トフィソパム錠の効果と副作用

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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トフィソパム錠は、1986年に発売された自律神経調整薬グランダキシンのジェネリックです。

作用機序はベンゾジアゼピン系抗不安薬と同じなのですが、良くも悪くも非常に穏やかに作用するお薬です。このため、抗不安薬というよりは自律神経症状を整えるために使われることが多いので自律神経調整薬といわれています。このため、心療内科や精神科よりも、内科や産婦人科などで処方されることの方が多い薬かもしれません。

効果としては物足りなさを感じてしまうことも多いお薬ですが、副作用や依存の心配がほとんどありません。

ここでは、トフィソパムの効果と効能について詳しくみていきたいと思います。他の抗不安薬とも比較しながら、どのような方にトフィソパムが向いているのかを考えていきましょう。

 

1.トフィソパムの効果と特徴

トフィソパムは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。4つの作用の強さは、

  • 抗不安作用「とても弱い」
  • 催眠作用「とても弱い」
  • 筋弛緩作用「とても弱い」
  • 抗けいれん作用「わずか」

となっています。これをふまえて、トフィソパムの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

1-1.トフィソパムのメリット

  • 自律神経症状を改善する
  • 副作用が非常に少ない
  • 依存性が極めて低い

トフィソパムは、良くも悪くも効果が非常に穏やかなお薬です。自律神経の調節をしている視床下部に作用して、交感神経を鎮める働きがあります。このため、頭痛・発汗・動悸・めまい・倦怠感といった自律神経の過緊張症状を和らげる働きがあります。更年期障害にも使われます。

また、筋弛緩作用や催眠作用は非常に弱く、副作用としてもほとんど認められません。効果が穏やかなため、ベンゾジアゼピン系のお薬にはつきものの依存性も非常に低いです。

 

1-2.トフィソパムのデメリット

  • 効果がとても弱い

トフィソパムのデメリットは、効果の優しさにあります。不安を抑える効果としては、物足りないことが多いです。あまり抗不安薬としての効果は期待できません。

自律神経症状を抑える効果も非常に穏やかです。トフィソパムは効果の実感が薄いお薬なので、「飲んでも全然効かない」と感じる方もいらっしゃいます。筋弛緩作用や催眠作用が少ないのも、実感のなさにつながってしまいます。

 

2.トフィソパムの作用時間と効き目

トフィソパムは最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が0.5時間の短時間型抗不安薬です。効果の持続時間は2~6時間ほどです。抗不安作用・催眠作用・筋弛緩作用ともに非常に弱いです。

トフィソパムを服用すると、およそ1時間で血中濃度がピークになります。トフィソパムはすぐに血中濃度が減っていきます。0.5時間ほどで血中濃度が半分になり、そこからはゆっくりと減っていき12時間もすると身体から完全に抜けていきます。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

トフィソパムでは、「最高血中濃度到達時間時間・半減期0.5時間」となっています。

服用してから1時間で効果のピークがくるので、効果はすぐに出てきます。半減期は0.5時間と、作用時間は非常に短いです。

トフィソパムのような作用時間の抗不安薬は「短時間型」に分類されます。

 

実際の効果としては、服用して15分~30分くらいで出てきます。効果のピークは1時間でやってきて、効果はすぐに減少していきます。効果の持続時間は個人差があり、薬が効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。トフィソパムの効果の持続時間は、およそ2~6時間といったところになります。

 

トフィソパムの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「とても弱い」
  • 催眠効果「とても弱い」
  • 筋弛緩効果「とても弱い」
  • 抗けいれん効果「わずか」

となっています。

用量は50~150mgとなっていて、最大150mgまで使える抗不安薬です。トフィソパムを使う時は、1回50mgを1日3回に分けて服用します。

 

3.トフィソパムの副作用とは?

