自律神経調整薬と呼ばれているグランダキシンですが、効果が非常に穏やかなベンゾジアゼピン系抗不安薬になります。

良くも悪くも作用が弱いので、効果としては物足りないかも知れませんが、副作用や依存性は非常に少ないお薬です。とても安全性の高いお薬といえます。

ここでは、グランダキシンで注意すべき副作用を詳しくお伝えし、他の抗不安薬とも比較していきたいと思います。

 

１．グランダキシンの副作用の特徴

グランダキシンは作用時間が短く、作用が穏やかです。ほとんど副作用や依存性はなく、非常に安全性の高いお薬です。

グランダキシンの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

グランダキシンは最高血中濃度到達時間が１時間、半減期が０．５時間の抗不安薬で、短時間型に分類されます。

グランダキシンの効果の強さとしては、

• 抗不安効果「とても弱い」
• 催眠効果「とても弱い」
• 筋弛緩効果「とても弱い」
• 抗けいれん効果「わずか」

となっています。詳しく知りたい方は、「グランダキシン錠の効果・効能」をお読みください。

 

まずは作用時間をみてみましょう。１時間で血中濃度がピークになるので即効性がある薬です。このため、グランダキシンを飲んですぐに副作用が強く出てくる可能性があります。

そして、半減期（血中濃度が半分になるまでにかかる時間）が０．５時間と短く、副作用が抜けるにはそこまでかかりません。効果の持続時間は２～６時間ほどですので、この間は副作用が認められる可能性があります。

 

効果の強さをみてみましょう。抗不安作用が非常に穏やかなお薬なので、「グランダキシンが効く」という実感はほとんどないと思います。このため、依存性はとても低いです。また、筋弛緩作用や催眠作用も非常に弱いので、眠気やふらつきなどの副作用もほとんど認めません。良くも悪くも優しいお薬と言えます。

それでは、症状ごとに副作用をみていきましょう。

 

２．グランダキシンで多い副作用①－眠気

グランダキシンでは「眠気」は非常に少ないです。眠気がみられた場合、様子を見ても改善しないようならば、薬の減量か、抗不安薬ではないアプローチを検討します。

グランダキシンは抗不安作用が穏やかなお薬ですが、催眠作用も穏やかです。このため、催眠作用は他の抗不安薬と比較すると非常に少ないです。まれに、お薬が効きすぎてしまって眠気が認められることがあります。

グランダキシンは１日を通しての効果を期待して使うお薬で、自律神経のバランスを整えていきます。ですから、通常１日に３回の服用となります。グランダキシンは即効性があるお薬なので、服薬直後の眠気には念のため注意しましょう。

グランダキシンの承認時と市販後調査を合計すると、眠気の副作用は０．６２％の方に認められています。とても少ないとはいえ、眠気は最も多い副作用です。

 

グランダキシンで眠気が認められたときは、どうすればよいでしょうか？

まだ服用して間もないときは、できれば様子をみてください。薬が身体に慣れてくると眠気が少なくなっていきます。薬の服用時間を変更すれば解決できることもあるので、できることは試してみます。

それでも眠気が続く場合、２つの方法があります。

• 薬の量を減らす
• 他のアプローチをする

薬の量を減らせば、当然効果は減ってしまいます。ですが、副作用である眠気も和らいでいきます。効果との兼ね合いではありますが、大丈夫そうでしたら少しずつ減薬をしてみましょう。

グランダキシンよりも眠気が少ない薬はなかなかありません。抗不安薬としてはセディールくらいでしょうか。グランダキシンで眠気が出る場合は、不安や緊張に対するアプローチ自体を変えていきます。

• 不安が強い→抗うつ剤をじっくり使っていく
• 不安が弱い→薬以外の方法を試みてみる。（生活習慣や自律訓練法など）

 

３．グランダキシンで多い副作用②－ふらつき

グランダキシンでは「ふらつき」は非常に少ないです。ふらつきが認められた場合、様子を見ても改善しないようならば、薬の減量か、抗不安薬ではないアプローチを検討します。

