統合失調症の薬の調整

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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統合失調症の薬がうまく身体に合わなかった場合、どのようにして薬を調整していくのでしょうか?どのような点に注意をしていけばよいのでしょうか?

ここでは、抗精神病薬の調整方法を考えていきたいと思います。

 

1.薬の切り替え方法

「あまり効果が出ない」「副作用が強い」などの理由で、現在使っている薬から他の抗精神病薬に切り替えることもあります。薬の種類を切り替える方法には以下の3つがあります。

 

1-1.一気に切り替える

以前の薬が少量の場合や、持続注射剤も併用している場合に行います。

以前の薬を一気に中断し、すぐに新しい薬に切り替える方法があります。入院治療を行っている患者さんで急いで薬を切り替える必要がある場合や、持続注射剤(デポ剤)での治療を併用していて一定の薬が効いている時に行います。

<メリット>

  •  切り替えが簡単で、投薬や服薬での失敗が少ない
  •  病状をしっかりと観察できる

<デメリット>

  •  新しい薬の治療効果が思わしくなかった場合、症状が再発・悪化してしまうリスクが高い
  •  切り替える前の薬の離脱症状が現れる危険性も高い

 

1-2.漸減置換法

最もリスクが少なく基本的な方法です。

以前の薬の量を少しずつ減らすと同時に、新しい薬も加えて服用するという方法です。薬の切り替え方法としてはリスクが少なく、最も基本的な方法です。とくに定型抗精神病薬による副作用で錐体外路症状が強く現れている場合などに有効です。

<メリット>

  •  症状の悪化や離脱症状が見られる可能性が低い

<デメリット>

  •  薬の量を一気に減らすと、治療に必要な量に足りない状態になり、症状が悪化してしまう恐れがある

 

1-3.新しい薬がしっかり効いてから減量

急性期の症状が安定した直後や、持続注射剤からの切り替える場合に行います。

まずは、以前の薬に新しい薬を上乗せして併用していきます。副作用の問題もなく、効果がでるのに十分量になるのを待ちます。その後、徐々にもともとの薬の量を減らしていくという方法です。急性期の症状が安定したばかりの患者さんに対してや、持続注射剤(デポ剤)からの切り替えのときに行います。

<メリット>

  •  再び病状が悪化するのを防ぐことができる

<デメリット>

  •  併用する期間に薬の量が必要以上に多くなり、副作用が現れてしまうことがある
  •  完全に切り替えが行われないまま、2種類の抗精神病薬を併用し続ける恐れもある

 

2.薬を中止するときに注意すること

ハイピッチで減量して退薬症状が起こらないようにしましょう。

治療のために使っている薬の服用を止める際には、離脱症状やリバウンドなど「退薬症状」に注意する必要があります。抗ドパミン作用、抗コリン作用、抗ヒスタミン作用などの働きがある薬の使用を中止すると、精神病の症状や錐体外路症状が悪化したり、不眠や不安などを引き起こしてしまうこともあります。特に抗コリン作用の強い薬を急にやめたことでの離脱症状はよくみられます。

服用を急に止めてしまうのではなく、しっかりと計画を立て、徐々に量を減らして行きましょう。いくつかの薬を併用しているならば、影響の少ないものから減量していきます。薬の減量に伴う影響を和らげるため、ベンゾジアゼビン系の抗不安薬やバルブロ酸などを使用することもあります。

抗精神病薬の量を減らす中で、万が一病状が悪化した場合には、服用量を戻すことも受けいれてください。薬をやめたいからといって、焦って量を減らすような危険な方法は避けましょう。

 

3.定型抗精神病薬から非定型抗精神病薬へ

定型抗精神病薬にデメリットがあるならば非定型抗精神病薬への切り替えを行っていきます。

統合失調症の治療には、長らく「定型抗精神病薬」が用いられてきました。ドパミン受容体への作用があるため陽性症状への効果は期待できるのですが、陰性症状の改善は見られませんでした。

研究が進められ、陰性症状に対してはセロトニン受容体の働きを抑えることが有効であることが判明しました。これに合わせて使用されるようになった「非定型抗精神病薬」は、ドパミン受容体とセロトニン受容体のどちらにも作用します。「セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)」、「多元受容体標的化抗精神病薬(MARTA)」、「ドパミン受容体部分作動薬(DSS)」などの薬が、非定型に分類されます。

統合失調症の治療薬として定型・非定型のどちらを用いるかは、患者さんと薬との相性に大きく左右されます。その人の身体や症状に合ったものを使用していくのが大切です。第一選択薬として非定型抗精神病薬を用いるのが一般的ですが、最初に定型抗精神病薬を服用し、効果が十分に安定しているようであれば無理に切り替える必要はありません。

定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の切り替えを考えなければならないタイミングとしては以下のようなものがあります。

  • 陽性症状への効果が弱いとき
  • 陰性症状、認知機能障害が強く現れているとき
  • 錐体外路症状が見られるとき
  • きちんと服用しているのに、症状が繰り返し再発してしまうとき
  • きちんと服用できていないとき

 

まとめ

薬の切り替え方法には3つあります。一気に切り替える、漸減置換法、新しい薬がしっかり効いてから減量がありますが、もっとも基本的な方法は漸減置換法です。

薬を中止するときに注意することは、ハイピッチで減量して退薬症状が起こらないようにしましょう。

定型抗精神病薬にデメリットがあるならば非定型抗精神病薬への切り替えを行っていきます。

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