統合失調症に有効なお薬とは?統合失調症の薬物治療

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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統合失調症は、現在でもはっきりとした原因が分かっていない病気です。しかしながら、脳に機能異常があることは分かっていて、お薬によってその機能を整えることができます。

ですから統合失調症では、お薬による治療を欠かすことができません。できれば薬を使いたくない患者さんは多いかも知れませんが、統合失調症では薬物療法を行っていくことが必要不可欠です。

統合失調症の治療薬はたくさんあります。昔に比べると副作用の少ないお薬が数多く発売されています。それでは、どのようにして統合失調症の薬を使っていくのでしょうか?

ここでは、統合失調症の薬物治療に関して考えていきたいと思います。

 

1.統合失調症の症状と、その考え方

中核症状と周辺症状があります。持続する中核症状と一過性の周辺症状を、分けて認識することが大切です。

統合失調症の精神症状と問題行動に関して整理しました。

統合失調症の症状は、精神面や行動面で様々です。これらの症状はどれも目立つものばかりですが、統合失調症の病気の中核ともいうべき症状と、その影響としてあらわれてくる周辺症状に分けることができます。

中核症状は持続的にみられる症状で、抗精神病薬をしっかりと使っていくことで改善することができます、その一方で周辺症状は、一過性に出現している症状になります。

一過性の周辺症状に抗精神病薬を安易に使ってしまうと、多剤につながってしまいます。ですから、症状が一時的なものか持続性のものかをしっかりと分けて対応を考える必要があります。

 

2.統合失調症の薬の考え方

中核症状にはできるだけ単剤の抗精神病薬を、周辺症状には補助薬を使います。

中核症状は病気そのものの症状ですので、抗精神病薬を使わないとよくなりません。ですから、適切な抗精神病薬を使っていきます。

抗精神病薬はできるだけ単剤での治療が望ましいです。いろいろな作用の仕方をもつ抗精神病薬を併用してしまうと、各薬剤の特徴を相殺してしまうこともあります。

その結果として大量投与につながりやすいです。また、薬の有効性や副作用の原因などの特定が困難になります。ですから、できるだけ抗精神病薬は単剤が望ましいです。

 

一方で周辺症状には、補助薬を使っていきます。デパケンやリーマスといった気分安定薬を使っていくことがあります。感情の波を安定させることで、思考がまとまりやすくします。もし鎮静効果を素早く得る必要があるときには、ベンゾジアゼピン系抗不安薬などを使います。

これらの薬を上手く使うと、一時的に薬を使うことで症状を改善させることができます。

このような理由で統合失調症の患者さんのお薬は、「鎮静作用の少ない主剤+鎮静作用のある補助薬」という形での処方となることが多いです。

 

3.抗精神病薬を併用するのはどのような時?

抗精神病薬は単剤が理想ですが、効果が不十分な時には薬理学的な特徴を補い合うようにして使っていきます。

定型抗精神病薬しかなかった頃は、

  • ハロベリドールなど幻覚や妄想に効く「高力価高精神病薬」
  • レボメブロマジンなど鎮静作用が強い「低力価抗精神病薬」
  • スルビリドなど賦活作用のある薬

という3つの種類を組み合わせて服用するのが一般的でした。

その後、非定型抗精神病薬が出てからは、このような複数の薬の併用は減りました。そしてできるだけ単剤治療が推奨されるようになりました。

もちろん統合失調症の治療が単剤でしっかりできるのなら理想的です。ある薬の効果が不十分であれば、他の薬に切り替えていくのが原則です。

ですが統合失調症の治療は、単剤で行えないこともしばしばあります。それだけでなく、ある薬が70~80点の効果が出ていれば、他のお薬を併用した方がよい時もあります。

薬をだせば医者が儲かると勘違いしている方も多いですが、実は病院としてはいくら薬を処方しても、損をすることはあるけれども得をすることはありません。

 

2つ以上の抗精神病薬を併用する際には、薬理学的な特徴を補い合うようなものにしていきます。上で述べた「鎮静作用の少ない主剤+鎮静作用のある薬」と同じような考え方になります。

抗精神病薬を併用していく時には、ドパミンD2受容体との結合力を考慮していく必要があります。

  • 結合力が強い:ロナセン・ルーラン・リスパダール・エビリファイ・シクレスト
  • 結合力が弱い:ジプレキサ・セロクエル

幻覚や妄想などのいわゆる陽性症状が強い場合は、結合力が強いもので選んでいく必要があります。例えばエビリファイを使っていて幻聴などがひどい場合、ロナセンなどを追加していくことがあります。

意欲減退や感情鈍麻などの陰性症状が強い場合は、前頭葉でのドパミンの働きを増加させるようなお薬がよいです。部分作動薬のエビリファイや、ドパミン結合力が弱いジプレキサやセロクエルなどを併用することがあります。

 

まとめ

統合失調症の症状には、中核症状と周辺症状があります。

中核症状にはできるだけ単剤の抗精神病薬を、周辺症状には補助薬を使います。

抗精神病薬は単剤が理想ですが、効果が不十分な時には薬理学的な特徴を補い合うようにして使っていきます。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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