私は糖尿病?境界型?それとも正常?糖尿病の診断基準について

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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健康診断で、「血糖値が高い」という結果になって「糖尿病疑い」と記載されてしまった方も少なくないかと思います。「疑い」と書かれていて、自分は糖尿病かどうかわからない方も多いかと思います。

糖尿病は、

  1. 糖尿病型
  2. 境界型
  3. 正常型

の3つに分かれています。これらの病期を決定する項目として、

  • 空腹時血糖値
  • 糖分負荷後2時間血糖値
  • HbA1c

の3つの項目で病気を決定します。ここでは糖尿病の診断基準についてまとめていきます。自分が糖尿病かどうか、ぜひ確認してみましょう。

 

1.糖尿病とはどういう病気?

糖尿病は、血糖値を下げるインスリン作用不足にて、慢性的に高血糖状態のことを示します。

糖尿病とは、インスリンが分泌されなくなる、もしくはインスリンは分泌させるが効かなくなってしまう病気です。インスリンとは私たちの体で作られるホルモンです。血糖値を上げるホルモンは沢山ありますが、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみになります。

そのため、炭水化物や脂質や蛋白質の代謝障害が起きてしまい、慢性的に血糖値が上昇します。現在、予備軍も含めると、成人の6.3人に1人が糖尿病とも言われています。多くの糖尿病症例は糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症が合併することが多く、また、腎障害、網膜症、大血管疾患が既に存在することも少なくありません。

この糖尿病は、1型と2型に分けられます。

1型糖尿病は、インスリンが膵臓にあるランゲルハンス島β細胞の破壊・消失が原因です。主な特徴として

  • 主に小児〜青年に生じる
  • 患者はやせている人が多い
  • 自己免疫や遺伝によるものがほとんどである

といった特徴があります。一方の2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝因子に、

  • 運動不足
  • 過食(主に高脂血症)
  • 肥満
  • ストレス

などの環境要因が加わった病気です。主に中高年から発症する病気ですが、近年の欧米化の食事に伴い、

  • インスタン食ばかり食べている
  • お菓子やジュースを多く摂取している
  • テレビゲームばかりで運動をほとんどしない
  • 太っている

上記の特徴がある小中学生にも、2型糖尿病を認めることがしばしばあります。そのため年齢だけではなく、1型・2型糖尿病の特性を理解したうえで分類する必要があります。

 

2.糖尿病かどうか判断する、空腹時血糖、糖分負荷後2時間血糖値、HbA1cとは?

糖尿病は、空腹時血糖・負荷後2時間血糖値・HbA1cの3つの項目から診断する病気です。

糖尿病は、

  1. 空腹時血糖値
  2. 糖分負荷後2時間血糖値
  3. HbA1c

の3つの数値から診断する値です。おそらく普通の健康診断の結果だと、

  • 血糖値
  • HbA1c

しか出ていないかと思います。それぞれの項目の定義について触れておきます。

 

①空腹時血糖値

血糖値は、1日の中で変動が激しい数値です。糖自体が体のエネルギー源になるため、常に血液を通して全身に運んでます。そしてこの糖分は、食事を摂取することで得られます。食べ物を消化した直後から血糖値が上昇して、1時間後ぐらいには大体ピークに達します。

そのため、血糖値は食事前(空腹時)か食後かで判断が変わります。なお空腹時血糖値は、一般的には早朝時の値を示すことが多いです。

寝てる間絶食状態なので、朝起きた直後は一番空腹状態だからです。

 

②糖分負荷後血糖値

一般的には随時血糖値ともいわれます。食後から時間を決めて測定した場合は、この値になります。細かい定義としては、

  • ぶどう糖を75g摂取した後の2時間後の血糖値

を糖分負荷後血糖値と定義しています。大部分の方は健康診断前に朝食を摂取したため、随時血糖値に当てはまると思います。もしぶどう糖負荷試験を行いたい方は、病院を受診して測定することが必要になります。

 

③HbA1c

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシーと呼びます)は、過去1~2か月間の血糖値の平均値に反映される数値です。ヘモグロビンとは、我々の酸素を運ぶ赤血球の成分です。このヘモグロビンが糖分と結合している割合が、HbA1cとして示されます。HbA1cの正常値は、大体4.6%~6.2%と言われています。

