高血圧はどのように治療されているの?高血圧治療の流れ

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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健康診断で血圧が高いと指摘されたことはありませんか?

高血圧が続くと、血管や心臓に負担がかかるので、動脈硬化や心疾患につながってしまいます。

高血圧と診断されたら、どのようにして治療をすすめていけばよいのでしょうか?いきなり血圧を下げるお薬を使っていくべきなのでしょうか?

ここでは、血圧を下げる方法について、ご紹介していきたいと思います。

 

1.高血圧治療の流れ

診断→リスク分析→生活習慣+薬

高血圧の方が治療をはじめるきっかけになるのには、2つのケースがあります。健康診断で高血圧と指摘されるケースと、何らかの心血管病が判明してしっかりと血圧をコントロールする必要があるケースです。

後者の場合は、すでに高血圧が大きな病気に発展してしまっているので、すぐにでも薬で治療を始めた方がよいです。前者の場合は、本当に高血圧なのかをまず判断する必要があります。

病院に受診しても、いきなり「あなたは高血圧です!」とは診断されません。一度の血圧測定だけでなく、機会を改めてもう一度血圧測定をして高血圧かどうかを判断します。できれば家庭血圧を測っていただけると、すぐに治療を考えていくことができます。

高血圧だとわかったら、まずはリスクを分析します。高血圧を治療する目的は、動脈硬化が進んでしまって心血管病へ進行していくのを防ぐためです。ですから、病気への進行のリスクを考えて治療を進めていく必要があります。リスク要因を問診で確認させていただいて判断していきます。

リスク分析ができたら、治療をすすめていきます。リスクが高いかどうかで変わってくるのは、薬を使った治療を行っていくスピードです。リスクが少ない場合は生活習慣をじっくりと行いますが、リスクが高い場合はすぐにでも薬を始めていきます。その場合でも、生活習慣は必ず意識して改善していただきます。

続けて、もう少し具体的に高血圧治療をみていきたいと思います。

 

2.高血圧の治療方針

まずはリスクで分けて、それによって薬での治療のスピードが変わってきます。

高血圧の治療方針について、ガイドラインに基づいてまとめました。

初診時に血圧が高くても、あまりに高い場合を除いて、日を改めて複数回血圧を測定して高血圧かどうかを判断します。できれば家庭血圧を測定していただき、白衣高血圧や仮面高血圧かどうかを確認します。

高血圧が確認できたら、その原因が他の病気にないかどうかを検討していきます。他の病気が原因でしたら、もちろんその治療を優先させていきます。

ここから、高血圧の治療がはじまっていきます。まず、治療のスピードを決定するためにリスク評価をします。そのリスクをみて、薬で治療していくスピードをかえます。

ただ、薬のスピードと関係なくすべての高血圧症の患者さんに対して、生活習慣の修正の努力をしていただきます。生活習慣の降圧効果には限界がありますが、まったくリスクもお金もかからずにできます。

そもそも高血圧治療の目的が心血管病の予防ですので、そのリスクになる生活習慣病全体から改善をしていくことは非常に重要です。薬を使う場合でも相乗的に効果がでてきますので、並行してすすめていきましょう。

低リスクの方でしたら、3か月経過を見ます。中リスクの方でしたら、1か月の経過をみます。高リスクの方には、すぐに薬物療法を開始します。個人的な感覚ですと、150を超えてくる方は薬を使うことが多い印象です。

 

3.高血圧のリスク分析

低リスク~高リスクの3段階にわけて分析します。

高血圧のリスク分類をガイドラインをもとに、わかりやすく整理しました。

高血圧の治療の目的は、動脈硬化が進んでしまって心血管病に発展させないためです。心血管病の原因は高血圧だけでなく、さまざまな原因があります。ですから、他の要因も含めてどれくらいのリスクがあるのかを分析する必要があります。

リスクの分析は、血圧の重症度と併存する危険因子や臓器障害の2つの観点で行っていきます。

血圧の重症度に関しては、軽症(Ⅰ度)高血圧~重症(Ⅲ度)高血圧の3段階があります。

2009年度のガイドラインまでは、正常高値血圧(130~139/85~89)もリスク分析を行っていました。正常高値血圧では、正常血圧に比べて明らかに心血管病のリスクが高いことがわかっています。

このためリスク第一層でしたら問題はなしとしていましたが、リスク第二層では中リスク、第三層では高リスクと、軽症高血圧と同じ扱いにしていました。

ですが、実際に「高血圧」と診断されていなければ、患者さんは治療を受けようとも思いません。紛らわしくなるだけとして、シンプルに高血圧の方だけにまとめられました。

危険因子や臓器障害の有無に関しては、心血管病の危険因子となる「高齢・喫煙・糖尿病・脂質異常症・肥満・メタボリックシンドローム」の程度と、「脳・心臓・腎臓・血管・眼底」などの血液循環に関係する臓器のダメージで評価されます。

危険因子として、糖尿病は特に強い危険因子なので、糖尿病があると一発で高リスクになります。それ以外にも、慢性腎臓病や血管系の臓器障害などがあると、すでに高血圧のダメージが臓器に出ているので一発で高リスクとなります。重度のメタボがある時も高リスクになります。

高血圧は心血管病の大きなリスク要因ですし、特に脳卒中のリスクと収縮期血圧のレベルは大きく関係しています。このため、しっかりとリスクを分析する必要があります。

 

4.血圧はどこまで下げるべき?降圧目標

降圧目標は、年齢や合併症の有無によって違います。

高血圧の降圧目標について、ガイドラインに基づいてまとめました。

できるだけ低い血圧にした方が、心血管病のリスクが下がるといわれています。正常血圧の中でも、より低い血圧を目指した方が、心血管系のリスクを減らすといわれています。

ですが、「薬を使ってどこまで下げるべきか?」と考えると、ある程度の目安が必要です。

若・中年者では、140/90まで降圧できれば心血管病のリスクが十分に低下することが示されています。糖尿病や慢性腎臓病(CKD)の方では、心血管系のリスクが高いのでより厳格な130/80を降圧目標とします。

後期高齢者では、臓器障害を伴うことが多いので、血流が臓器に行かなくなってしまうのを防ぐために緩めの150/90を降圧目標として、可能ならば140/90を目指すことになっています。

 

まとめ

「診断→リスク分析→生活習慣+薬」の流れで治療を進めていきます。

まずはリスクで分けて、それによって薬での治療のスピードがかわてきます。

低リスク~高リスクの3段階にわけて分析します。

降圧目標は年齢や合併症の有無によって違います。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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