インフルエンザと風邪の違いと注意すべき合併症

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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インフルエンザの季節になると、その年の流行の傾向や、ワクチンの接種をはじめとした予防対策についてなど、世間の話題と関心が集まりますよね。

普通の風邪でも熱は出ることがあるし、なぜそこまでインフルエンザは騒がれるの?ちょっと酷い風邪と同じじゃないの?と思っている人もいるかもしれません。

しかし、インフルエンザは簡単に重篤化しやすく、とくに高齢者や持病を抱えた人にとってはかなりの負担が身体にかかりますし、免疫力の未熟な幼児や小児も合併症がおこりやすく注意が必要です。

ここでは、インフルエンザと一般の風邪の症状の違い、注意すべき合併症についてお伝えしていきたいと思います。

1.インフルエンザも風邪の一種

インフルエンザも大きなくくりでは風邪症候群です。医学的には急性上気道炎をおこしています。

風邪は風邪症候群といって、鼻やのどに微生物に感染しておこる急性炎症全体を指します。ですから医学的には、急性上気道炎と呼ばれています。

風邪の原因となる病原体の8割ほどはウイルスですが、一般細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどの場合もあります。インフルエンザは、インフルエンザウイルスが感染しておこった風邪症候群のことなのです。

インフルエンザだけ取り上げて毎年話題になるのは、他と比べて症状が重症になり、また感染力も非常に強くて流行するためです。このために別の病気として扱われ、特に予防が推奨されているのです。

 

2.他の風邪とインフルエンザの違い

インフルエンザと風邪の違いは、症状と感染力にあります。

インフルエンザと風邪の違いは、症状と感染力の2つにあります。インフルエンザの方が症状が激しく、感染力も高いのです。

風邪のウイルスはたくさんの種類が存在し、それぞれおこす症状に特徴がありますが、基本的には鼻水、咳、のどの痛みなどの症状が最初に出てきます。それに伴って、下痢や嘔吐といった胃腸症状、頭痛や発熱、全身の筋肉の痛みなどがおこることもあります。しかし、38℃を超える高熱が続くことはそう多くなく、あまり症状が出ないままに治癒する場合もあります。

しかし、インフルエンザウイルスは、感染後1~2日で急激に発症し、のどや鼻の症状を感じるよりも先に、強い寒気や全身の痛みとともに38℃以上の高熱が出ます。その後に、鼻水や咳、喉の痛みなどがやってきます。発熱は1週間近く続いたり、一度下がったと思ったら再び熱が出てくることもあります。

このため、他の風邪に比べて体力の消耗が激しく、特に乳幼児、高齢者、腎臓病や糖尿病を持つ人の場合は、様々な合併症がおこり、命の危険にさらされることもあります。

 

次に、感染力についてインフルエンザと風邪の違いをみてみましょう。

インフルエンザも風邪のほとんども、原因はウイルスになります。ウイルスは咳やくしゃみなどの体液を通して、飛沫感染や接触感染で広がっていきます。飛沫感染とは、感染者が咳やくしゃみをして、近くにいる人がその体液を吸いこむことにより感染してしまいます。接触感染とは、体液がついた部分を触ってしまって、その手を無意識に口や鼻にもっていくことで感染してしまいます。

この点はどちらも共通しているのですが、インフルエンザウイルスは空気感染もすることがあります。空気が低温で乾燥している密室では、インフルエンザウイルスが飛沫核とよばれるごく小さな粒子となって空中を浮遊します。これを吸いこむことで、感染してしまうのです。

 

このような理由があるので、インフルエンザは風邪と分けて対策を厳重に行っていきます。インフルエンザワクチンを予防接種している方は、免疫がすぐに働いて症状が緩和されることが多いです。その結果、普通の風邪くらいの症状ですむこともあります。

 

