ノロウイルスの感染経路とは?空気感染するの?

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック

冬になると、激しい嘔吐や下痢を引き起こすノロウイルスが流行します。ノロウイルスはどこからやってくるのでしょうか?そして、どのようにして感染していくのでしょうか?

ノロウイルスの感染経路がわかれば、どのようなことに気を付ければよいのかが見えてきます。感染経路には、大きく分けて「経口感染」「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」の4つがあります。

ここでは、ノロウイルスの感染経路についてお伝えし、空気感染の危険性などについてみていきましょう。

 

1.ノロウイルスの3つの感染経路

ノロウイルス感染のはじまりは、カキなどからの経口感染(食中毒)です。感染力が非常に強く、主に接触感染によって周囲に広がります。

ノロウイルスの感染経路としては、大きくわけると経口感染・接触感染・飛沫感染の3つがあります。

ノロウイルス感染のはじまりは経口感染です。いわゆる食中毒とよばれていて、ノロウイルスに汚染された食品としては、カキなどの二枚貝が有名です。鮮度には関係なく、新鮮なものでもノロウイルスに汚染されていれば感染してしまいます。汚染された食品を十分に加熱していない、もしくは生のまま食べた場合にノロウイルスに感染してしまいます。

貝を直接食べなくても、生の貝を扱ってノロウイルスに汚染された器具や手のまま他の調理をすると、他の料理が汚染されてしまうことがあります。

 

このような食中毒からはじまり、ノロウイルスは強い感染力によって一気に「ヒトからヒトへ」広がっていきます。その感染経路は、おもに接触感染です。ノロウイルスに感染した人の便や嘔吐物に触れてしまうと、食事などのときに自分の手からウイルスが口に入ってしまいます。また、汚染物が手についた状態でドアノブやテーブルなどを触ってしまうと、他の人がそれらをふれるとウイルスが手にくっついてしまいます。

これ以外にも、飛沫感染があります。ノロウイルス患者さんが近くで急に嘔吐した場合などに、嘔吐物から舞い上がるノロウイルスを含んだ飛沫を吸いこんでしまって口に入るケースです。ノロウイルスの嘔吐は突然やってくるので、このような感染経路もあります。

 

2.ノロウイルスは空気感染するの?

まれに空気感染することが報告されています。嘔吐物の処理を徹底しましょう。

ウイルスは、「遺伝子を包んだタンパク質の殻」にすぎません。ですから、動物の細胞に入り込んで増殖しなければ生きていけません。空気中にでたウイルスは、やがて壊れて死滅してしまう運命にあります。

ウイルスによって壊れやすいウイルスと壊れにくいウイルスがありますが、ノロウイルスは壊れにくいウイルスになります。ですから、環境中で生き延びて、条件がそろえば空気感染することもあるウイルスになります。

空気感染は、厳密にいうと2つに分けることができます。飛沫核感染と粉塵感染です。

飛沫核感染では、ウイルスの飛沫核と呼ばれる微粒子が浮遊して他の人に感染していきます。そのためには、ウイルスが飛沫としてばらまかれた後に、水分が蒸発して微粒子となっても感染力を失わない必要があります。ノロウイルスでも、飛沫核感染を疑わせる報告があります。

粉塵感染では、嘔吐物や吐しゃ物などに汚染された粉塵が舞い上がり、空気中に広がることで感染していきます。嘔吐物や下痢ベンなどの処理が適切に行われないと、残ったウイルスが掃除などによって空気中に舞い上がってしまいます。ノロウイルスでも、粉塵感染を疑わせる報告があります。

 

いずれにしても、ノロウイルスの空気感染は嘔吐物によるものがほとんどです。その処理を誤ってしまうと、まれに空気感染してしまうことが報告されています。

 

3.感染経路をふまえて注意すること

とくに冬は、貝の生食は控えましょう。手洗い・うがいを徹底して、嘔吐した場合はノロウイルスを疑って処理しましょう。

これらの感染経路をふまえて、ノロウイルスの対策として何が重要なのかを考えていきましょう。

まずは自分が感染もとにならないことです。とくに冬は、貝の生食は控えた方が無難です。私も生ガキは大好きですが、仕事柄なかなか食べられなくなってしまいました。冬に貝を生食して2日以内に嘔吐や下痢などの症状がでてしまったら、ノロウイルスと考えて行動するようにしましょう。

自分の身を守るもう一つの方法は、手洗い・うがいです。基本中の基本かもしれませんが、もっとも予防効果が高いです。ちゃんと手洗い・うがいをできていますか?この機会に、正しい手洗い・うがいを確認しておきましょう。

 

ノロウイルスの感染を防ぐには、もう一つ大事なことがあります。それは、嘔吐物の処理です。

嘔吐物をいきなりふき取ってしまうと、嘔吐物が舞い上がって処理をしている人にも感染してしまうことがあります。それにふき取っただけでは、ウイルスがたくさん残ってしまいます。できるだけ汚染されてしまったものは、廃棄するのが一番です。廃棄できない場合は消毒をしなくてはいけませんが、ノロウイルスでは通常のアルコール消毒は効きません。塩素系の消毒をする必要があります。

ノロウイルスによる嘔吐物の処理は大変なので、嘔吐キットの購入をおすすめします。1キット3000円ほどで購入できます。嘔吐キットを使う時は、まずは 身を守るガウンや手袋を装着します。そして、塩素系消毒の用意をします。用意ができたらいきなり消毒するのではなく、まずは嘔吐物を凝固剤で固めます。こ うすることで、嘔吐物が飛び散らないようにします。かたまりを取り除いてから、残ったところを消毒します。

このようにして嘔吐物を適切に処理し、さらなる感染の拡大を防ぐ必要があります。

 

まとめ

ノロウイルス感染のはじまりは、カキなどからの経口感染(食中毒)です。感染力が非常に強く、主に接触感染によって周囲に広がります。

まれに空気感染することが報告されています。嘔吐物の処理を徹底しましょう。

とくに冬は、貝の生食は控えましょう。手洗い・うがいを徹底して、嘔吐した場合はノロウイルスを疑って処理しましょう。

投稿者プロフィール

元住吉 こころみクリニック
元住吉 こころみクリニック
2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック