テグレトール服用中にグレープフルーツはダメ?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
テグレトールを処方された時、「グレープフルーツジュースは服用しないでください」と注意されることがあります。これはグレープフルーツの成分が、テグレトールと相互作用を引き起こすからです。
グレープフルーツジュースは、テグレトールにどのような影響があるでしょうか?具体的にどのように注意すればよいでしょうか?
ここでは、グレープフルーツのテグレトールへの影響について詳しくみていきたいと思います。
1.グレープフルーツはどのような作用をするの?
薬の吸収をする小腸において、薬を分解するCYP3A4の作用をブロックします。このため、薬が分解されずに吸収量がアップします。
グレープフルーツが薬と相互作用を引き起こすのは、薬を吸収する小腸においてのみです。よく薬の代謝を行う肝臓と誤解されているので注意が必要です。
薬の成分は、小腸の粘膜から吸収されて血中に運ばれます。小腸粘膜では、CYP3A4とP-糖蛋白という2つのメカニズムによって、薬を代謝して吸収させない仕組みがあります。
グレープフルーツジュースに含まれる成分は、この小腸粘膜での薬の代謝排出メカニズムを邪魔する働きがあります。とくにCYP3A4の作用をブロックします。CYP3A4は小腸だけでなく肝臓にも含まれる酵素で、多くの薬の代謝に関わっています。CYP3A4で代謝されていく薬は、吸収の段階でも小腸で分解されているのです。
グレープフルーツジュースはCYP3A4の働きをブロックするため、本来は小腸で分解されるはずの薬の成分が分解されずに、すべてそのまま吸収されて血中に運ばれます。このため、薬の効果が強まるのです。
グレープフルーツジュースは、P-糖蛋白の働きもブロックすると考えられていますが、その影響はそこまで大きくはありません。
2.グレープフルーツのテグレトールへの影響
小腸での吸収を高めて、血中濃度を上昇させます。
テグレトールは、CYP3A4、CYP2C8、CYP1A2によって分解されます。グレープフルーツジュースは、薬を吸収する小腸でのCYP3A4の働きを邪魔する作用があります。このため、本来は分解されて吸収されないはずの薬の成分が吸収されて、テグレトールの血中濃度が上昇してしまいます。
テグレトール服用時にグレープフルーツジュース300ml引用したところ、最高血中濃度が1.4倍になったという報告があります。テグレトールの添付文章においても、「本剤の代謝が抑制され血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤投与時は、グレープフルーツジュースを摂取しないよう注意すること。」と記載されています。
CYP3A4は、肝臓にも多く存在しています。テグレトールを代謝していく酵素なのですが、テグレトールはこの酵素(CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4)の肝臓での働きを活性化させる働きがあります。このため、テグレトールの効果が強くなるにつれて代謝されやすくなるという特徴があります。
テグレトールはこのように、血中濃度が安定しにくいお薬です。しかしながら、きっちりと薬の血中濃度を測って使っていく必要のある薬です。このため、グレープフルーツジュースの摂取は避けなければいけません。
3.グレープフルーツで注意が必要なお薬とは?
CYP3A4で代謝される一部の高脂血症薬、降圧薬(Ca拮抗薬)、睡眠薬(ハルシオンなど)、抗不安薬(セルシン/ホリゾンなど)に注意が必要です。
グレープフルーツジュースで注意が必要なのは、CYP3A4でおもに代謝される薬になります。小腸にはCYP3A4がほとんどなので、それ以外のCYPで代謝される薬では影響しません。
CYP3A4でおもに代謝されるお薬として有名なものとしては、降圧薬のCa拮抗薬があげられます。薬によって相互作用の強さに差はありますが、Ca拮抗薬を使っている時は血圧が下がり過ぎる危険があるので注意しましょう。
それ以外には、高脂血症薬のリピトールやリポバス、睡眠薬のハルシオン、抗不安薬のセルシン/ホリゾンなどに注意が必要です。
4.グレープフルーツの具体的な注意点とは?
一緒に飲まなければよいのではなく、薬を服用している間は避ける必要があります。
よく勘違いされているのですが、薬と一緒にグレープフルーツジュースを飲まなければよいのではありません。相互作用のある薬を服用するならば、グレープフルーツ関連は控えなければいけません。
薬と相互作用があるのは、グレープフルーツに含まれるフラボノイドやフラノクマリンと呼ばれる成分です。これらの成分は、グレープフルーツなどの柑橘類の果肉に多く含まれています。ですから、「グレープフルーツジュース」という表現がされるのです。
グレープフルーツ以外にも、ブンタン、スイーティー、晩白柚、夏ミカン、ポンカン、伊予かん、はっさく、きんかんなどに注意が必要です。バレンシアオレンジ、レモン、カボス、温州みかんの影響は比較的少ないです。
グレープフルーツの影響は長時間にわたります。CYP3A4の活性を落としてしまい、すぐには回復しません。完全に元に戻るまでには、グレープフルーツを中止してからおよそ3~4日かかるといわれています。
まとめ
グレープフルーツジュースは、薬の吸収をする小腸において、薬を分解するCYP3A4の作用をブロックします。このため、薬が分解されずに吸収量がアップします。
小腸での吸収を高めて、血中濃度を上昇させます。
CYP3A4で代謝される一部の高脂血症薬、降圧薬(Ca拮抗薬)、睡眠薬(ハルシオンなど)、抗不安薬(セルシン/ホリゾンなど)に注意が必要です。
一緒に飲まなければよいのではなく、薬を服用している間は避ける必要があります。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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