ハルナールD錠の副作用と安全性

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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ハルナールD錠(タムスロシン)は、α1神経遮断薬に分類される「前立腺肥大」の治療薬です。尿道や前立腺の平滑筋に作用することで、尿の通り道を広げて正常に戻します。

ハルナールDは即効性はあるお薬ですが、前立腺肥大自体を改善するお薬ではないため毎日飲み続ける必要があるお薬です。

ハルナールDは、めまいや胃部不快感の副作用があります。そのため起立性低血圧症がある人は気を付ける必要があります。

またハルナールDが女性なのに処方された人も稀にみかけます。女性なのになぜ前立腺肥大症の薬を?と思われる方もいるかもしれません。ハルナールDと女性に関してもここではみていきましょう。

 

1.ハルナールDの副作用について

ハルナールDはα1神経を遮断するため、めまいが起こることがあります。

ハルナールDの添付文章では、ハルナールカプセル承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例4724例中104例(2.2%)に発現しています。主なものは、

  • めまい
  • 胃不快感

となっています。ハルナールDはα1神経を遮断することで、尿道の平滑筋を緩めて尿を出しやすくするお薬です。α1神経は交感神経の一つです。α1は、実は尿道だけではなく全身にある神経です。ハルナールDは選択的に尿道のα1を遮断するようになっていますが、100%ではありません。

そのため、ハルナールが他の神経に作用してしまうことで副作用が起こることがあります。一番あり得るのが血圧低下です。α1神経は全身の血管に受容体があり、刺激されると血管が収縮して血圧が上がる作用があります。

α1神経を遮断するということは、血圧の低下につながります。血圧が急激に低下することで、めまいやふらつきが出現します。

場合によっては、失神といって意識が遠のいて倒れてしまうこともあります。ただし、倒れるまで重篤な副作用が認めることはほとんどないので、過度に心配する必要はありません。ふらつきなどがあった方は、「ハルナールの副作用かも?」と意識する程度でよいと思います。

 

2.ハルナールDが内服できない人は?

ハルナールDが内服できない疾患はありません。起立低血圧、腎機能障害、肝機能障害がある人は注意が必要です。

ハルナールDは、絶対に内服できない病気はありません。添付文章にも、禁忌は「ハルナールDにアレルギーがある人のみ」と記載されています。この一文は全ての薬に記載されています。

そのため処方する医師側も、前立腺肥大症と診断するとハルナールD錠をまず処方するという場合は多いです。ただし、

  1. 起立性低血圧(めまいが起こりやすい)
  2. 腎機能障害(副作用の頻度が増える)
  3. 肝機能障害(副作用の頻度が増える)

の方は慎重投与になっています。腎臓と肝臓はお薬を代謝して解毒する作用がある臓器です。そのためハルナールDに限らず、多くのお薬で慎重投与に記載されています。

ハルナールDを内服する方で特に気を付ける場合は、起立性低血圧がある人です。起立性低血圧がある人は、元々急に立ち上がるとふらつきがあります。そのため、ハルナールDを内服して頻度が増えても気が付かないことも多いです。

元々起立性低血圧がある人は、めまいやふらつきの頻度が増えていないか一度確認してみてください。

 

3.ハルナールDで飲み合わせを気を付けるお薬は?

ハルナールDは、降圧剤とホスホジエステラーゼ5阻害薬を内服している人は注意が必要です。

ハルナールDは、絶対に飲み合わせてはいけないお薬はありません。先ほどあげたような病気でも禁忌とされていないことからも、ハルナールDはどのような人にも内服させやすいお薬です。ただしハルナールDと注意するお薬としては、

  • 血圧低下のお薬
  • ホスホジエステラーゼ5阻害薬

の二つは注意が必要となっています。最初の血圧低下は副作用でも説明したように、ハルナール自体が血圧を下げる作用を有するからです。高血圧も前立腺肥大症も高齢者がかかりやすい病気です。

高齢者になればなるほど、血圧や薬の作用も強くなります。特に体調が悪い時には、血圧が変動しやすいので注意してください。もう一つのホスホジラーゼ5阻害薬は、ED(勃起不全)の治療薬です。

