです。適度な休憩をはさむことで効率よく仕事をしていくことが大切なのです。ですから忙しい時ほど、仕事の時間の中でうまく休息をとっていくことが大切です。
業務の合間での休息の取り方は、大きく2つがよいでしょう。
- ここまで終わったら休息をとるという仕事での目標を決める
- 時間を決めて休息をとる
忙しくなればなるほど、目標を決めることは大切です。散らかった部屋の片づけをイメージしてみてください。目標を決めずに手を付け始めると、なかなかすすみません。しかしながら、テレビ周りをきれいにする、次は本棚をきれいにする…といったように、目標を決めていけばスムーズに進んでいくのです。
人がモチベーションを持続していくには、達成感が大切です。達成感は、心の休息ともいえます。仕事の目標を決めてそれを達成し、体の休息はそのご褒美と考えてみてください。もちろん、仕事の目標は1~2時間で終わるものに設定してくださいね。
なかなか仕事で感覚をつかめない方は、時間で区切ってもよいと思います。決めた時間は集中して、それが過ぎたら休息をとるというやり方です。
30分仕事したら3分休む、1時間仕事したら5分間休むなとど自分でルールを定めましょう。自分がうまく仕事の合間に休息をとって、効率よく仕事をするリズムを少しずつ見つけていきましょう。
3.睡眠による休息
睡眠時間を6時間確保することを前提に、一日のスケジュールを見返しましょう。
いうまでもなく、毎日の睡眠時間はとても大切なものです。あなたは、毎日何時間眠っていますか?
大人でしたら、一日6~8時間眠れば大丈夫でしょう。しかし、これにも個人差があります。5時間の睡眠で大丈夫な人もいます。個人の体質によって大きく違ってくるのです。
しかしながら、最低6時間の睡眠は確保しておいた方がよいでしょう。というのは、統計的に6時間を下回ると、身体も心にも負担になることが示されているからです。データでご紹介します。
このグラフは、ペンシルバニアの20歳以上の男女1741人に調査したものです。睡眠時間と血圧の関係をみています。この結果からわかることは、睡眠時間6時間以上では高血圧のリスクは睡眠不足でもかわらず、それを下回ると高血圧になるリスクがあがるということです。
つぎに、メンタルと睡眠時間の関係をみていきましょう。CES-Dとは、自分で記入することで簡易的にうつ状態を判断する心理検査です。16点以上をひとつの目安にします。この結果をみていただいても、6時間を下回ると点数が高まっているのがお分かりいただけると思います。
ですから、睡眠時間6時間を確保することを前提にして一日のスケジュールを考えていきましょう。睡眠時間が6時間をきっていて、「寝不足だなぁ」「疲れが抜けない」と思っている方は改善が必要です。
睡眠時間が足りていないと日中の集中力が落ち、仕事の効率が落ちて時間がかかり、さらに睡眠時間が削られるという悪循環になりかねません。
睡眠時間を削るくらいならば休日出勤で乗り切った方が心身の負担が少ないこともあります。忙しい時期が過ぎたら休むと割り切って、睡眠時間を大事にするのも方法です。
4.休暇での休息
会社や部署レベルのことでコントロールできない部分は仕方がありませんが、個人レベルで意識できる部分もあります。
一番コントロールが難しいのが、休暇をとることだと思います。休みの取りやすさは会社の文化にもよります。比較的気軽に有給や振替休日を申請しやすい会社もあれば、休むこと=サボりのような空気が流れている会社もあります。
最近は労基署が過重労働対策に本腰をいれて取りくみ始め、有給の取得率の高さが企業のCSRの評価にもつながったりしています。日本社会全体として変わろうという流れが、少しずつ会社に浸透していけばよいと思います。
会社レベルでなく、部署レベルでも上司によっては休みがとりづらいこともあるでしょう。会社や部署レベルのことは、個人ではアプローチが難しいです。「雰囲気を変えるファーストペンギンになる」ということもできないでしょう。
ここでは、個人でレベルでできることを考えていきましょう。人によっては、自分から仕事を休めないという方もいます。「ワーカホリック」といったりもしますが、仕事をしなければ落ち着かないのです。
いざしっかり休もうと思っても気持ちが落ち着かなくなって、かえってストレスに感じてしまいます。こうした方は「何もしないで」ボーッとしていると、心が不安でいっぱいになってしまいます。それでは一体、どうしたらよいでしょうか?