トフィソパムは作用時間が短く、作用が穏やかです。ほとんど副作用や依存性はなく、非常に安全性の高いお薬です。

トフィソパムの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

トフィソパムは最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が0.5時間の抗不安薬で、短時間型に分類されます。

トフィソパムの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「とても弱い」
  • 催眠効果「とても弱い」
  • 筋弛緩効果「とても弱い」
  • 抗けいれん効果「わずか」

となっていましたね。

 

まずは作用時間をみてみましょう。1時間で血中濃度がピークになるので即効性がある薬です。このため、トフィソパムを飲んですぐに副作用が強く出てくる可能性があります。

そして、半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)が0.5時間と短く、副作用が抜けるにはそこまでかかりません。効果の持続時間は2~6時間ほどですので、この間は副作用が認められる可能性があります。

 

効果の強さをみてみましょう。抗不安作用が非常に穏やかなお薬なので、「トフィソパムが効く」という実感はほとんどないと思います。このため、依存性はとても低いです。また、筋弛緩作用や催眠作用も非常に弱いので、眠気やふらつきなどの副作用もほとんど認めません。良くも悪くも優しいお薬と言えます。

 

4.トフィソパムとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)

トフィソパムの作用時間は短いです。抗不安作用・催眠作用・筋弛緩作用がとても弱いお薬です。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

  • 作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)
  • 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)

よく使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

  • 短いほど依存しやすい
  • 長いほど身体に薬がたまって眠気やふらつきが出やすい

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。

短時間型では、デパス>>リーゼ>トフィソパム(グランダキシン)です。デパスは催眠作用が強く、睡眠薬にも分類されることがあります。また、筋弛緩作用も強いので、肩こりなどにも使われます。デパスに比べると、リーゼの作用はかなり弱くなります。

中間型では、レキソタン>ワイパックス≧ソラナックス/コンスタンです。いずれも抗不安効果が強く、不安の発作にも使われます。レキソタンは筋弛緩作用が強いです。

長時間型では、リボトリール/ランドセン>セパゾン>セルシン/ホリゾンです。セルシン/ホリゾンには注射があります。服薬ができない時は、筋肉注射が効果的です。

超長時間型では、レスタス>メイラックスです。このタイプは非常に作用時間が長いです。このため、副作用が一度出てしまうと抜けるのに時間がかかってしまいます。ですから、副作用の穏やかなメイラックスの方がよく使われています。

 

この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

5.トフィソパムが向いている人とは?

  • 副作用や依存が心配な方
  • 自律神経症状が中心で軽度の方
  • 高齢者
  • ゆっくりと治療ができる方

トフィソパムの特徴を一言でいうならば、「非常に優しい安定剤」です。効果も穏やかですが、そのぶん副作用や依存性も優しいです。ですから、副作用や依存などを心配されている方には良いかと思います。

悪く言えば効果が弱いので、症状が重たい方には向いていません。あくまで軽症の方で、自律神経症状が中心に困っている方には良いかと思います。更年期障害やめまいで悩んでいる方には向いているでしょう。

副作用が少ないので、高齢者にも使いやすいです。年をとると肝機能や腎機能が落ちていきます。このためお薬の分解が遅れて、高齢者では薬の効きがよくなります。トフィソパムの作用の弱さが多少はカバーできるのかもしれません。認知症で落ち着かない方に使われています。

そういう意味では、あせらずにゆっくりと治療ができる方に向いているお薬と言えます。症状が重い方は、はじめからしっかりと効果のあるお薬を使った方が悪化しません。どのような薬をつかっていくかは、主治医とよく相談して決めましょう。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:トフィソパム 商品名:グランダキシン・トフィソパム

まったく成分が同じでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このため、お薬には一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「トフィソパム(tofisopam)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「グランダキシン(grandaxin)」は、先発品の製造元である持田製薬がつけた名前です。

先発品のグランダキシンは、日本では1986年から発売されています。特許がきれた1994年より、いろいろな製薬会社からジェネリック医薬品が作られ、様々な商品が発売されました。ジェネリック医薬品の紛らわしさをなくすために一般名(成分名)に統一する流れを受けて、少しずつトフィソパムに名称変更されてきています。。

 

トフィソパムの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
グランダキシン錠の効果・効能
グランダキシンの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

まとめ

トフィソパムの作用の特徴は、

  • 抗不安作用「とても弱い」
  • 催眠作用「とても弱い」
  • 筋弛緩作用「とても弱い」
  • 抗けいれん作用「わずか」

トフィソパムのメリットとしては、

  • 自律神経症状を改善する
  • 副作用が非常に少ない
  • 依存性が極めて低い

トフィソパムのデメリットとしては、

  • 効果がとても弱い

トフィソパムが向いている方は、

  • 副作用や依存が心配な方
  • 自律神経症状が中心で軽度の方
  • 高齢者
  • ゆっくりと治療ができる方

 

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