リーゼの副作用(対策と比較)
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
リーゼは、作用の穏やかなベンゾジアゼピン系抗不安薬です。
抗不安作用はそこまで強くありませんが、筋弛緩作用や催眠作用も穏やかなので副作用が少ないです。作用の穏やかなため、抗不安薬にはつきものの依存性は弱いです。
ここでは、リーゼで注意すべき副作用を詳しくお伝えし、他の抗不安薬とも比較していきたいと思います。
1.リーゼの副作用の特徴
リーゼは作用時間が短く、作用が穏やかです。ときおり服用後に眠気やふらつきが認められることがあります。
リーゼの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。
リーゼは最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が6時間の抗不安薬で、短時間型に分類されます。
リーゼの効果の強さとしては、
- 抗不安効果「弱」
- 催眠効果「弱」
- 筋弛緩効果「弱」
- 抗けいれん効果「わずか」
となっています。詳しく知りたい方は、「安定剤リーゼ錠の効果・効能」をお読みください。
まずは作用時間をみてみましょう。1時間で血中濃度がピークになるので即効性がある薬です。このため、リーゼを飲んですぐに副作用が強く出てくる可能性があります。
そして、半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)が6時間と短く、副作用が抜けるにはそこまでかかりません。効果の持続時間は3~6時間ほどですので、この間は副作用が認められる可能性があります。
効果の強さをみてみましょう。抗不安作用が穏やかなお薬なので、「リーゼが効く」という実感が少ないお薬です。このため、依存性は低いです。また、筋弛緩作用や催眠作用も穏やかなため、眠気やふらつきなどの副作用も少ないです。良くも悪くも優しいお薬と言えます。
それでは、症状ごとに副作用をみていきましょう。
2.リーゼに多い副作用①-眠気
リーゼでは「眠気」がみられますが、他の抗不安薬より少ないです。様子を見ても改善しないようならば、抗不安薬の減量か、眠気の少ない薬に変更します。
リーゼは抗不安作用が穏やかなお薬ですが、催眠作用も穏やかです。このため、催眠作用は他の抗不安薬と比較すると少ないです。ですが、人によってはお薬が効きすぎてしまって眠気が認められることがあります。
抗不安薬は、日中の不安感や緊張感を和らげるために使っていきます。夜に眠気が出てくる分にはよいのですが、日中には注意が必要です。不安感や緊張感が強い時は、交感神経が活発になっているので眠気どころではありません。ですがお薬を飲んで落ちつくと、もとの自律神経のバランスに戻っていきます。その中で少しずつ眠気の副作用が目立ってくることがあります。お薬の強さの感覚がわかってくるまでは、リーゼ服用後の眠気に注意しましょう。
リーゼの承認時と市販後調査を合計すると、眠気の副作用は2.78%の方に認められています。少ないとはいえ、眠気はよく認められる副作用です。
リーゼで眠気が認められたときは、どうすればよいでしょうか?
まだ服用して間もないときは、できれば様子をみてください。薬が身体に慣れてくると眠気が薄まって、ちょうど効果だけを実感できるようになるかもしれません。薬の服用時間を変更すれば解決できることもあるので、できることは試してみます。
それでも眠気が続く場合、2つの方法があります。
- 薬の量を減らす
- 催眠作用の弱い薬に変える
薬の量を減らせば、当然効果は減ってしまいます。ですが、副作用である眠気も和らいでいきます。効果との兼ね合いではありますが、大丈夫そうでしたら少しずつ減薬をしてみましょう。
それでも眠気が残るようでしたら、催眠作用の弱い薬に変えていきます。グランダキシンやセディールなどへの切り替えを検討します。リーゼよりもさらに効果が弱くなりますが、眠気も少なくなります。
これらでは効果が不十分な場合、不安や緊張に対するアプローチ自体を変えていきます。
- 不安が強い→抗うつ剤をじっくり使っていく
- 不安が弱い→薬以外の方法を試みてみる。(生活習慣や自律訓練法など)
詳しく知りたい方は、
リーゼの眠気と5つの対策
をお読みください。
3.リーゼに多い副作用②-ふらつき
リーゼでは「ふらつき」がみられますが、他の抗不安薬よりも少ないです。様子を見ても改善しないようならば、抗不安薬の減量か、眠気の少ない薬に変更します。
リーゼは、弱いものの筋弛緩作用があります。
緊張が強くて肩がこってしまったり、身体に緊張やこわばりがある時は、むしろ効果になります。ですが、高齢で足腰が弱っている方に筋弛緩作用が強く出てしまうと、ふらついてしまって危ないです。眠気も相まって、転倒して骨折してしまうようなこともあります。
リーゼの承認時と市販後調査を合計すると、ふらつきの副作用は0.78%の方に認められています。他の抗不安薬と比較すると少ないですが、リーゼで起こらないわけではありません。リーゼでもふらつきに注意しましょう。
