デプロメール錠25mg・50mg・75mgの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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デプロメールは、1999年に発売されたSSRIと呼ばれる抗うつ剤です。発売からしばらく経っており、ジェネリックも発売されています。

デプロメールの錠剤としては、25mg・50mg・75mgの3つの規格が発売されています。まずは25~50mgからはじめて、効果をみながら増減させていきます。ここでは、デプロメール錠25mg・50mg・75mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

デプロメールの効果について詳しく知りたい方は、
デプロメール錠の効果と特徴
をお読みください。

 

1.デプロメール錠の使い方

デプロメールは25~50mgから始めます。1日2~3回の服用をしていきます。効果をみて150mgまで使用することができます。

抗うつ剤は、不安や不眠に関しては効果がすぐに表れることもありますが、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。

抗うつ剤が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。およそ服用を始めて4~5日ぐらいで薬の体内での濃度が安定します。

デプロメールを服用すると、4~5時間で血中濃度が最高値になります。そこから徐々に血中濃度が低下していき、8.9時間で血中濃度が半減します。デプロメールは抗うつ剤の中では早く身体から抜けていくお薬です。このため、1日中効果を期待するには1日に2~3回服用する必要があります。

 

薬の添付文章では、25mg錠を1日2回に分けて合計50mgから始めていくことになっています。副作用が心配な方は1錠(25mg)から始めていきます。薬の効果をみながら、25mgずつ増量していきます。デプロメール錠は150mgまでは問題なく使えるお薬です。地域によっては300mgまで使えます。

デプロメールを150mgまで使っても効果がハッキリしない時は、

①もっと使える地域なら増量
②他の薬を追加
③他の抗うつ剤への変更

を考えていきます。デプロメールの効果はあったけれどももう一歩・・・という時は①か②の方法をとることが多いです。さっぱり効果がないときは、他の抗うつ剤へ変更していきます。

 

2.デプロメール錠とフルボキサミン錠の違い(薬価)

ジェネリックのフルボキサミン錠は、デプロメール錠の5割程度の薬価になっています。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。だいたい6割になることが多いのですが、デプロメールの場合は15近くの会社が作っているので、とても安くなります。ジェネリックの薬価は、デプロメールの5割程度に設定されているのです。

各ジェネリック医薬品の中でも薬価には差がありますが、これは製薬会社から薬局への卸値の違いで決まってきます。どのジェネリックを採用しているかは薬局によって異なりますので、確認してみてください。差があるといっても10%程度ですので、自己負担で考えると1~3%程度の違いになります。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ルボックス錠・デプロメール錠 25mg 36.1円
ルボックス錠・デプロメール錠 50mg 62.2円
ルボックス錠・デプロメール錠 75mg 85.7円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
フルボキサミン錠 25mg 17.6~21.5円
フルボキサミン錠 50mg 29.7~35.2円
フルボキサミン錠 75mg 39.0~52.2円

 

最大容量である150mg処方されている方で、3割自己負担の方が1か月にかかるお薬の価格を比べてみましょう。先発品のデプロメール錠では、1543円ほどになります。一番安いフルボキサミン錠ですと、702円になります。金銭的な負担は軽くなりますね。

※2015年9月30日現在の薬価です。

 

3.デプロメール錠とフルボキサミン錠での違い(効果や副作用)

デプロメール錠とフルボキサミン錠では多少の違いがありますが、ほとんど変わらないと考えられます。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもデプロメールの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのフルボキサミンを服用してからの血中濃度の変化が、デプロメールと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

 

抗うつ剤は、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。抗うつ剤が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。そして服用を始めて4~5日ぐらいで、薬の体内での濃度が安定します。

このように身体にたまっていくことで少しずつ効果が発揮される薬では、多少の違いは影響しません。有効成分が同じですから、副作用としてもおおまかな特徴はかわりません。新しい抗うつ剤なので副作用は少ないですが、眠気・体重増加・嘔吐・下痢・不眠・性機能障害が認められます。

