男が浮気をする生物学的な3つの理由
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
浮気をするのは男と女、どちらが多いのでしょうか?
私は男性ということもあり、男側のぶっちゃけ話を聞くことが多いので、浮気をするのは男が多いのでは?という印象を持っています。インターネットで検索してみると、意外と女性という意見も多いです。
しかしながら離婚の原因をみてみると、男性側に要因があることが多いという意見が多いです。ちゃんとした統計などは出ていないので何とも言えませんが、男が原因の方が多いのかなぁという印象を外来でもっています。
結婚と離婚は人生の非常に大きな転機であり、精神状態にも大きな影響を及ぼすこともあります。心の病気の治療の中で、よく直面する問題です。
ここでは、男が浮気をしてしまうのはどうしてなのか、生物学的な理由を探してみました。
1.男の浮気の生物学的原因①-脳の使い方
男は大脳皮質の影響を受けやすいため、視覚を中心とした環境の影響を受けやすいです。
男が浮気をしやすい理由としては、脳の使い方の違いが影響していると考えられます。その結果として、女よりも男の方が環境の影響を受けやすいのです。具体的にみていきましょう。
脳には大きく分けて大脳皮質と大脳辺縁系に分けることができます。
大脳皮質では、視覚や聴覚といった感覚を受け取り、それを処理して意味づけて行動しています。大脳皮質では、認知や思考といった理性的な行動を行っているのです。
一方で大脳辺縁系では、人間の本能に結びついた食や性などの行動をささえています。本能的な欲求が満たされれば快と感じ、満たされないと不快や怒りを覚えます。このように大脳辺縁系では、情動(好き嫌いなどの感情)による行動を行っているのです。
ここで興味深い動物実験の報告があります。ちょっと残酷ではありますが、大脳皮質を除去した動物を作って、オスとメスでの性行動の違いを調べています。
すると、オスでは発情行動が弱まって、メスではほとんど影響がないという結果が認められました。このことが意味することは、オスは大脳皮質の影響をうけやすく、メスは辺縁系により支配されているということです。
オスが大脳皮質の影響を受けやすいということは、視覚や聴覚などの環境の影響を受けやすいということを意味します。人間は情報の9割を視覚から得ていると言われていますので、見た目の誘惑に男は負けやすいということです。
メスは大脳辺縁系の影響が強いということになります。大脳辺縁系は唯一、嗅覚とのつながりが深いです。女の弱点は、嗅覚といえるかもしれません。
ちなみに男は、大脳辺縁系にダイレクトに訴えかけられても弱いので、嗅覚にも弱いと考えられます。男はすべての感覚に影響をうけやすく、状況に流されやすいために浮気しやすいといえます。
2.男の浮気の生物学的原因②-交感神経系の発達
男は狩りを社会的役割としていたので、交感神経系が発達しています。
それでは、男と女の違いを進化論的にみてみましょう。
もともと原始の人間は、「男は狩りに行き、女は子育てをする」というのが社会的役割でした。狩りをするために、男は目的志向的な考え方をするように脳を使ってきました。獲物を見つけたら息をひそめ、仲間の合図がでたら一気に獲物を襲う、そんな形で一気にアクセルを上げるために、交感神経系が発達しました。
女は子育てのために、環境がどんなに変化しても安定していることが求められました。そのためにはお母さん仲間で協力し、情緒が安定している必要があります。社交性とともに、副交感神経系が発達しました。
一般的には「女は感情的になる」と言われますが、それは生物学的には異なります。男の方が感情的になりやすいのです。ただ「男は感情をもつことを恥」「男は理性的なことが美徳」という教育の中で押し殺されているのです。
実際にケンカをした時に男と女で血圧の変化などをモニターすると、男の方が変化が大きいという結果が報告されています。男の方が感情的になりやすいのです。
感情的になりやすさは理性にあらがって、浮気をしてしまうきっかけになってしまうのでしょう。
3.男の浮気の生物学的原因③-種の保存での役割
男は子供がある程度大きくなって女に任せられるようになると、種の保存のために新たな子供を産むことが求められました。
私たち日本人は、日々の生活の中で命の危険を感じることはないかと思います。まだまだ世界の多くの地域では、いつ自分の命がなくなるかわからない中で生活している人々がいます。
日本の少子化は、命の危険を感じることがなくなった平和の証しでもあるのです。子孫が少なくても、確実に生き残って次代につなげるという安心があるからなのです。人類の長い歴史のほとんどは、常に生命の危険におびえて生きてきました。そのため人類としては、種の保存は大きなテーマでした。
生物の種の残し方には、2つの戦略があります。K戦略とr戦略です。
K戦略では、競争力の強い子孫を確実に残すための戦略です。安定な環境だと、同種間での競争が激しくなります。その中で勝てる子孫を作る戦略です。r戦略では、少しでも多くの子孫を残そうと、数で勝負する戦略です。変化の激しい環境だと、数が多ければわずかでも生き残ることができます。
人類は「大きくて強い子を少しだけ産む」というK戦略をとっています。感覚的にもわかると思いますが、子供を育て上げるのに時間がかかるのです。ここに、種の保存としての男と女の役割の違いが生まれます。
子供が大きくなり独り立ちするまで、女は母として育て上げなければいけません。子供から離れることができないのです。それに対して男は、子供がある程度大きくなるまでは父として支える必要があります。母に子供を任せられるようになると、種の保存のために新たな子供を産むことが求められたのです。
このように考えると、男はある程度の時間がたつと、本能的に浮気しやすくなると考えられます。
4.男が浮気をしないためには?
男としての特徴を肝に銘じて行動し、自分の家族や社会での役割を自問自答する必要がありそうです。
ここまで、男の浮気について言い訳めいたことを書いてきました。
- 脳の使い方:男は環境に影響されやすい
- 交感神経の発達:男は感情的になって流されやすい
- 種の保存での役割:時間がたつと移ろいやすい
まずはこれらの特徴をよく自覚しなくてはいけません。私自身も肝に銘じます。
男は環境に影響されやすく、さらに感情的に流されやすい。ちょっとした出来心が命取りになりやすいということです。誘惑がある場には、自分が流されない自信があってもいってはいけないのでしょう・・・
時間がたつと移ろいやすいので、浮ついた気持ちが出てきたときは冷静に考えましょう。当たり前に感じている家族を失ってしまうかもしれません。職場にばれてしまうと、人事考課にも影響します。
「何かいいことないかなぁ」と、出来心がでてしまった時は要注意です。あらためて自分の家族や社会での役割を自問自答する必要がありそうです。
まとめ
原始の男は、子供が4歳になるころまでは母も子も食事の面倒を見なければなりませんでした。このため獲物を巣穴まで運び、共同生活していたそうです。ですが4歳ころになり、子供が自立できるようになると、男は「それじゃ!」と言ったかはわかりませんが、母のもとを去って次の相手を探したそうです。
ですから、離婚が一番多いのは結婚4年目の夫婦ともいわれています。本能的に家族生活の大切さが薄れていくのが4年目ということなのでしょう。
とはいえ現代はまったく異なっています。一夫一妻のもと、死ぬまで添い遂げて家庭を築いていく必要があります。離婚の原因となるのは男が多いと思います。それは浮気だけでなく、社交性の部分も関係しているでしょう。
進化論の話のところでふれましたが、女は子供を仲間で育てるため、社交性が発展しました。夫婦の会話がなくなっていくのも、男が原因のことが多いです。
世の中の男には住みにくい世の中になってしまったかもしれませんが、現代人として適応しなければ不幸が待っています。お互い頑張りましょう!
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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