3.高齢者に注意が必要なインフルエンザ合併症・・・肺炎

肺炎をおこす細菌に二次感染してしまい、重症化して死に至ることもあるので注意が必要です。

ウイルスが感染してのどや気道に炎症がおこると、その表面の細胞が壊れて防御機能が弱まってしまいます。すると、肺炎をおこす細菌に二次感染する危険性が高まります。

インフルエンザの場合は症状が激しいため、他の風邪以上に肺炎を合併しやすいです。

  • 心臓や呼吸器に慢性の疾患がある人
  • 糖尿病や腎臓病や免疫異常疾患を持っている人
  • 体力の弱っている人
  • 高齢者

は容易に重症化しやすいので、注意が必要です。時に肺炎から死にいたることもあり、年間で100~1600人の方が亡くなっています。ガンなどの基礎疾患がある方では死因としてあがってこないので、実際はもっと多いと思います。

このため、リスクがある方はワクチンで予防することが大切です。万が一インフルエンザにかかったとしても、ワクチンを予防接種していれば症状は抑えられます。体力の消耗と二次感染のリスクを避けることが重要です。肺炎になると入院も必要になることが多いので、病院で適切な処置を受けるようにしましょう。

 

4.乳幼児で注意が必要なインフルエンザ合併症・・・インフルエンザ脳症・脳炎

けいれんや意識障害、異常行動などがみられたら、すぐに病院に連絡しましょう。自己判断での解熱剤の使用が原因となる可能性もあるので、医師の指示どおりにお薬を使いましょう。

12歳以下の小児、特に1~5歳の幼児におこりやすい合併症が、インフルエンザ脳症です。

発症は急激で、発熱後数時間から1日以内に神経症状がおこります。主な症状は、けいれん、意識障害、異常行動といった神経症状が急激に進行します。そして、全身状態が悪化して多臓器不全となり、死に至ることもある合併症です。

幼児は高熱によってこのような症状をおこすこともあるので、そのすべてが脳症によるものというわけではありません。しかしながら幼児の場合、このような症状がみられたらすぐに病院に連絡するようにしましょう。

インフルエンザ脳症は、解熱剤との関連が疑われています。自己判断での解熱剤の使用が、脳症を引き起こす原因になる可能性もあるので、医師の指示通りにお薬を使いましょう。解熱鎮痛剤の中でも、アセトアミノフェン(カロナール・アンヒバ)やイブプロフェン(ブルフェン・ユニプロン)などは使うことができます。

幼児は免疫力も弱く、ワクチンの効果も大人ほどは期待できないため、周囲の大人が気を付けて、できるだけインフルエンザにかかりにくい環境にしてあげることが重要です。

 

5.風邪とインフルエンザを症状だけで区別するのは困難

大まかな風邪とインフルエンザの違いを挙げましたが、医師側からしても症状だけでどちらかを診断するのは非常に困難です。ですので自己判断はしないようにしましょう。

インフルエンザのシーズンは医療機関に多くの発熱の患者様が受診されます。年齢、持っている病気、内服しているお薬など様々な方がいらっしゃいます。免疫力が人によって違うので、これはインフルエンザではないだろうという軽症の方でもインフルエンザの検査をしてみたら陽性がでたということは多々あります。

インフルエンザは発熱してから48時間以内と早期に治療しないと、治すのが非常に難しい病気です。またインフルエンザが悪化してから入院させて欲しいと受診しても、他の患者様に移すリスクがあるので個室対応になります。冬の時期は病院も満床に近いことも多く、お部屋が空いて無くて色々な病院を受診しなければならないことも多々あります。

そのため早めに受診して悪化する前に適切な治療を受けることが大切になります。

 

まとめ

一般の風邪とインフルエンザの違いは、症状が激しく重症化しやすい点と感染力が強い点の2つです。

高齢者や免疫が落ちている方では、肺炎の二次感染に注意しましょう。

乳幼児では、インフルエンザ脳症・インフルエンザ脳炎に注意しましょう。

ただし軽症でもインフルエンザの事があります。インフルエンザが流行中に少しでも調子が悪いと思ったら、躊躇せず病院を受診するようにしましょう。自己判断で放置すると重症化してしまうことがあります。

ワクチンの接種を検討するだけではなく、日ごろからの手洗い・うがい、保温や保湿の工夫なども大切です。そして、睡眠や食事に気をつけ、免疫力を下げないように冬を過ごしましょう。

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