ポララミン錠・注(クロルフェニラミンマレイン酸塩)の効果と特徴について

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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ポララミン(一般名:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)は、1964年にMSD株式会社にて発売された抗ヒスタミン薬となります。2014年からは高田製薬会社が製薬しています。

ポララミンは抗ヒスタミン薬の中でも第一世代に分類されるかなり古いお薬にはなりますが、今でもまだまだ現役のお薬です。新しい抗ヒスタミン薬に比べると副作用は強いですが、その分効果も強いのです。

現在抗ヒスタミン薬としてよく処方されるのはアレグラザイザルなどの副作用が少ない第二世代抗ヒスタミン薬ですが、どうしても効果が不十分な時にはポララミンが処方されることも少なくありません。

またポララミンは、感冒による鼻水にも保険適応があるため、風邪薬として今でもよく処方されています。ここでは、ポララミン錠・注(クロルフェニラミンマレイン酸塩)の効果と特徴についてまとめていきます。

 

1.ポララミンの効果の特徴

<メリット>

  • 風邪による鼻水がある人
  • 豊富な剤形
  • 抗ヒスタミン薬では数少ない注射剤がある
  • 小児に使いやすい

<デメリット>

  • 第一世代のため眠気が強い(花粉症には不向き)
  • 前立腺肥大、緑内障の方は使用できない
  • 便秘・口渇・尿閉が出現する

ポララミンは、抗ヒスタミン薬でも歴史が長い薬で第一世代に分類されます。第一世代の抗ヒスタミン薬は、効果もあるかわりに眠気も強いお薬です。そのため花粉症など長期に内服する必要がある場合は、現在はアレグラやザイザルなどの眠気が少ない第二世代の抗ヒスタミン薬に取って代わられています。

しかし第一世代の抗ヒスタミン薬は、風邪による鼻水に対して使われることが多いです。これは第二世代の抗ヒスタミン薬には適応がないことも大きいですが、風邪のときは身体を休めるために眠気がある方がよいのです。

急に夜間に出現した蕁麻疹に対しても、ポララミンは使用されることがあります。夜に急に痒くなってしまうと、なかなか眠れません。そのためポララミンの眠気の副作用を逆手にとって、痒みをとりつつ睡眠を誘うのです。

ポララミンは眠気以外にも、抗コリン作用による副作用が認められます。具体的な副作用としては、便秘・口渇・尿閉などが出現することがあります。

このため抗コリン薬が禁忌である前立腺肥大症(尿がさらに出にくくなる)や緑内障(眼圧が上がってしまう)では、ポララミンは使用できないため注意が必要です。

副作用が強いと記載しましたが、前立腺肥大や緑内障は基本的に老人の病気であり小児にはほぼ認めません。特にポララミンは錠剤の他に、粉薬、ドライシロップと剤形も豊富であることから小児にもよく使われます。

ただし新生児には抗コリン作用によって痙攣が出現することがあるため、ポララミンは禁忌となっております。2歳以上の小児から使うようにしましょう。

最後に、ポララミンの大きな特徴としては、抗ヒスタミン薬の中では数少ない注射剤が発売されているということです。あまりにもアレルギー症状がつらいときは、内服するよりも注射する方が効果が早いです。

 

2.ポララミンの適応疾患

風邪薬として鼻炎止めに使われることが多いです。蕁麻疹や花粉症がよほどひどい時に使われることもあります。

まずは、ポララミンの適応疾患から見ていきましょう。ポララミンの添付文章によれば、以下のような疾患に適応が認められています。

蕁麻疹、血管運動性浮腫、枯草熱、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症、薬疹)、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽

この中でポララミンがよく使われているのは、以下の3つの疾患でしょう。

  • 花粉症
  • 蕁麻疹
  • 風邪

花粉症や蕁麻疹として服用されるときは、第二世代抗ヒスタミン薬の効果が不十分な時が多いです。もしくは夜間に症状がひどくなってしまって眠れない時です。ポララミンの副作用である眠気を上手く利用して、痒みを抑えると同時に眠らせてしまうのです。

ポララミンは、風邪薬としてはよく使われています。市販の風邪薬の成分をみると、マレイン酸クロルフェニラミンと書いてあることが多いですが、これはポララミンの有効成分です。

 

風邪の時は、身体を休めることが大切です。仕事や学校を休んで、しっかりと睡眠をとることが回復の近道です。そういった方の鼻炎症状を抑えるために、ポララミンが使われます。ポララミンの副作用の眠気が良い方向に働くのです。ですから症状が軽症で職場や学校に行かれる方は、ポララミンはむしろ内服しない方が良いです。

鼻炎症状がそこまで支障がないならば、ポララミンで鼻水を止めることは回復を遅らせてしまう可能性もあります。鼻水やくしゃみが風邪の時に生じるのも意味があり、体が一生懸命ばい菌を出そうとする防御反応になります。このためポララミンでこれを止めてしまうと、風邪の治りが悪くなってしまうこともあります。

ですから軽症であれば、ポララミンは服用するべきではありません。鼻炎症状がひどくて支障が大きい時に使われるべきお薬です。ポララミンを風邪薬として使う時は、本当に必要かどうかを考える必要があります。

 

また、ポララミンにステロイドが加わったセレスタミン配合錠を風邪の鼻水に対して出される場合もありますが、これは完全に過剰投与です。

ステロイドは免疫を抑制することで、症状をとるお薬です。その効果はかなり強く、ポララミンより症状をとることができます。しかしながらステロイドで免疫を抑制するということは、場合によっては風邪を悪化させる可能性があります。

たかが風邪、されど風邪です。大部分は自然と治ってしまいますが、一部は風邪をこじらせたり、そもそも膿が溜まっていて治らなかったり、肺炎だったなどで状態を悪化させてしまうこともあります。セレスタミン配合錠は、風邪には使わないようにしましょう。

 

3.ポララミンの用量・用法は?

