アセリオの副作用と安全性

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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アセリオ(一般名:アセトアミノフェン)は、解熱鎮痛剤の注射薬として多くの人に使用されています。アセリオの主成分であるアセトアミノフェンは昔はNSAIDsに属していましたが、今は全く別の機序で痛みや発熱を抑えていることが分かってきています。

アセトアミノフェンは安全性が高いお薬と考えられていていますが、効果もマイルドといわれてきました。しかしながら十分量使えば、しっかりとした効果も期待できるお薬です。

そのためアセリオは1000mg(カロナールなどの内服は200mg~500mgが一般的)と高用量で、効果も高いお薬です。

アセリオの気を付けるべき副作用として肝機能障害がありますが、点滴で使うアセリオは基本的に入院で使用します。入院中は基本定期的に採血しているため、肝機能障害は気が付きやすい副作用です。

ここでは、アセリオを正しく使用するために、アセリオにどのような副作用があり、どのような方が使えないのかみていきましょう。

 

1.アセリオの副作用の特徴

アセリオの副作用として気を付けるべきものとして、肝機能障害があります。

アセリオの添付文章では、細かい副作用は記載されていません。実臨床でもほとんどアセリオの副作用は経験したことがありません。アセリオを使用していて最も心配なのは一番多いのは、

  • 肝機能障害

です。アセリオは主に肝臓で代謝されるために、肝臓を傷めることがあります。肝臓にダメージが加わると軽度であれば症状は出ないのですが、肝障害が進むと、

  • 嘔気・嘔吐
  • 食欲不振
  • 倦怠感

などの症状が起こります。ただしこれらはアセリオの副作用だけでなく、体調が悪くても起こりえるため注意が必要です。さらに重篤になると、

  • 発熱
  • 腹痛
  • 黄疸
  • 腹水貯留
  • 意識障害

などが生じ、最悪命に危険が及びます。アセリオの添付文章では、肝機能障害の頻度は不明とされています。さらにアセリオの添付文章の警告文で、

1.アセリオにより重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与すること。

2.アセリオとアセトアミノフェンを含む他の薬剤との併用により、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがある。

と肝臓のことが警告されていることから、昔は過度にアセリオの主成分であるアセトアミノフェンの副作用を恐れていました。特に①で1500mgと投与量が具体的に記載されていたため、内服のカロナールでは、

  • カロナール200mg2錠を朝・昼・夕3回で合計1200mgまで

というのが通例になっていました。しかし近年は、肝機能障害がない人はカロナール4000mg内服しても、ほぼ副作用がないことが分かってきました。そのため今では、内服のカロナールは

  • カロナール300mg
  • カロナール500mg

を1錠から2錠ずつ処方する機会も多くなっています。アセリオは1000mgのため、カロナールの通常量よりも高用量を投与します。しかしそれでも肝機能障害は短期間の使用ならほとんど起こりませんし、点滴のアセリオを長期使用する場合はほぼ入院中かと思います。入院中は採血で肝機能も調べると思いますので、アセリオの副作用は過剰に心配しなくてよいと思います。

なおNSAIDsに属さないアセリオは、NSAIDsでよくみられる胃腸障害はほぼ起こりません。(添付文章では、アセリオを高用量投与したとき起こり得ると記載されています。)

ロキソニンなどのNSAIDsは、アラキドン酸カスケードのCOXという物質を阻害するため胃腸障害起こります。しかしアセリオは、近年このアラキドン酸カスケードにほぼ関与しないことが分かってきたため、一般的には胃腸障害は起こらないと考えられています。

 

2.アセリオが使用できない疾患は?

アセリオは、重篤な肝機能障害がある人には通例は使用できません。また、アスピリン喘息は注意が必要です。

アセリオの添付文章では、

  1. 消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍が悪化することがある。]
  2. 重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]
  3. 重篤な肝障害のある患者[副作用として肝障害が報告 されており、悪化するおそれがある。]
  4. 重篤な腎障害のある患者[急性腎不全、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。]
  5. 重篤な心機能不全のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 重篤な高血圧症のある患者[血圧を更に上昇させるおそれがある。]
  7. 本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者
  8. アスピリン喘息[喘息発作を誘発することがある。]

となっています。この中で注意が必要なのは、

  • 重篤な肝機能障害
  • アスピリン喘息

の2つです。まず消化性潰瘍に関しては、完全にNSAIDsに属していた名残で禁忌に記載されています。先ほどの副作用でも記載したように、アセリオが潰瘍を引き起こす可能性は少ないです。むしろ現場では、NSAIDsが使えない代わりにアセリオを処方することが多いです。

また他の「重篤な」という一言がついている病気も、NSAIDsの名残です。「ロキソニンの安全性は大丈夫?ロキソニンの飲み合わせと妊娠への影響」で禁忌を見比べてみてください。アセリオとまったく同じ文言となっています。このように添付文章には、アセリオがNSAIDsと考えられていたころの名残が色濃く残っています。

