ノロウイルスにワクチンや予防接種はあるの?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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インフルエンザは毎年ワクチンが作られますが、ノロウイルスでワクチンという話はあまり聞きませんよね?そうはいっても毎年流行するノロウイルスです。ワクチンや予防接種は開発されていないのでしょうか?

実をいうと、ノロウイルスのワクチンは開発がすすめられています。厚労省の審議会でも、開発優先度の高いワクチンと指定しています。ここでは、ノロウイルスのワクチンや予防接種について考えていきましょう。

 

1.ノロウイルスワクチン予防接種の目的

重症化しやすい方と感染拡大の懸念がある方に対して、ノロウイルスワクチン予防接種の有効性が期待されています。

ノロウイルスの開発はすすめられていますが、それは一般の方を意識したものではありません。ノロウイルスは悪夢のような嘔吐や下痢で苦しむ胃腸炎なのですが、比較的すぐに症状はよくなります。健康な方で死に至ることはまずないので、医療の世界では「軽い」という認識になってしまうのです。

それではどのような目的でノロウイルスワクチンを作られているかというと、大きくは以下の2つになります。

  • 乳幼児や高齢者、免疫の落ちている方の感染・重症化予防
  • 感染の拡大につながる方の感染予防

 

「軽い」といっても、抵抗力の低い方には重症化してしまうことがあります。発展途上国では毎年7~20万人もの乳幼児が亡くなっています。先進国であっても、毎年2万人以上の高齢者が亡くなっています。

また、医療従事者、飲食業、船舶渡航者、海外渡航者などでは、本人が感染してしまう可能性も高いですし、他の人に移してしまう可能性も高いです。

このような方の、感染予防や重症化予防のために開発がすすめられています。

 

2.ノロウイルスワクチンの開発現状

ノロウイルスでは、2価の不活化ワクチンの開発がすすめられています。

ノロウイルスにはⅠ~Ⅴまでの5つの遺伝子グループがあります。そのうち人に感染するのはⅠとⅡとⅣですが、ほとんどがⅠかⅡになります。グループⅠには19種類、グループⅡには22種類ものタイプが現在知られています。その中でも現在流行しているのが、グループⅡのタイプ4です。この遺伝子は変異することも多く、感染力が非常に強いです。グループⅠではタイプ1が比較的多いです。

このため、武田薬品ではGⅠ1とGⅡ4の2つをカバーしたワクチンの開発がすすめています。不活化ワクチンであるウイルスの殻をつかったワクチンが作られていて、臨床試験がすすめられています。まだフェイズⅠ~Ⅱの段階で、少数の被験者での効果や安全性についての検討がされています。

ノロウイルスチャレンジ試験といって、ワクチンを打った後に病原体のノロウイルスにさらすというスゴイ試験が行われています。ノロウイルスが健康な方に危険ではないためにできるのです。この結果によると、中等度~重度の下痢や嘔吐は68%、軽度も含めると52%の減少が認められたという報告がされています。

準備が整えば、フェイズⅢで多くの被験者での臨床試験に進んでいくと思われます。

 

それ以外にも、第一三共でも同じようにノロウイルスの開発研究がすすめられています。第一三共では、2014年9月の段階では基礎研究を進めている段階になります。

 

3.ワクチンがないので、予防が大切

手洗い・うがいを基本として、予防に気を付けることが大切です。

ノロウイルスでは、ワクチンは開発中です。製造されれば予防接種ができるようになりますが、臨床試験の進み具合をみると、まだまだ先のことになりそうです。フェイズ3の試験をするには数年かかることもあります。

ですから、ノロウイルスを予防することを意識しましょう。一番大事なことは、何よりも手洗い・うがいです。基本中の基本なのですが、ノロウイルスをはじめとした感染症の予防に最も効果があります。この機会に、正しい手洗い・うがいを確認してみましょう。

また、ノロウイルスはカキをはじめとした二枚貝が原因であることが多いです。この時期に生の貝はできるだけ避けましょう。ノロウイルスは加熱に弱いので、食品はできるだけ加熱するようにしましょう。

 

まとめ

重症化しやすい方と感染拡大の懸念がある方に対して、ノロウイルスワクチン予防接種の有効性が期待されています。

ノロウイルスでは、2価の不活化ワクチンの開発がすすめられています。

手洗い・うがいを基本として、予防に気を付けることが大切です。

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