こういう方にお勧めする方法は2つあります。
- マインドフルネスや瞑想によって、考えないことを覚える
- 何か生産的と思えるようなプライベートでの活動をみつける
この2つはどちらが向いているかは、人それぞれです。
マインドフルネスや瞑想は、どちらも呼吸を整えながら心を落ち着かせていきます。マインドフルネスでは目の前のことをそのまま受け止めることを目指し、瞑想では考えが浮かぶのを打ち消していきます。
詳しく知りたい方は、「うつ病治療に役立つマインドフルネスとは?・悩みを軽くするセルフケアとしての瞑想のススメ」をお読みください。
プライベートの中で、何か生産的に思えるような行動をしていくのも方法です。ワーカホリックの方には、自分で「生産的に思える」ということが大切です。達成感を味わいつつ、リラックスすることが目標です。
例えば、料理やスポーツ、読書などでしょうか。
自分で料理を作ってみるのもいいでしょう。栄養バランスのとれた食事をゆっくりと食べてください。これなら「何か体に良いことをしている」という満足感が得られます。それに、身心の休養にもつながります。
スポーツもいいですね。体を動かせば、いくらか気分転換にはなります。体力増進に役立ち、睡眠も深くなります。
室内ですごすにしても、読書や編み物、園芸など、自分が能動的になれるような作業を選ぶといいでしょう。ゲームも悪いわけではありません。以前からやりたかったソフトがあるなら、ぜひクリアしてみてください。「自分が能動的になれるかどうか」というところがポイントです。ちなみに私は園芸でした。(引っ越して畑を失ってからできていませんが…)
またその他に、以前から気になっていた用事を片づけるのもいいですね。誰かに手紙を書いたり、虫歯の治療、台所の棚を直すなど、ついつい後回しになっていることがあるでしょう。やるべきことリストに、それらを書き出してみてください。そして、一つ一つ実行していきましょう。
達成感をもちつつ仕事以外の時間をもつことができれば、休むことが自分でも受け入れられるようになります。
5.休息力をつけて仕事の生産性をあげよう
できることからはじめて、少しずつ休息力をつける意識を持ってください。それが結果的に、仕事の生産性をあげることにつながります。
仕事を効率よく行っていくためには、効率よく休んでいくことが必要です。休息力は、仕事の生産性をあげる技術ともいえます。
3つの休息力についてご紹介していきましたが、自分でコントロールできる部分もあればできない部分もあるかと思います。できることから意識的にはじめて、少しずつ習慣化してください。
私たち医者も、過重労働が慢性化している職場環境にあります。当直やオンコールもあるので睡眠時間は不安定ですし、休みも非常にとりづらいです。できることは、仕事の合間にうまく休息を見つけていくことくらいです。
医者の仕事で救われるのは、裁量権と達成感があることです。自分の方針に従って仕事がすすめられますし、患者さんが回復すれば達成感を実感できます。達成感を大事にしながらうまく休息をとっていくことで、何とか乗り切っていけるのです。
仕事をされている方のなかには、「休む暇なんてないし、休める状況なんてない」という方もいらっしゃるかと思います。そんな方こそ、できることから上手に休息する意識をもっていただくことが大切です。
意識してみると意外と何とかなる部分があったりします。長い人生を考えて、休息力を少しずつ身につけていきましょう。結果的にそれが、仕事の生産性を高めることにつながります。
まとめ
自分でコントロールできない部分ももちろんありますが、「うまく休むのも仕事のうち」です。自己コントロールできる部分を増やしていきましょう。
3つの休息力をつけていきましょう。
- 仕事の合間での休息
- 睡眠による休息
- 休暇での休息
できることからはじめて、少しずつ休息力をつける意識を持ってください。それが結果的に、仕事の生産性をあげることにつながります。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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