労働安全衛生法での健康診断の位置づけ
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
健康診断は会社が行わなければいけない義務となっています。労働安全衛生法に基づいて、一般健康診断と特殊健康診断を行わなければいけません。
ここでは、健康診断に関する労働安全衛生法を中心とした規定を見ていきたいと思います。
1.健康診断の実施に関する規定
労働安全衛生法第66条に規定されています。
健康診断に関する規定は、労働安全衛生法第66条に規定されています。第66条では、どのようなことを規定しているか、みてみましょう。
- 1項 健康診断実施の義務
- 2項 有害業務に対する特殊健康診断の実施義務
- 3項 有害業務に対する歯科健康診断の実施義務
- 4項 都道府県労働局長の指示による臨時健康診断の実施権
- 5項 労働者の受診義務(かわりに健康診断の結果を提出してもOK)
このように、労働安全衛生法においては、健康診断の実施および受診義務があります。健康診断として、一般健康診断・特殊健康診断・歯科健康診断の3つを実施しなければなりません。
また、労働安全衛生法第66条の2において、深夜業従事者は健康診断を自発的に行うことができます。健康に不安があって、次の健康診断よりも早く受診したいときには、労働者が自主的に健康診断を行って、その結果を会社に提出することができます。その結果を踏まえて、会社側は措置を検討しなければいけません。
労働安全衛生法が改正されて、第66条の10に、ストレスチェックの実施義務が追加されました。
2.健康診断実施後に関する規定
労働安全衛生法第66条の3~7・9に規定されています。
健康診断を実施した後にどのようなことをしなくてはならないのでしょうか?労働安全衛生法第66条の3~7・9に規定されています。
- 第66条の3 結果保存の義務
- 第66条の4 結果に関する医師からの意見聴取の義務
- 第66条の5 就労上の配慮の義務と時間外労働改善委員会への報告
- 第66条の6 結果の通知義務
- 第66条の7 医師・保健師による保健指導の努力
- 第66条の9 その他の健康への配慮を要する方への対応努力
健康診断の結果が上がってきてから従業員に配布します。会社としても、産業医に結果を確認してもらいましょう。この段階での確認としては、「すぐにでも対応しなければならない人がいるか?」になります。その後、健康診断の結果に従って、再検査や受診の促しをしましょう。主治医と産業医の意見を踏まえて、保健指導や就労上の配慮を考えなければいけません。
3.一般健康診断の規定
6つの健康診断が労働安全衛生規則に規定されています。
事業主が実施を義務付けられている健康診断を一般健康診断といいます。一般健康診断の具体的な規定については、労働安全衛生規則によって定められています。
雇い入れ時の健康診断と、その後の1年に1度の定期健康診断を行わなければいけません。また、深夜業などの特定業務に従事している方は、半年に1度の健康診断を行わなければいけません。
海外に6か月以上赴任する労働者は、派遣先の国を意識して必要な検査を、医師の判断で通常の検査に追加できます。赴任する国によっては、感染症や便検査などを行うことがあります。給食関係の仕事をされている方には、検便を行うことが義務付けられています。
自発的健康診断とは、上述した労働安全衛生法第66条の2のことです。深夜業を月4回以上、6か月平均で行っていると、従業員は自発的に健康診断を受けることができます。
4.特殊健康診断の規定
じん肺法および各規則によって規定されています。
特殊健康診断とは、一般健康診断とは異なる検査項目が必要となる健康診断です。特定の業務に従事している方に対して、健康障害が起きていないかを確認する検査です。対象となる事業内容は以下のようなものです。
まとめ
健康診断の実施に関する規定は、労働安全衛生法第66条にあります。
健康診断実施後に関する規定は、労働安全衛生法第66条の3~7・9に規定されています。
一般健康診断の規定としては、6つの健康診断が労働安全衛生規則に規定されています。
特殊健康診断の規定としては、じん肺法および各規則によって規定されています。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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