トフラニールの夜尿症への効果
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
世界初の抗うつ薬として、歴史のスタートをきったトフラニールですが、まだまだ現役で使われています。どうしても昔の薬であるがゆえに、副作用が多く認められます。
ですがこの副作用を逆手にとって、「おねしょ」である夜尿症に対して効果を発揮します。
ここでは、トフラニールの夜尿症への効果について、見ていきたいと思います。
トフラニールの抗うつ剤としての効果について知りたい方は、
トフラニール錠の効果と特徴
をお読みください。
1.夜尿症とは?
いわゆる「おねしょ」で、小学校入学以降まで続くと対応を考えます。
いわゆる「おもらし」には、いろいろな呼ばれ方があります。多くのみなさんが混同して言葉を使っているので、まず用語の整理しましょう。
夜尿症=夜の尿漏れだけ
尿失禁=昼の尿漏れだけ
遺尿症=どちらも尿漏れ
これが正式な言葉になります。ですから、「おねしょ」は厳密には夜尿症にあたることになります。
夜尿症はいつから問題になるかというと、小学校入学以降になります。幼稚園までは、「おねしょ」しても当たり前です。まだ十分に脳や膀胱の機能が発達していません。成人になると夜に多く分泌される抗利尿ホルモン(おしっこを濃縮して濃くするホルモン)のリズムができていませんし、膀胱も小さいためです。
小学校を過ぎても「おねしょ」「おもらし」がある時は、その原因を考えながら治療も考慮していく必要があります。1歳年をとるごとに10~15%ずつ自然に少しずつよくなっていくので、以前は治療を特にせずに様子を見ることがほとんどでした。ですが最近は、心理的な負担の大きさや、一部のケースで成人まで続くことも報告されているので、小学校を過ぎると治療を行っていくことが多いです。
2.夜尿症の原因
夜尿症は原因疾患がないことが多いですが、糖尿病や尿崩症が隠れていないか注意が必要です。
昼間にみられる尿失禁や遺尿症には、何らかの病気が隠れていることが多いですが、夜尿症には身体の原因が見当たらないことが多いです。昼間にも「おもらし」がある時は、夜間に多尿になってしまう疾患があるか、膀胱機能が障害されていることがあります。ですから、しっかりと原因を調べた方がよいです。
- さまざまな泌尿器疾患
- 脊髄疾患
- 尿崩症(ホルモンの病気)
- ADHD
などの疾患が隠れていることがあります。夜尿症の場合も、糖尿病や尿崩症の可能性はあります。夜尿症の原因はよくわかっていませんが、尿を作ったり濃縮したりする機能、睡眠覚醒のリズム、心理的要因などが関わっていると考えられています。
3.夜尿症の治療
生活指導・行動療法とあわせて、薬を使っていくのが一般的です。
夜尿症の治療は大きく3つのアプローチがあります。生活指導・行動療法・薬物療法です。
生活指導としては、食事や飲水の工夫、排尿習慣をととのえること、「おねしょ」に対する心理的負担を軽減することなどを行います。効果があるかの明確な根拠はありませんが、まずできることとして行ってみましょう。
行動療法としては、いろいろな方法が試されていますが効果が一定しないものが多いです。夜間アラーム療法だけは、有効性が示されています。夜間アラーム療法とは、「おねしょ」をしたらアラームが鳴って起きるようにする治療です。少しずつ蓄尿していく力が強くなり、30~60%で有効との報告があります。
これらと合わせて、薬での治療をすすめていくのが一般的です。薬としては、トフラニールやトリプタノールといった三環系抗うつ薬と、バソプレシンという抗利尿ホルモンが有効です。
4.トフラニールと夜尿症
アナフラニール>トフラニール>トリプタノールの順で有効です。10mg~30mgで慎重に使っていきます。
夜尿症に対して、トフラニールをはじめとした三環系抗うつ薬の効果は実証されていて、薬も保険適応となっています。
三環系抗うつ薬は、古い抗うつ薬であるがゆえに副作用が多いです。この副作用を逆手にとって治療に利用していきます。副作用のうちの抗コリン作用は、膀胱を弛緩させて尿道をしめる働きがあります。このため、頻尿などの治療薬としても抗コリン薬が使われています。三環系抗うつ薬の中でも古い薬であるアナフラニール>トフラニール>トリプタノールは、抗コリン作用が強いので効果が期待できます。その他にも、三環系抗うつ薬には尿意覚醒を促す作用があたり、尿量減少作用があるといわれています。
それでは実際にどのように薬をつかっていくのでしょうか?夜尿症の治療はお子さんがほとんどなので、少量から慎重につかっていきます。まずは、10mgから始めていきます。効果が不十分としても、30mgまでとしています。
まとめ
夜尿症とは、いわゆる「おねしょ」で、小学校入学以降まで続くと対応を考えます。
原因疾患がないことが多いですが、糖尿病や尿崩症が隠れていないか注意が必要です。
生活指導・行動療法とあわせて、薬を使っていくのが一般的です。
アナフラニール>トフラニール>トリプタノールの順で有効です。10mg~30mgで慎重に使っていきます。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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