 

そうはいっても違いはありますので、ジェネリックにする時は同じ薬局でお薬をもらうようにしてください。初めから同じ後発品のフルボキサミンを使えば、そのフルボキサミンの効果をもとに薬を調整することができます。

 

4.デプロメール錠25mg・50mg・75mgの使い分け

剤形を大きくすると、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。

デプロメールは25mg錠を1つか2つから始めていくことが多いです。効果をみながら少しずつ増量していきます。作用時間がそこまで長くないので、1日に2回の服用としながら25mgずつ増量していくことが多いです。

私はデメリットがあったら減らせるように、25mg錠剤を使って増やしていくことが多いです。純粋に金額のことだけを考えたら大きな剤形の方がよいのですが、もしも増量した時に副作用が出てしまったら困ってしまいます。

デプロメール50mgにする時に、デプロメール50mg錠1つと25mg錠2つでの薬価を比較してみましょう。自己負担が3割の方が1か月服用したとすると90円の違いです。これくらいの金額の違いでしたら、少しずつ増量した方がメリットが大きいと考えています。

 

薬を増やしていきながら問題がない量が定まったら、50mg錠や75mg錠などの大きな剤形に変更します。大きな剤形の方が、当然割安です。心身の状態が落ち着いて薬の調整が済めば、少しでも自己負担が少なくなるように配慮します。

あえて薬を細かく分けて服用する時もあります。

①副作用が目立つとき
②薬を服用することで気持ちが落ち着くとき

副作用は血中濃度が高い時に認められやすいです。3回などに分ければ、血中濃度のピークが減りますので副作用も軽減します。

また、薬を服用することで気持ちが落ち着くときもあります。デプロメールは即効性がある薬ではないのですが、服用することで落ち着くこともあります。「薬を飲んだ」という事実が大きいのだと思います。このような場合は、あえて薬を細かく分けて処方します。

 

5.抗うつ剤の薬価の比較

新しい抗うつ剤は全体的に高いですが、最近は安価なジェネリックも発売されてきています。

現在よく使われている抗うつ剤は、2000年ころから発売されました。まだ新しい薬なので、ジェネリックが発売されていないものが多いです。このため、どうしても薬価が高くなってしまいます。

まずは先発品の薬価を比較してみましょう。

抗うつ剤の薬価を比較しました。

うつ病での最大容量まで使ったときの、1か月の薬価を表にしてみました。基本的には3割の自己負担となりますが、継続的な通院治療が必要な方では、自己負担が1割となる制度があります。

詳しく知りたい方は、「自立支援医療の精神通院のポイント」をお読みください。

新しい抗うつ剤をしっかりと使うと、3割負担では3000円くらいはかかってしまいます。デプロメールは比較的安いですが、1500円ほどになってしまいますね。昔からある三環系抗うつ薬では安くなりますが、副作用が多くなってしまいます。三環系抗うつ薬の例としてトリプタノールをあげてみました。最大容量が300mgとなっていますが、ここまで使うことは少ないです。それでも1000円ほどで収まっています。

 

新しい抗うつ剤にも、ジェネリックが発売されてきているお薬もあります。新しい抗うつ剤で発売されているジェネリックの薬価をみてみましょう。

抗うつ剤のジェネリックの薬価比較

ジェネリックにすると薬価がかなり落ちますので、経済的な負担はだいぶ軽くなります。フルボキサミンでは700円ほどに抑えられます。

 

まとめ

デプロメールは25~50mgから始めます。1日2~3回の服用をしていきます。効果をみて150mgまで使用することができます。

ジェネリックのフルボキサミン錠は、デプロメール錠の5割程度の薬価になっています。

デプロメール錠とフルボキサミン錠では多少の違いがありますが、ほとんど変わらないと考えられます。

剤形を大きくすると、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。

新しい抗うつ剤は全体的に高いですが、最近は安価なジェネリックも発売されてきています。

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