リーゼでふらつきが認められた場合、どうすればよいでしょうか?眠気と対策は同じになります。
まだ服用して間もないときは、様子を見ていくことでなれていくことがあります。それでも改善がない場合、減量するか、筋弛緩作用の弱い薬に変更するかのどちらかになります。
グランダキシン・セディールなどへの切り替えを検討します。リーゼよりもさらに効果が弱くなりますが、ふらつきも少なくなります。これらの薬が効果不十分となってしまう時は、抗うつ剤を使っていくか、薬以外の方法を考えていくかになります。
4.リーゼの安全性-依存と離脱症状
リーゼは依存性が低い抗不安薬です。そうはいっても、できるだけ漫然と使わないようにしましょう。
リーゼは作用が穏やかなお薬なので、依存性も低い抗不安薬です。そうはいっても、まったく依存しないわけではありません。ちゃんと出口を見据えてリーゼを使っていくことが大切です。
依存には大きく3つのポイントがあります。身体依存と精神依存と耐性の3つです。
身体依存とは、薬が身体からなくなっていくと離脱症状が起こることです。身体が薬のある状態に慣れてしまうことで、急になくなるとバランスが崩れてしまいます。身体が依存してしまう状態です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬を急にやめてしまうと、離脱症状が生じるようになってしまいます。
精神依存とは、精神的に頼ってしまうということですが、これは効果の実感の強さが重要です。効果が早く実感され、効果がきれる実感が大きいものほど精神的に頼ってしまいます。心が依存してしまう状態です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は効果がしっかりとしていて即効性もあるので、どうしても頼ってしまいます。
耐性とは、薬が体に慣れてしまい効果が薄れていくことです。はじめは1錠で効いていたのに少しずつ効かなくなってしまう時は、耐性が形成されています。
依存しやすい薬としては、
- 作用が強い
- 作用時間が短い
このような特徴があげられます。リーゼは作用時間が短いですが、作用も弱いです。このため総合的にみて、依存性は低いです。
依存を防ぐポイントは、以下になります。
- できるだけ少量・短期間で使う
- アルコールと一緒に服用しない
- 作用時間が長い抗不安薬にする
依存を心配される方は多いですが、アルコールに比べたらはるかにマシです。お酒を飲んでいる方はいっぱいいますが、アル中になる方はごくわずかですよね?ですから、過度に心配することはありません。医師の指示通りの量を守って服用すれば問題ありません。
とはいっても、リーゼは漫然と使うべきお薬ではありません。あくまで一時的に不安を落ち着けるために使うお薬です。不安の根が深い方は、はじめからSSRIなどの抗うつ剤を併用していきます。抗うつ剤は効果がゆっくりと出てくるので、効果が感じられたらベンゾジアゼピン系抗不安薬を減らしていきます。
詳しく知りたい方は、
リーゼの依存性と7つの対策
リーゼの離脱症状(対策とやめ方)
をお読みください。
5.リーゼと他剤での副作用の比較
リーゼの作用時間は短いです。他の抗不安薬と比較すると、抗不安作用・催眠作用・筋弛緩作用が弱く、優しい抗不安薬と言えます。
リーゼの副作用がどうしても改善できない時は、他のベンゾジアゼピン系抗不安薬への変更を検討します。その時は、効果と副作用のバランスをみながら、適切な薬を選んでいきます。
抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。
- 作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)
- 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)
このポイントを意識して、適切な薬を選んでいきましょう。
よく使われている抗不安薬を比較すると、以下のようになります。
この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。
まとめ
リーゼは作用時間が短く、作用が穏やかです。ときおり服用後に眠気やふらつきが認められることがあります。
リーゼでは「眠気」や「ふらつき」は少ないですが認められることがあります。様子を見ても改善しないようならば、抗不安薬の減量か、眠気の少ない薬に変更します。
リーゼは依存性の低い抗不安薬です。そうはいっても、漫然と使わないようにしましょう。
副作用のために薬を変更するときは、効果と副作用のバランスを総合的にみて考えていきます。4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)、作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)の違いをみていきましょう。
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