パキシル錠5mg・10mg・20mgの薬価と使い分け

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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パキシルは、1999年に発売された新しい抗うつ剤のSSRIです。発売からしばらく経っており、ジェネリックも発売されています。

パキシルの錠剤としては、5mg・10mg・20mgの3つの規格が発売されています。まずは25~10mgからはじめて、効果をみながら増減させていきます。ここでは、パキシル錠5mg・10mg・20mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。

パキシルの効果について詳しく知りたい方は、
パキシル錠の効果と特徴
をお読みください。

 

1.パキシル錠の使い方

パキシルは10mgから始めます。1日1~2回の服用をしていきます。効果をみて40mg(50mg)まで使用することができます。

抗うつ剤は、不安や不眠に関しては効果がすぐに表れることもありますが、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。

抗うつ剤が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。およそ服用を始めて4~5日ぐらいで薬の体内での濃度が安定します。

パキシルを服用すると、4~5時間で血中濃度が最高値になります。そこから徐々に血中濃度が低下していき、14時間で血中濃度が半減します。パキシルは身体から薬が抜けていくのが比較的早いですが、1日に1回の服用でも効果は持続します。2回に分けて服用すれば、より効果が安定します。

 

薬の添付文章では、10mg~20mgから開始することとなっていますが、実際には10mgから開始することがほとんどです。薬の効果をみながら、10mgずつ増量していきます。パキシル錠は40mgまでは問題なく使えるお薬です。強迫性障害には50mgまで使えるお薬になります。

パキシルを40~50mgまで使っても効果がハッキリしない時は、

①他の薬を追加
②他の抗うつ剤への変更

を考えていきます。パキシルの効果はあったけれどももう一歩・・・という時は①の方法をとることが多いです。さっぱり効果がないときは、②の方法をとります。

 

2.パキシル錠とパロキセチン錠の違い(薬価)

ジェネリックのパロキセチン錠は、パキシル錠の4割程度の薬価になっています。

ジェネリックになると安くなると言われていますね。だいたい6割になることが多いのですが、パキシルの場合は30近くの会社が作っているので、とても安くなります。パロキセチンの薬価は、パキシルの4割程度に設定されているのです。

各ジェネリック医薬品の中でも薬価には差がありますが、これは製薬会社から薬局への卸値の違いで決まってきます。どのジェネリックを採用しているかは薬局によって異なりますので、確認してみてください。差があるといっても10~20%程度ですので、自己負担で考えると1%~6%程度の違いになります。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
パキシル錠 5mg 57.5円
パキシル錠 10mg 100.5円
パキシル錠 20mg 175.3円

<ジェネリック(後発品)>

商品名 剤形 薬価
パロキセチン錠 5mg 25.0~31.2円
パロキセチン錠 10mg 42.9~53.9円
パロキセチン錠 20mg 73.4~93.8円
パロキセチンOD錠 5mg/10mg/20mg 31.2/53.9/93.8円

 

最大容量である40mg処方されている方で、3割自己負担の方が1か月にかかるお薬の価格を比べてみましょう。先発品のパキシルでは、3155円ほどになります。一番安いパロキセチンですと、1321円になります。金銭的な負担はだいぶ軽くなりますね。

パロキセチンには、先発品にはないOD錠も発売されています。OD錠とは口腔内崩壊錠と言われていて、口の中にいれると溶けてしまうので水なしでも飲むことができます。東和薬品から発売されています。

※2015年7月1日現在の薬価です。

 

3.パキシル錠とパロキセチン錠での違い(効果や副作用)

パキシル錠とパロキセチン錠では多少の違いがありますが、ほとんど変わりないと考えられます。

成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもパキシルの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのパロキセチンを服用してからの血中濃度の変化が、パキシルと比べて誤差80~125%の間にあることが条件なのです。

 

抗うつ剤は、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。抗うつ剤が安定して効果を発揮するためには、常に身体の中に薬がある状態が必要です。薬を規則正しく服用していると、身体の中に少しずつ薬がたまっていきます。そして服用を始めて4~5日ぐらいで、薬の体内での濃度が安定します。

このように身体にたまっていくことで少しずつ効果が発揮される薬では、多少の違いは影響しません。有効成分が同じですから、副作用としてもおおまかな特徴はかわりません。新しい抗うつ剤なので副作用は少ないですが、眠気・体重増加・嘔吐・下痢・不眠・性機能障害が認められます。

