ドグマチール錠50mg・100mg・200mgの薬価と使い分け
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
ドグマチールは、1973年に発売されたお薬です。初めは胃薬として発売され、その後に統合失調症やうつ病にも効果があることがわかり、現在はもっぱら抗うつ剤として使われています。発売からしばらく経っており、ジェネリックも発売されています。
ドグマチールの錠剤としては、50mg・100mg・200mgの3つの規格が発売されています。まずは100~150mgからはじめて、効果をみながら増減させていきます。ここでは、ドグマチール錠50mg・100mg・200mgの実際の使い方や薬価についてご紹介していきます。
ドグマチールの効果について詳しく知りたい方は、
ドグマチール錠の効果と特徴
をお読みください。
1.ドグマチール錠の使い方
ドグマチールは100~150mgから始めます。1日2~3回の服用をしていきます。効果をみて300mgまで使います。
抗うつ剤は、一般的には効果が出てくるには2週間程度かかります。これに対してドグマチールでは、比較的すぐに効果がでてきます。
ドグマチールを服用すると、2~3時間で血中濃度がピークになります。そこから徐々に血中濃度が低下していき、8時間ほどで血中濃度が半減します。ですから、薬を飲み始めて10~11時間かけて血中濃度が半分になります。
ですから、しっかりとした効果を期待するなら、1日2~3回に分けて服薬しなければいけません。即効性が期待できるお薬なので、朝に調子が悪い方は朝食後だけといったように処方することもあります。
薬の添付文章では、50~300mg錠を1日3回に分けて使用するようになっています。患者さんがつらい時間などを考えて、1日1~3回1回50mgから使っていきます。このため、1日の量としては、50~150mgから始めていくことになります。
ドグマチールは比較的即効性があるため、1~2週間様子を見てみます。効果が不十分でしたら、300mgまで増量ができます。ドグマチールを300mgまで使っても効果がハッキリしない時は、
①他の薬を追加
②他の抗うつ剤への変更
を考えていきます。ドグマチールの効果はあったけれどももう一歩・・・という時は①の方法をとることが多いです。さっぱり効果がないときは、②の方法をとっていきます。
2.ドグマチール錠とスルピリド錠の違い(薬価)
ジェネリックのスルピリド錠は、ドグマチール錠の3~4割程度の薬価になっています。ジェネリックでは、50mg・100mg・200mg錠剤で薬価が変わりません。
ジェネリックになると安くなると言われていますね。だいたい6割になることが多いのですが、ドグマチールの場合はさらに安価となっています。処方されることが多いので価格競争がおこったために安価となりました。
<先発品>
商品名 | 剤形 | 薬価 |
ドグマチール錠 | 50mg/100mg/200mg | 15.9/19.0/26.8円 |
アビリット錠 | 50mg/100mg/200mg | 11.5/19.0/25.7円 |
ミラドール錠 | 50mg/100mg/200mg | 10.4/15.8/22.0円 |
ドグマチール細粒 | 10%/50% | 25.3/71.3円/g |
アビリット細粒 | 10%/50% | 21.1/62.6円/g |
ミラドール細粒 | 10%/50% | 19.3/58.6円/g |
<ジェネリック(後発品)>
商品名 | 剤形 | 薬価 |
スルピリド錠 | 50mg/100mg/200mg | 6.3/6.3/6.3円 |
ベタマック錠 | 50mg/100mg/200mg | 6.3/6.3/7.9円 |
マーゲノール錠 | 50mg | 6.3円 |
スルピリド細粒 | 10%/50% | 6.2/17.8円/g |
スルピリドの薬価は、50mg錠剤でおよそ3~4割程度と安価になっています。100mgや200mgと大きな錠剤にしても薬価が変わりません。大きな規格ですとさらにお得になりますね。ドグマチールは50mg錠剤を使うことが多いので、おおむね3~4割ほどの薬価になるとイメージください。
※2015年7月31日現在の薬価です。
3.ドグマチール錠とスルピリド錠での違い(効果や副作用)
ドグマチール錠とスルピリド錠では多少の違いがありますが、ほとんど変わりないと考えられます。
成分が同じだからといってまったく効果が同じかというと、そういうわけではありません。薬のコーティング、溶け方、吸収のされ方などは、製薬会社によって異なります。とはいってもドグマチールの後発品と認めてもらうためには、ちゃんと基準があります。ジェネリックのスルピリドを服用してからの血中濃度の変化が、ドグマチールと比べて誤差80~125%のにあることが条件なのです。
ドグマチールはある程度の即効性が期待できるお薬です。このため、効果にも多少の違いが認められます。とはいっても、ドグマチールはそこまで実感が強いお薬ではありません。このため、大きな違いを感じることは少ないと思います。
副作用としては、有効成分が同じなのでおおまかな特徴はかわりません。
- プロラクチンのバランスが崩れて、性機能障害(生理不順・性欲低下)・乳汁分泌・女性化乳房
- 錐体外路障害によるソワソワやふるえ
- 消化がよくなることで食欲があがり体重増加
などに注意が必要です。
大きな影響はないとはいえ、ジェネリックによって多少の違いはあります。このため、ジェネリックにする時は同じ薬局でお薬をもらうようにしてください。初めから同じジェネリックのスルピリド錠を使えば、そのスルピリド錠の効果をもとに薬を調整することができます。
4.抗うつ剤の薬価の比較
新しい抗うつ剤は全体的に高いですが、最近は安価なジェネリックも発売されてきています。
現在よく使われている抗うつ剤は、2000年ころから発売されました。まだ新しい薬なので、ジェネリックが発売されていないものが多いです。このため、どうしても薬価が高くなってしまいます。
まずは先発品の薬価を比較してみましょう。
うつ病での最大容量まで使ったときの、1か月の薬価を表にしてみました。基本的には3割の自己負担となりますが、継続的な通院治療が必要な方では、自己負担が1割となる制度があります。
詳しく知りたい方は、「自立支援医療の精神通院のポイント」をお読みください。
新しい抗うつ剤をしっかりと使うと、3割負担では3000円くらいはかかってしまいます。昔からある三環系抗うつ薬では安くなりますが、副作用が多くなってしまいます。三環系抗うつ薬の例としてトリプタノールをあげてみました。最大容量が300mgとなっていますが、ここまで使うことは少ないです。それでも1000円ほどで収まっています。ドグマチールはさらに安くて、300mgまで使っても500円ほどです。
新しい抗うつ剤にも、ジェネリックが発売されてきているお薬もあります。新しい抗うつ剤で発売されているジェネリックの薬価をみてみましょう。
ジェネリックにすると薬価がかなり落ちますので、経済的な負担はだいぶ軽くなります。
まとめ
ドグマチールは100~150mgから始めます。1日2~3回の服用をしていきます。効果をみて300mgまで使います。
ジェネリックのスルピリド錠は、ドグマチール錠の3~4割程度の薬価になっています。ジェネリックでは、50mg・100mg・200mg錠剤で薬価が変わりません。
ドグマチール錠とスルピリド錠では多少の違いがありますが、ほとんど変わりないと考えられます。
新しい抗うつ剤は全体的に高いですが、最近は安価なジェネリックも発売されてきています。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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