実際に現場で気を付けるとしたら、

  • 重篤な肝機能障害

の患者さんに使用する場合です。先ほどの副作用で記載したように、肝機能障害が最も起こりやすい副作用です。様々なデータでも肝障害がない患者さんには比較的に安全に投与できるとありますが、肝機能障害がある方は話は変わります。

重篤な肝機能障害がある方は、痛み止めを使いづらいのです。お薬はほとんどが、

  • 肝臓
  • 腎臓

のどちらかで代謝されます。

「かんじんな時に頼りになる」などと使われる「かんじん」は、漢字では「肝心」となります。このことからも、肝臓は昔から非常に重要な臓器とされてきたことがわかるかと思います。つまり重篤な肝臓の障害があっても使用できるお薬と言うのは、実はほとんどありません。

そのため実臨床では、

  • 肝臓がなんの疾患が原因で悪くなったか?
  • 肝臓がどれくらい悪いのか?
  • 肝臓が今後良くなる見込みがあるのか?

など踏まえて、肝障害がある方でもアセリオが投与されることがあります。特に肝臓は採血で、

  • AST(GOT)
  • ALT(GPT)
  • γ-GTP
  • ALP
  • ビリルビン

などで評価します。AST・ALTの数値が非常に目安になります。(本当に肝臓が悪くなった時はむしろ上がらなくなりますが、ここでは説明を割愛します。)

そのため痛みや発熱など辛い症状がある肝機能障害の患者さんは、肝臓の専門医と相談しながらアセリオを投与しますが、定期的に採血して肝臓がさらに悪くならないかみていくことは大切です。

もう一つ気を付ける病気としては、アスピリン喘息です。アスピリン喘息は、喘息の中でもかなり特殊な病態です。喘息は、もともとは気道の慢性炎症によって気管支が狭くなる病気です。一般的には、Ⅰ型アレルギーに属します。Ⅰ型アレルギーは、好酸球やIgEが関与するアレルギー疾患で、他には花粉症や蕁麻疹などが挙げられます。

しかし最近、アレルギー以外が原因となる喘息があることが分かってきました。実はこの非アレルギー性の喘息の方が、対策もしづらく難治性といわれています。アレルギーではないということは分かっているのですが、細かい機序までは解明できていないためです。アスピリン喘息は、この非アレルギー性の喘息のひとつになります。

アスピリン喘息について詳しく知りたい方は、「痛み止めで喘息に?アスピリン喘息の症状と特徴」を一読してみてください。

実は以前では、NSAIDsを中心にこのアスピリン喘息は起きると言われており、アセトアミノフェンは安全と考えられて処方されてきました。しかし近年の研究で、アセトアミノフェン1回1000~1500mg投与したアスピリン喘息の方の33%の方で、呼吸状態が悪化したと報告されています。

そのためアセトアミノフェンは、アスピリン喘息の方は300mg以下に抑えるように喘息のガイドラインでは記載されています。アセトアミノフェンの通常量は1000mgのため、危険量を使用することになります。

そのためアスピリン喘息で使用する場合は減量するべきなので、必ずアスピリン喘息の方は医師に病名を伝えましょう。

 

3.アセリオで注意するべき疾患は?

軽度の肝機能障害がある人、肝臓の病気がある人はやはり注意が必要です。

上記の状態の方は、添付文章上では使用してはいけないとされている方です。ただし上記以外の方でも、添付文章には以下の疾患の方は気を付けるように記載されています。

  1. 消化性潰瘍の既往歴のある患者[潰瘍を再発させることが ある。]
  2. 血液の異常又はその既往歴のある患者[溶血性貧血等の‌副作用が起こりやすくなる。]
  3. 肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害を悪化又は再発させることがある。]
  4. 腎障害又はその既往歴のある患者[浮腫、蛋白尿、血清‌ クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。]
  5. 心機能異常のある患者[心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。]
  6. 過敏症の既往歴のある患者
  7. 気管支喘息の患者[病態を悪化させることがある。]
  8. アルコール多量常飲者[肝障害があらわれやすくなる。]
  9. 絶食・低栄養状態・摂食障害等によるグルタチオン欠乏、脱水症状のある患者[肝臓が悪くなることがある]

ここでも、NSAIDsと同じような内容が記載されています。しかし一般的なNSAIDsの添付文章にないのが、⑧と⑨になります。これは、アセリオが肝機能障害を生じるために記載されています。

特にアルコールを飲んでる人は、非常に注意が必要です。一方でアセリオを使用する場合緊急入院で、使用することも多いです。

消化器疾患の人はアルコールを飲んではいけないといわれている方も多いかと思います。飲酒が原因となって消化器疾患に罹患した方も多いのです。このようにお酒によって消化器疾患を罹患した人は特に、この機会にぜひ禁酒しましょう。