 

そうはいっても違いはありますので、ジェネリックにする時は同じ薬局でお薬をもらうようにしてください。初めから同じ後発品のパロキセチンを使えば、そのパロキセチンの効果をもとに薬を調整することができます。

 

4.パキシル錠5mg・10mg・20mgの使い分け

剤形を大きくすると、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。5mgは減量のために使われることが多いです。

パキシルは10mg錠1つからはじめていくことが多く、効果をみながら10mgずつ増量していきます。作用時間がそこまで長くないので、1日に2回の服用とすることもあります。

私はデメリットがあったら減らせるように、10mg錠剤を使って増やしていくことが多いです。純粋に金額のことだけを考えたら大きな剤形の方がよいのですが、もしも増量した時に副作用が出てしまったら困ってしまいます。

パキシル20mgにする時に、パキシル20mg錠1つと10mg錠2つでの薬価を比較してみましょう。自己負担が3割の方が1か月服用したとすると231円の違いです。これくらいの金額の違いでしたら、少しずつ増量した方がメリットが大きいと考えています。

 

薬を増やしていきながら問題がない量が定まったら、20mg錠の大きな剤形に変更します。大きな剤形の方が、当然割安です。心身の状態が落ち着いて薬の調整が済めば、少しでも自己負担が少なくなるように配慮します。

あえて薬を細かく分けて服用する時もあります。

①副作用が目立つとき
②薬を服用することで気持ちが落ち着くとき

副作用は血中濃度が高い時に認められやすいです。2回に分ければ、血中濃度のピークが減りますので副作用も軽減します。

また、薬を服用することで気持ちが落ち着くときもあります。パキシルは即効性がある薬ではないのですが、服用することで落ち着くこともあります。「薬を飲んだ」という事実が大きいのだと思います。このような場合は、あえて薬を細かく分けて処方します。

 

パキシル5mg錠は、減量のために作られたお薬です。パキシルは非常に離脱症状が多いお薬です。このため、ゆっくりとお薬を減らしていく必要があります。5mgずつ減量していくことが多く、従来は10mg錠剤を半分にわっていました。2010年から5mg錠が発売になり、減量をすすめていきやすくなりました。

 

5.抗うつ剤の薬価の比較

新しい抗うつ剤は全体的に高いですが、最近は安価なジェネリックも発売されてきています。

現在よく使われている抗うつ剤は、2000年ころから発売されました。まだ新しい薬なので、ジェネリックが発売されていないものが多いです。このため、どうしても薬価が高くなってしまいます。

まずは先発品の薬価を比較してみましょう。

抗うつ剤の薬価を比較しました。

うつ病での最大容量まで使ったときの、1か月の薬価を表にしてみました。基本的には3割の自己負担となりますが、継続的な通院治療が必要な方では、自己負担が1割となる制度があります。

詳しく知りたい方は、「自立支援医療の精神通院のポイント」をお読みください。

新しい抗うつ剤をしっかりと使うと、3割負担では3000円くらいはかかってしまいます。パキシルは比較的安いですがでも、3000円以上になってしまいますね。昔からある三環系抗うつ薬では安くなりますが、副作用が多くなってしまいます。三環系抗うつ薬の例としてトリプタノールをあげてみました。最大容量が300mgとなっていますが、ここまで使うことは少ないです。それでも1000円ほどで収まっています。

 

新しい抗うつ剤にも、ジェネリックが発売されてきているお薬もあります。新しい抗うつ剤で発売されているジェネリックの薬価をみてみましょう。

抗うつ剤のジェネリックの薬価比較

ジェネリックにすると薬価がかなり落ちますので、経済的な負担はだいぶ軽くなります。パロキセチンでは1300円ほどに抑えられます。

 

まとめ

パキシルは10mgから始めます。1日1~2回の服用をしていきます。効果をみて40mg(50mg)まで使用することができます。

ジェネリックのパロキセチン錠は、パキシル錠の4割程度の薬価になっています。

パキシル錠とパロキセチン錠では多少の違いがありますが、ほとんど変わりないと考えられます。

剤形を大きくすると、調整しにくくなってしまうデメリットがあります。5mgは減量のために使われることが多いです。

新しい抗うつ剤は全体的に高いですが、最近は安価なジェネリックも発売されてきています。

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