ルボックス/デプロメールとジェネリックの違いとは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ルボックス/デプロメールはSSRIが日本でも発売されるようになってすぐの1999年に発売されたお薬です。

すでに発売から年月もたっていますので、2010年からジェネリック医薬品としてのフルボキサミンも発売されました。

それでは、ルボックス/デプロメールとジェネリック(フルボキサミン)にはどのような違いがあるのでしょうか?お伝えしていきたいと思います。

 

1.フルボキサミンとは?

ルボックス/デプロメールのジェネリック医薬品で、同じ名前で複数発売されています。

フルボキサミンとは、ルボックス/デプロメールの成分の名前です。有効成分であるフルボキサミンは、1977年には海外で開発されていました。

日本でも薬を導入するに当たっては、10年もの歳月をかけて調査がされました。アッヴィ合同会社/Meiji Seika ファルマ社の2社によって行われたので、それぞれの会社の商品が「ルボックス/デプロメール」になります。

開発には莫大なお金がかかりますので、その権利を保障するために10年ほどは特許で守られます。この特許がきれると、ジェネリック医薬品が発売できるようになります。

ですから、はじめのうちは一般の方がフルボキサミンという成分名を目にする機会は少なかったと思います。ですが、2010年にジェネリック医薬品が発売されるようになると広まっていきました。価格が安いこともあって処方されることが増えました。

ジェネリック医薬品は、以前は独自の名前がつけられていました。最近のジェネリックは、紛らわしさをなくすため、「一般名+会社名」とすることが多くなりました。フルボキサミンは15社近くが発売していますが、どれもフルボキサミン「会社名」となっています。

患者さんに飲んでいるお薬の名前をお聞きすると、「」がついている会社名ばかり印象に残ってしまうことがありますので、注意してくださいね。

 

2.ルボックス/デプロメールとジェネリックの薬価の違い

 ジェネリックは、ルボックス/デプロメールの5割程度の薬価になっています。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。だいたい6割になることが多いのですが、ルボックス/デプロメールの場合は15近くの会社が作っているので、とても安くなります。フルボキサミンの薬価は、ルボックス/デプロメールの5割程度に設定されているのです。

各ジェネリック医薬品の中でも薬価には差がありますが、これは製薬会社から薬局への卸値の違いで決まってきます。どのジェネリックを採用しているかは薬局によって異なりますので、確認してみてください。差があるといっても10%程度ですので、自己負担で考えると1%~3%程度の違いになります。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ルボックス錠・デプロメール錠 25mg 36.1円
ルボックス錠・デプロメール錠 50mg 62.2円
ルボックス錠・デプロメール錠 75mg 85.7円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
フルボキサミン錠 25mg 17.6~21.5円
フルボキサミン錠 50mg 29.7~35.2円
フルボキサミン錠 75mg 39.0~52.2円

 

最大容量である150mg処方されている方で、3割自己負担の方が1か月にかかるお薬の価格を比べてみましょう。先発品のルボックス/デプロメール錠では、1543円ほどになります。一番安いフルボキサミン錠ですと、702円になります。金銭的な負担は軽くなりますね。

※2015年7月21日現在の薬価です。

 

3.ルボックス/デプロメールとジェネリックの効果の違い

理論的には効果の違いは大きくありません。ですが、気持ちの問題で効果に違いを感じる方がいらっしゃいます。その場合は、主治医と相談して先発品に戻してもらいましょう。

フルボキサミンの効果について知りたい方は、
フルボキサミン錠の効果
をお読みください。

 

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。このように製薬会社によって違いはありますが、ルボックス/デプロメールのジェネリックと認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。

ジェネリックのフルボキサミンを服用してか らの血中濃度の変化が、ルボックス/デプロメールと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

こういわれると最大で45%も違うのかと驚かれるかもしれませんが、そういうことではありません。薬の吸収や代謝の個人差を考えれば、この間に入っていれば統計的に同じとみなせるのです。

実際に930ものジェネリックと先発品を比較すると、最大血中濃度では4.61±3.41%の差しかなかったと報告されています。

 

抗うつ剤は、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。抗うつ剤が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。そして服用を始めて4~5日ぐらいで、薬の体内での濃度が安定します。

様々な会社がフルボキサミンを発売していますが、血中濃度がピークになる時間や身体から薬が抜けていくスピードなど、それぞれの薬で少しずつ違いがあります。ですがフルボキサミンは、服用を続けて血中濃度が安定することで効果が出てくる薬です。

このように、身体にたまっていくことで効果が発揮される薬では、多少の薬の違いは効果に影響しません。例えば睡眠薬など、即効性を期待する薬でしたら、薬の効き方の違いは大きく出てきます。

万全を期すなら、初めから同じジェネリックのフルボキサミンを使えば、ルボックス/デプロメールと同様の効果が期待できると考えています。そのためにも、同じ薬局でお薬をもらうように心がけましょう。

なかにはジェネリックにかえたことで調子が悪くなる方もいらっしゃいます。「気持ちの問題」であることも多いです。薬を変えてしまったということ を不安に思ってしまったり、ジェネリックだから効果が弱いという思い込みなどが原因です。

ですが、この気持ちの問題はとても大切です。ジェネリックにしてから調子がよくないと思ったら、主治医に相談して先発品のルボックス/デプロメールにかえてもらいましょう。

 

4.ルボックス/デプロメールとジェネリックの副作用の違い

副作用の出やすさに多少の違いはあると考えられますが、有効成分も同じなのでほとんど差がありません。

フルボキサミンの副作用について知りたい方は、
フルボキサミンの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

ジェネリックのフルボキサミンは、ルボックス/デプロメールと有効成分は全く同じです。ですが、薬の効き方が多少異なってしまいます。この影響は、薬の効果よりも副作用に違いが出てきます。

有効成分が同じですから、副作用のおおまかな特徴はかわりません。新しい抗うつ薬なので副作用は少ないですが、吐き気や下痢の副作用が目立ちます。

一般的に副作用は、血中濃度がピークになる時に最も出やすくなります。ジェネリックのフルボキサミンは、作っている製薬会社によって血中濃度の変化が異なりますので、副作用の出やすさには差があります。

必ずしも先発品のルボックス/デプロメールよりも副作用が増えるというわけではありません。先発品よりも緩やかに血中濃度が増加して緩やかに身体から抜けていくジェネリックでしたら、理論的には副作用が軽減されます。

実際にジェネリックを使っていて、「副作用が増えたから先発品に戻してほしい」ということは、ほとんどありません。

 

まとめ

フルボキサミンはルボックス/デプロメールのジェネリック医薬品で、同じ名前で複数発売されています。

ジェネリックは、ルボックス/デプロメールの5割程度の薬価になっています。

理論的には効果の違いは大きくありません。ですが、気持ちの問題で効果に違いを感じる方がいらっしゃいます。その場合は、主治医と相談して先発品に戻してもらいましょう。

副作用の出やすさに多少の違いはあると考えられますが、有効成分も同じなのでほとんど差がありません。

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