ただし赤血球のヘモグロビンは、糖尿病以外にも上下する可能性があります。

<HbA1c値が高い時>

  • 鉄欠乏状態

<HbA1c値が低い時>

  • 鉄欠乏が改善している時
  • 溶血性貧血
  • 腎性貧血

<どちらもなり得るもの>

  • 異常ヘモグロビン

このように、血液の病気がある方はHbA1cが上下する可能性があります。なおHbA1cは、これまでわが国ではJapan Diabetes society(JCS)として表記していましたが、その他の国々は、National Glycohemoglobin Standardization(NGSP)で計算されていました。

自国と他国で区別するのが紛らわしいため、日本糖尿病学会は2014年4月1日以降はNGSPのみ表記となっています。そのため、

  •  JCSで4.9%以下は、0.3%加えてNGSP
  • JCSで5~9.9%では、0.4%加えてNGSP
  • JCSで10%以上では、0.5%加えてNGSP

として使用するように示されています。(つまり、NGSP=JCS+0.3%~0.5%)

 

3.糖尿病の診断基準は?

早朝空腹時血糖値が126以上、随時血糖が200以上、HbA1cが6.5%以上で診断されます。

それでは具体的に、どの値がどうであれば糖尿病と診断されるかみていきましょう。糖尿病は、

  1. 早朝空腹時血糖値が126以上
  2. 随時血糖値(糖分負荷試験血糖値)が200以上
  3. HbA1cが6.5%以上

のどれかが当てはまると糖尿病型と診断されます。ただし、随時血糖値が210だけど、HbA1cは6.4%だったという人もいるかもしれません。

糖尿病は、それぞれの場合について細かく規定があります。2016~2017年の糖尿病ガイドラインを参考にした図が以下のものです。

まず①か②の血糖値が当てはまり、かつHbA1cが6.5%以上であれば糖尿病確定です。健康診断での採血で朝起きた直後に測る人はほとんどいないと思います。つまり、随時血糖値として考えます。健康診断での血糖値は、126以上で糖尿病疑いと記載されてます。(空腹時か随時血糖値か判断できないため、厳しめに測定されます)

そのため、血糖値が126~199と測定された方は糖尿病と断定できません。一方で血糖値が200以上で、かつHbA1cが6.5%以上の方は健康診断の結果の時点で糖尿病と診断されます。

しかしそれ以外の方も安心はできません。

  1. 血糖値が126以上から200未満でも、HbA1cが6.5%以上の人
  2. HbA1cが6.5%未満でも、血糖値が200以上の人

は黒と断定できなくても、白ともいえない灰色の方です。そのため、再検査を1か月以内にすることが推奨されています。①は糖尿病の症状があれば確定診断できるとなっています。典型的な糖尿病の症状として、

  1. 口渇
  2. 多飲
  3. 多尿
  4. 体重減少
  5. 糖尿病網膜症

が挙げられていますが、なかなか症状だけでは分かりづらいとは思います。ぜひ再検査してみてください。

そして再検査の場合は、

  • 血糖値
  • HbA1c

が片方でも基準値を上回れば、糖尿病と診断されることになります。さらに糖尿病と確定診断つかなかった方も、再度3~6か月以内に血糖値を測定が求められます。

特に空腹時血糖値と負荷後2時間血糖値の値によっては、正常と糖尿病の境界型の糖尿病の方もいます。

このように、

  • 空腹時血糖値が110から126
  • 負荷後2時間血糖値が140から200

のどこか一つの項目が当てはまると、糖尿病境界型と診断されます。この糖尿病境界型は、徐々に発症しているパターンと徐々に改善しているパターンが混在しているため、糖尿病境界型と診断された方も定期的に血糖値およびHbA1cを測定した方がよいと考えられています。

糖尿病は、発病したからといってすぐに症状が出る病気ではありません。そのため数値でいわれてもピンとこない人も多い病気です。

ただし糖尿病は治癒する病気ではないので、血糖値の数値で一喜一憂するのではなく、日々の生活を見直すいい機会にしてみてください。

 

まとめ

  • 糖尿病は血糖値を下げるインスリン作用不足にて慢性的に高血糖状態のことを示します。
  • 糖尿病は、早朝空腹時血糖値が126以上、随時血糖が200以上、HbA1cが6.5%以上で診断されます。
  • 糖尿病は、空腹時血糖が110から126または負荷後2時間後血糖値が140から200の場合は境界型と診断されます。

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