  • バイアグラ
  • レビトア
  • シアリス

などの名前で発売されています。このホスホジラーゼ5阻害薬は、最近になり前立腺肥大症の治療にも使われるようになりました。ホスホジラーゼ5を阻害することで、局所のcGMPの分解を阻害し前立腺の平滑筋を弛緩させます。ハルナールDとは別の機序で尿道を広げる作用があることが分かっているのです。

  • ザルティア

という商品名で発売されています。ただしホスホジラーゼ5も、ハルナールD同様血圧を下げる作用があるため、副作用であるめまいの出現頻度が増える可能性があります。

基本的にザルティアは、ハルナールDの効果が不十分な時の第二選択薬として使用されます。ハルナールDにザルティアを加えてからふらつきが強まった方は、主治医に一度相談してみましょう。

 

4.ハルナールDはアルコールと一緒に内服して良いの?

ハルナールDは、アルコール自体で効果は減弱しません。しかしアルコール自体が前立腺肥大症に良くないので、注意してください。

ハルナールDの添付文章では、アルコールと一緒にハルナールDを内服して効果が減弱するという記載はありません。そのため、ハルナールDを内服中にアルコールを飲んでいけないわけではありません。

一方で、アルコールも飲みすぎには注意してください。アルコールを飲みすぎると、肝臓に負担をかけてしまいます。ハルナールDは肝臓で代謝されるお薬のため、アルコールを飲みすぎて

  • アルコール性肝硬変
  • 脂肪肝

など肝機能障害が出現すると、ハルナールD継続が難しくなる可能性があるかもしれません。またアルコール自体が利尿作用があるため、頻尿などの前立腺肥大の症状を悪化する恐れがあります。

また、アルコール自体が血液の流れを活発にする作用があります。前立腺は血の巡りが良い臓器なので、アルコールを飲みすぎると前立腺が充血することで肥大する可能性があります。

ハルナールDと一緒にアルコールを飲んでいけないわけではないですが、ハルナールDが適応となる前立腺肥大に対してアルコールは悪化する作用があります。くれぐれも飲みすぎには注意してください。

 

5.ハルナールDは女性にも処方されるの?

保険上は、ハルナールDは前立腺肥大症のみしか適応はありません。しかし作用機序的には、ハルナールDは神経因性膀胱の女性にも効果があるお薬です。

稀に女性でハルナールDが処方される方を見かけます。処方された女性は調べたら、ハルナールDが男性の病気である前立腺肥大症のお薬と知って困惑する人もいるかもしれません。

「先生私のこと、男性と見間違ったのかしら?」というわけではなく、実はハルナールD自体は女性の神経因性膀胱に効果があるお薬なのです。

ハルナールDは前立腺肥大症に対してのお薬ですが、前立腺自体に作用するというよりは前立腺が肥大して狭くなった尿道に作用するお薬です。そのため、女性でも尿道が狭くなった病気に対して使用すれば効果があることになります。その代表的な病気が、神経因性膀胱です。

神経因性膀胱とは、尿を溜めたり、排尿する神経伝達がうまく伝える事が出来なくなる病気です。神経伝達が上手くいかないことで、

  • 頻尿
  • 尿漏れ
  • 残尿感

などの前立腺肥大症と同じような症状が出現します。

特に尿道などの末梢の神経弛緩性神経因性膀胱はハルナールDの適応となります。この状態は、膀尿道の平滑筋の緊張が強くなることで尿道が狭くなります。この状態は、ハルナールDがα1神経を遮断して尿道が広がり、症状が改善することにつながります。

ただし現在は、エブランチルが同じα1遮断薬でありながら、神経因性膀胱に伴う排尿困難にも適応が通っています。そのため女性の場合は、エブランチルを処方されることが近年では多くなってきています。

 

まとめ

  • ハルナールDは、めまい・胃部不快感などの副作用があります。
  • ハルナールDは、起立性低血圧、肝機能障害、腎機能障害がある人は注意が必要です。
  • ハルナールDは、血圧を下げるお薬、ホスホジラーゼ5阻害薬と併用する時は注意が必要です。
  • ハルナールDは、アルコールと一緒に接種しても問題はありません。ただしアルコールの大量摂取は、前立腺肥大症自体の悪化につながるため注意してください。
  • ハルナールDは女性の神経因性膀胱に効果があります。ただし適応外のため、エブランチルを処方することが最近では多くなってきました。

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