グランダキシンは、非常に弱いものの筋弛緩作用があります。

緊張が強くて肩がこってしまったり、身体に緊張やこわばりがある時は、むしろ効果になります。ですが、高齢で足腰が弱っている方に筋弛緩作用が強く出てしまうと、ふらついてしまって危ないです。眠気も相まって、転倒して骨折してしまうようなこともあります。

グランダキシンの承認時と市販後調査を合計すると、ふらつきの副作用は０．１８％の方に認められています。グランダキシンでは、めったにみられない副作用ではあります。

 

グランダキシンでふらつきが認められた場合、どうすればよいでしょうか？眠気と対策は同じになります。

まだ服用して間もないときは、様子を見ていくことでなれていくことがあります。それでも改善がない場合、減量するか、他のアプローチを考えていきます。

 

４．グランダキシンの安全性－依存と離脱症状

グランダキシンは依存性がとても低いです。そうはいっても、漫然と使わないようにしましょう。

グランダキシンは作用が穏やかなお薬なので、依存性もとても低いお薬です。だからといって、漫然とお薬を続けないようにしましょう。

依存には大きく３つのポイントがあります。身体依存と精神依存と耐性の３つです。

身体依存とは、薬が身体からなくなっていくと離脱症状が起こることです。身体が薬のある状態に慣れてしまうことで、急になくなるとバランスが崩れてしまいます。身体が依存してしまう状態です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬を急にやめてしまうと、離脱症状が生じるようになってしまいます。

精神依存とは、精神的に頼ってしまうということですが、これは効果の実感の強さが重要です。効果が早く実感され、効果がきれる実感が大きいものほど精神的に頼ってしまいます。心が依存してしまう状態です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は効果がしっかりとしていて即効性もあるので、どうしても頼ってしまいます。

耐性とは、薬が体に慣れてしまい効果が薄れていくことです。はじめは１錠で効いていたのに少しずつ効かなくなってしまう時は、耐性が形成されています。

 

依存しやすい薬としては、

• 作用が強い
• 作用時間が短い

このような特徴があげられます。グランダキシンは作用時間が短いですが、作用もとても弱いです。このため総合的にみて、依存性はとても低いです。

依存を防ぐポイントは、以下になります。

• できるだけ少量・短期間で使う
• アルコールと一緒に服用しない
• 作用時間が長い抗不安薬にする

 

依存を心配される方は多いですが、アルコールに比べたらはるかにマシです。お酒を飲んでいる方はいっぱいいますが、アル中になる方はごくわずかですよね？ですから、過度に心配することはありません。医師の指示通りの量を守って服用すれば問題ありません。

とはいっても、グランダキシンは漫然と使うべきお薬ではありません。あくまで一時的に自律神経のバランスを整えるために使うお薬です。状態が落ち着いたら減薬していきましょう。

詳しく知りたい方は、
グランダキシンに依存性はあるのか？
をお読みください。

 

５．グランダキシンと他剤での副作用の比較

グランダキシンの作用時間はとても短いです。他の抗不安薬と比較すると、抗不安作用・催眠作用・筋弛緩作用が非常に弱く、良くも悪くも優しいお薬と言えます。

グランダキシンの副作用がどうしても改善できない時は、他のベンゾジアゼピン系抗不安薬への変更を検討します。その時は、効果と副作用のバランスをみながら、適切な薬を選んでいきます。

抗不安薬を比較するにあたっては、２つのポイントがあります。

• 作用時間（最高血中濃度到達時間・半減期）
• ４つの作用への強さ（抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん）

このポイントを意識して、適切な薬を選んでいきましょう。

よく使われている抗不安薬を比較すると、以下のようになります。

この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

まとめ

グランダキシンは作用時間が短く、作用が穏やかです。ほとんど副作用や依存性はなく、非常に安全性の高いお薬です。

グランダキシンでは「眠気」や「ふらつき」は非常に少ないです。様子を見ても改善しないようならば、薬の減量か、抗不安薬以外のアプローチを検討します。

グランダキシンは依存性がとても低いです。そうはいっても、漫然と使わないようにしましょう。