病院や健診だけ高血圧?白衣高血圧とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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診察室で血圧を測定すると、なぜか血圧が上がってしまうことはありませんか?自宅や出先で見つけて血圧を測れば正常なのに・・・という方は、白衣高血圧かもしれません。

白衣高血圧とは、白衣の前だけ高血圧になってしまうことです。病院や健康診断など、正式に血圧を測りますという状況のときにだけ血圧が上がってしまうのです。

このような白衣高血圧、果たして治療する必要はあるのでしょうか?ここでは、白衣高血圧はどのようにすればよいのか、最新のガイドラインに基づいてお伝えしていきたいと思います。

 

1.白衣高血圧とは?

診察時には高血圧ですが、診察外では正常な血圧の方です。

健康診断や病院で血圧を測定すると高血圧の基準値を満たしてしまう、けれども診察室の外で測れば正常域の血圧になるケースを「白衣高血圧」といいます。

病院で血圧をしっかり図るとなると、緊張してしまう方も多いです。緊張すると交感神経が働きますので、血管は収縮して高血圧の方向にいきます。緊張とまでもいかなくても、「高血圧じゃないといいなぁ」と身構えてしまって、それが結果に反映されてしまうこともあります。

白衣高血圧だと判明すれば、リスクは少ないので経過観察をする程度で問題ありません。ですが、合併症がある場合は、生活習慣へのアプローチを中心にして治療も考えていきます。

 

2.白衣高血圧を正しく診断するためには?

高血圧が疑われた方の15~30%になるので、しっかりと家庭血圧を測って診断しましょう。

病院で高血圧と診断されてしまうと、本当に高血圧の場合もあれば白衣高血圧の場合もあります。いきなり治療をしてしまうと、本当は高血圧ではない人にも治療してしまうことになりますね。

高血圧の診断は、病院だけでは行わないのが一般的です。正確に診断するために、家庭血圧を図っていただきます。通常は、朝と夜の2回の測定ですが、よりこまめに血圧を測定していただく方がよいです。

昼間の時間や夜間睡眠中などが測れれば理想で、はっきりしない場合は24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を行うのも方法です。

白衣高血圧症の方はかなり多いです。診察室で140/90を超えて高血圧が疑われた方のうち、15~30%は白衣高血圧症です。高齢者になるほど頻度は増加していきます。ですから、しっかりと白衣高血圧症の有無を見る必要があります。

 

3.白衣高血圧は治療が必要?

基本的には治療は必要ありませんが、悪化するリスクが高い方は生活習慣を中心にアプローチをしていきます。

白衣高血圧症は、通常の高血圧と比較するとリスクは少ないです。心血管病のリスクも少ないですし、臓器障害も軽度です。ですが、正常な方とまったく変わらないわけではありません。ストレス時に血圧上がりやすく、将来的に高血圧に移行することもあります。

このようなリスクが高い方の特徴としては、

  • 診察室外の血圧が正常といっても高めの方
  • 肥満やメタボリックシンドロームの要素がある方
  • 喫煙などのリスクがある方
  • 微量アルブミン尿などの臓器障害がみられている方

になります。ですから、リスクや臓器障害の有無を確認する必要があります。

リスクが高い方は、生活習慣の修正を中心にアプローチをしていきます。基本的には降圧薬での治療は行いません。

どうしても白衣高血圧が気になる方は、交感神経の働きを抑えるβブロッカーなどを使って緊張を緩和させることを目的に薬を使うことはあります。薬を使う前に、自律訓練法などを試していただけるとよいかもしれません。

自律訓練法について詳しく知りたい方は、「自分でできる!自律訓練法の効果」をお読みください。

 

まとめ

白衣高血圧とは、診察時には高血圧ですが、診察外では正常な血圧の方です。

高血圧が疑われた方の15~30%になるので、しっかりと家庭血圧を測って診断しましょう。

基本的には治療は必要ありませんが、悪化するリスクが高い方は生活習慣を中心にアプローチをしていきます。

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