今後アセリオが使用しづらくなった場合、他の痛み止めの注射も使用しづらくなります。その他、

  • 腎臓
  • 心臓
  • 血液疾患
  • 消化管潰瘍

の病気がある人も、添付文章では悪化した事例があると記載されています。このため完全に油断はできないのですが、やはり最も注意するべきなのは肝機能障害です。アルコールを飲んでない人も、

  • 以前に肝臓の病気が指摘されたが今は完治している
  • 脂肪肝など言われており注意を受けた
  • 肝臓の数値が悪いと健康診断で言われた

などの人は、症状が無いから大丈夫と自己判断せずに必ず医師に相談しましょう。場合によってはアセリオを使用する前に、肝機能をみておく必要があるかもしれません。

 

 

4.アセリオと併用してはいけない薬はないの?

アセリオは、肝機能障害を起こすお薬との併用は注意しましょう。

アセリオの添付文章では、いっしょに併用したらいけないお薬は記載されていません。ただし、他にも併用するのに注意が必要なお薬はあります。

  1. ワルファリン(抗凝血作用を増強するおそれがあるため)
  2. チアジド系利尿薬 (利尿・降圧作用を減弱するため)
  3. カルバマゼピン(肝機能障害が起きやすくなる)
  4. フェノバルビタール(肝機能障害が起きやすくなる)
  5. フェニトイン(肝機能障害が起きやすくなる)
  6. プリミドン(肝機能障害が起きやすくなる)
  7. リファンピシン(肝機能障害が起きやすくなる)

などがあげられています。ここにあげたいくつかのお薬は単独でも肝機能障害が起こりやすいお薬です。このほか、肝臓にダメージを与えるお薬は沢山あります。アセリオを含めて薬剤性肝機能障害を引き起こした場合、どれが犯人か特定するのは非常に難しいです。

一般的には「疑わしきは罰する」で、アセリオも含めてすべて中止にしてしまいます。しかしアセリオは、代わりになるお薬は非常に少ないです。そのためアセリオを使用する方は、お薬手帳で必ずどのお薬をいつからどれくらい投与したかきちんと管理するようにしましょう。

肝機能障害が薬剤で起きた場合、この情報は非常に重要になります。どのお薬がいつから飲んでたか分からないとなると、医師側としてはアセリオを犯人として扱わなければいけなくなるので、ぜひアセリオを使用する方で他に複数のお薬を内服している人は、お薬手帳を完備するようにしましょう。

 

5.アセリオは高齢者、小児、妊婦には使用できるの?

アセリオは、高齢者には慎重に投与するように記載されています。小児でも積極的に選択されています。アセリオは妊娠の方にも投与できるお薬です。

まずご高齢の方ですが、アセリオは高齢者に対しては慎重に投与するように記載されています。理由としては、副作用が出やすいためとあります。特に上の文章をもう一度見て欲しいのですが、

  • 腎臓
  • 血液
  • 肝臓
  • 心臓

などに注意するように記載されています。高齢者は今まで指摘されていなくとも、上記のどれか悪いことはしばしばあるため注意が必要です。

特にアセリオは、熱を出してる原因を治療するものではありません。どうしても若年者よりも免疫機能も落ちているため、アセリオで様子を見ていたらあっという間に状態が悪くなったということが多々あります。

高齢者でアセリオを使用する場合は長期にわたって様子をみず必ず定期的に医療機関を受診するようにしましょう。

また小児に関しては、添付文章には、

低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児に対する使用経験が少なく、安全性は確立していない。

と記載されています。逆にいえば3か月以上の乳幼児には安全性がある程度確立されていることになります。実際にアセリオの主成分であるアセトアミノフェンは小児用にシロップも発売されており非常に多くの場面で使用されています。

また点滴で使用できる解熱薬で安全性が高いのはアセリオしかないため、アセリオが心配であればすべての点滴の解熱疼痛薬は使用できなくなります。

ただし高齢者の時と同様に痛みや熱の原因を治すわけではないので、使用している時は病態の悪化に注意しながら使用しましょう。

妊婦の方でもアセリオは良く使用されます。NSAIDsは逆にお腹の赤ちゃんへ血液を介して移行するため、「動脈管閉塞」が生じることが報告されています。特に動脈管の働きが重要になるのが妊娠後期です。そのため妊娠後半には、大部分のNSAIDsが禁忌とされています。

そのため妊婦の方で点滴で解熱・疼痛薬を投与するとしたらアセリオが選択されます。ただし

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

の一文が添付文章では記載されています。軽症であればアセリオを使用しないに越したことはないので、注意しましょう。

 

まとめ 

  • アセリオは、肝障害が副作用であります。
  • アセリオは肝機能障害がある方は定期的に採血で肝障害の悪化がないかみていきましょう。
  • アセリオは、どのようなお薬とも一緒に使用して絶対ダメな薬はありません。
  • アセリオは、小児、妊婦の方にも良く使用されるお薬です。

投稿者プロフィール

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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