新型ノロウイルスが大流行?ノロウイルスへの免疫の特徴とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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ノロウイルスには、インフルエンザと同じようにタイプがいくつかあります。最近では、いままでに流行していなかった新しいタイプのノロウイルスも流行しています。

新型ノロウイルスの危険性はどれくらいあるでしょうか?

ここでは、ノロウイルスに対する免疫について説明しながら、詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

1.ノロウイルスの流行状況

最近はGⅡ4というタイプのノロウイルスが流行していました。平成18年はこのノロウイルスが変異してしまい、大流行しました。平成26年は、GⅡ17流行が予想されています。

ノロウイルスにはⅠ~Ⅴまでの5つの遺伝子グループがあります。そのうち人に感染するのはⅠとⅡとⅣですが、ほとんどがⅠかⅡになります。グループⅠには 19種類、グループⅡには22種類ものタイプが現在知られています。

ここのところ流行しているのは、グループⅡのタイプ4です。この遺伝子は変異すること も多く、感染力が非常に強いです。

しばらくGⅡ4の流行が続いていました。平成18年にはこのタイプが変異をしたので大流行しましたが、その後は流行状況は大きく変わりありませんでした。

昨年の秋ごろから、GⅡ17というタイプのノロウイルスが増えてきました。今年の₂月以降になると、ノロウイルスはすべてこのタイプに変わってきています。まったく新しいタイプのノロウイルスなので、今年は例年以上の流行が予想されているのです。

 

2.ノロウイルスの免疫とは?

腸管で分泌されるIgAが免疫の中心です。ひとつのノロウイルス遺伝子型に免疫ができても、他の遺伝子型には免疫がほとんどありません。

ノロウイルスの免疫について考えていきましょう。

ノロウイルスの免疫で中心的な役割をしているのは、粘膜免疫とよばれる局所免疫機構です。身体の外にさらされている鼻腔・気道・消化管には、無数の細菌やウイルスにさらされています。これらが身体の中に入ってこないようにするために、粘膜には免疫があります。

具体的には分泌型IgAと呼ばれる抗体が作られます。この抗体が病原体にくっつくことで、細胞に取り付く前に中和してしまうことができるのです。ノロウイルスの免疫の中心は、この分泌型IgAになります。

ノロウイルスが身体に侵入してきてしまうと、全身の免疫反応が起こります。IgGをはじめとした免疫細胞が活躍し、増殖しようとするノロウイルスと戦います。その結果として、発熱・下痢・嘔吐といった症状が引き起こされます。

ノロウイルスには様々なタイプがあります。一つのタイプに免疫を獲得しても、残念ながら他のタイプにはほとんど免疫がつきません。ですから、同じシーズンであっても異なるタイプのノロウイルスに感染してしまうと、何度でも感染してしまうのです。

 

3.ノロウイルスの免疫持続時間とは?

6か月~年間と言われていますが、4~8年程度という見積りもあります。

それでは、ノロウイルスの免疫持続時間はどれくらいでしょうか?

健康な成人ではノロウイルスは死に至る病気ではないので、ノロウイルスを実際に投与して確かめるというすごい研究があります。ノロウイルスチャレンジテストの結果では、6か月~2年間くらいだろうという結論が出ています。

このチャレンジテストでは、街中で暴露されるよりもはるかに多いノロウイルス量を投与しています。ごく少量でしたら、身体の免疫が勝てる可能性もあります。また、現在流行しているGⅡ4とは異なるGⅠ1を投与したものとなっています。

これに対して、実際の年齢別のノロウイルス発症率や人々の免疫レベルなどを想定して推測で求めたノロウイルスの免疫持続時間は、4~8年となっています。

 

4.ノロウイルスのワクチンはないの?

現在、開発がすすめられています。例年より感染の拡大が予想されますが、そこまで爆発的な大流行はないと思われます。

ノロウイルスのワクチンも、現在開発がすすめられています。ですが一般の方向けではなく、

  • 乳幼児や高齢者、免疫の落ちている方の感染・重症化予防
  • 感染の拡大につながる方の感染予防

として作られています。健康な方にとってノロウイルスは死にいたる病気ではなく、インフルエンザほどの感染者数もいません。このため、大々的に予防接種されることはないかと思います。

詳しく知りたい方は、「ノロウイルスにワクチンや予防接種はあるの?」をお読みください。

 

さて、2015~2016年度シーズンでは新型ノロウイルスが流行しました。確かにノロウイルスの患者さんは増えた印象があります。ですがノロウイルスは、もともと免疫がつきにくいです。このため、ウイルスのタイプが変わったところで、そう大きな変わりはないのです。このため、極端な流行は認められませんでした。

 

まとめ

最近はGⅡ4というタイプのノロウイルスが流行していました。平成18年はこのノロウイルスが変異してしまい、大流行しました。平成26年は、GⅡ17の流行が予想されています。

ノロウイルスの免疫は、腸管で分泌されるIgAが免疫の中心です。ノロウイルスのひとつの遺伝子型に免疫ができても、他の遺伝子型には免疫はほとんどありません。

免疫持続時間は6か月~2年間と言われていますが、4~8年程度という見積りもあります。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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