健康診断前日の食事

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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健康診断を受けるに当たって、「前日の夜は食事を控えてください」といわれることが多いと思います。これは、血液検査を正確に行うためです。

ここでは、なぜ食事をしてはいけないのかお伝えし、食事をしてしまった場合の対応を考えていきたいと思います。

 

1.健康診断前日に食事をしてはいけないのはなぜ?

食事をすると、血糖値・中性脂肪が上がってしまうためです。前日の21時をすぎたら絶食しましょう。

定期健康診断の前日の夜は、食事をひかえるように注意されることが多いと思います。だいたい21時~22時を過ぎてからの食事は、控えるように言われることが多いかと思います。これは、血液検査の結果を正確なものにしたいからです。

食事を検査の前にとってしまうと、血糖値と中性脂肪の数値があがってしまいます。

血糖値は、「空腹時血糖」を測ることが大事です。糖尿病のリスクを検査するためには、食事の影響がまったくない時の血糖値を測る必要があるためです。空腹時血糖は、前日の夜から10時間以上絶食し、朝食前に測定する血糖値です。この数値が109以下ですと正常とされます。110~125だと糖尿病予備軍といわれています。126以上ですと精密検査が必要になります。

中性脂肪は、どのような脂質異常症があるかを見るのに大切です。食事をとると、中性脂肪が上昇します。中性脂肪は、身体の細胞にとりこまれてエネルギーとなったり、肝臓に取り込まれてコレステロールになります。空腹時でも中性脂肪が150以上存在すると、中性脂肪が高い脂質異常症となります。中性脂肪は、12時間以上の絶食が望ましいです。

健康診断で採血をするのは、早い方でも9時くらいだと思います。ですから、前日の21時をすぎてから絶食すれば問題ありません。

 

2.健康診断の予定を忘れないこと

健康診断の予定を忘れて失敗する方が多いので、前日の夜にメモや付箋をおいて、必ず朝食前に目に入るようにしましょう。

前日に食事をしないまま寝るところまではよかったけれど、起きてからいつも通り食事をとって、暫くしてから「今日は健康診断だった!」と思いだして慌てたことはありませんか?健康診断前に食事をとってしまう方の多くが、寝ている間に忘れて朝食を食べてしまいます。そうならないようにするために、前日の夜から工夫をしておきましょう。

必ず翌日の朝食前に目に入るものに、メモや付箋を貼っておくことをお勧めします。携帯電話やスーツやベルトの目につくところ、朝食の机の上でもよいです。このようにしておけば、ついうっかり朝食を取ってしまうことが防げます。

特に社内で健康診断を受ける時は、通常の出勤と変わらない感覚になるため、要注意です。

 

3.もし食事をしてしまったら?

スタッフに伝えましょう。血糖値に関しては、ヘモグロビンA1cという検査を追加することも有効です。

そうはいっても、健康診断前に食事をしてしまったらどうすればよいのでしょうか?食事をとると問題になるのは、血糖値と中性脂肪でした。中性脂肪はカバーできないのですが、血糖値に関してはヘモグロビンA1cの値をチェックすることで、より正確に血糖値をみることができます。ですので、必要な場合は検査を追加することができます。

ヘモグロビンA1cは直前の食事の影響を受けません。ヘモグロビンは、赤血球に含まれる物質です。血管内に糖がいっぱい存在すると、糖はタンパク質であるヘモグロビンにくっつきます。これがヘモグロビンA1cです。高血糖の状態が続くほど、ヘモグロビンA1cが増えることになります。これは1回の食事で変化するわけではなく、時間をかけて変化していきます。赤血球の寿命が4か月(120日)程度といわれていますので、その半分が入れ替わる1~2か月くらいの血糖の平均を反映しているといわれています。

ですから、しっかりと血糖値をみる必要がある場合は、ヘモグロビンA1cを追加することも方法です。

 

まとめ

健康診断の直前に食事をすると、血糖値・中性脂肪が上がってしまうので控える必要があります。前日の21時をすぎたら絶食しましょう。

健康診断の予定を忘れて失敗する方が多いので、前日の夜にメモや付箋をおいて、必ず朝食前に目に入るようにしましょう。

もし食事をしてしまったら、スタッフに伝えましょう。血糖値に関しては、ヘモグロビンA1cという検査を追加することも有効です。

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