ポララミンは、1回2mgを1日1~4回経口投与します。注射の場合は1回5mgを筋注します。状況によっては静注することもあります。

ポララミンの使用方法について、添付文章からご紹介していきます。

【錠剤・散剤・シロップ】

  • 通常、成人には1回2mgを1日1~4回経口投与する。なお、年齢や症状により適宜増減する。

【ドライシロップ】

  • 2歳〜5歳:ポララミンドライシロップ0.5mg/回を4〜6時間あけて必要に応じて経口投与する。 
  • 5歳〜12歳:ポララミンドライシロップ1.0mg/回を4〜6時間あけて必要に応じて経口投与する。

【注射】

  • 通常、成人1回5mgを1日1回皮下、筋肉内又は静脈内注射する。
    なお、年齢、症状により適宜増減する。

ドライシロップの添付文章は大人の投与量で記載されていますが、大部分は小児で使用されていると思います。またポララミンは、症状によって1回から4回での服用と、非常に幅があるお薬です。

ポララミンは、最高血中濃度到達時間が3時間、半減期が7.9時間のお薬です。血中濃度がピークに達するのは3時間ですが立ち上がりが早いので、15分~60分すると効果が認められます。ピークから7.9時間かけて血中濃度が半分になっていき、およそ4~8時間ほど効果が持続するといわれています。

もちろん個人差はありますが、1日中安定して効果を期待するには4回に分けて服用する必要があります。ですが眠気の副作用が強いので、日中に服用するのが難しいこともあります。その時は夕方や夜間を中心に服用することもあります。

注射剤は、筋肉注射として使うことが多いでしょうか。あまりにも症状が強い場合や点滴の必要がある場合は、静注することもあります。

 

4.ポララミンの剤形と薬価とは?

ポララミンは剤形が豊富です。古くから発売されているため、錠剤はジェネリックと薬価は同じになります。散剤やシロップ剤では、ジェネリックにすると経済的になります。また、ジェネリックでは徐放剤も発売されています。

ポララミンは剤形が豊富なお薬です。以下の5つの剤形がポララミンにはあります。

  • ポララミン錠2mg
  • ポララミン散1%
  • ポララミンシロップ0.04%
  • ポララミンドライシロップ0.2%
  • ポララミン注0.5%(5mg)

シロップやドライシロップは、お子さん向けです。オレンジ味のかなり甘い味付けになっています。ポララミンには散剤も発売されていて、錠剤が服用しづらい方に使われます。

ポララミンの剤形で特徴的なのは、注射剤があることです。抗ヒスタミン薬の注射剤は数少ないので、あまりにも症状が強い時は注射が使われることもあります。

 

ポララミンの薬価をみてみましょう。ポララミンは古くから発売されているため、ジェネリック医薬品も発売されています。みていただければわかるかと思いますが、古い薬なので先発品も安価となっており、錠剤では薬価は全く同じとなっています。

<先発品>

商品名 剤形 薬価
ポララミン錠 2mg 5.60円
ポララミン散 1% 12.7円/g
ポララミンシロップ 0.04% 1.81円/g
ポララミンドライシロップ 0.2% 5.70円/g
ポララミン注 5mg/1ml 58.0円

<後発品(ジェネリック)>

商品名 剤形 薬価
ネオマレルミン錠 2mg 5.60円
ネオマレルミンTR錠 6mg 5.60円
クロルフェニラミンマレイン酸塩散 1% 6.9円/g
クロルフェニラミンマレイン酸塩シロップ 0.05% 0.72円/g
クロルフェニラミンマレイン酸塩ドライシロップ 0.04% 1.07円/g

※2016年5月現在の薬価になります。

このように、ポララミンの錠剤ではジェネリックのネオマレルミン錠と薬価は変わりません。ネオマレルミン錠ではTR錠という徐放製剤が発売されていて、1日2回で効果が1日持続します。

粉薬やシロップ、ドライシロップでは、ジェネリックにすることで経済的になります。

 

5.ポララミンが向いている人は?

  • 第二世代抗ヒスタミン薬では効果が不十分な人
  • 風邪で学校や職場を休む人
  • 夜間に蕁麻疹が出て眠れない人
  • ポララミンで問題がなく、安く済ませたい人
  • 運転や危険作業をしない人

第一世代の抗ヒスタミン薬としてポララミンは活躍しています。抗ヒスタミン薬としては、まずは副作用の少ない第二世代が使われることがほとんどです。ポララミンは副作用が多いかわりに効果も強いため、第二世代で効果が不十分な方に使われることがあります。

また、風邪による鼻水に対しては、第一世代の抗ヒスタミン薬しか適応が認められていません。そのため風邪に対しては、ポララミンが積極的に使用されます。しかし眠気が強いため軽症でそもそも学校や職場に行く人は使わない方が良いお薬です。辛くて家で安静にするくらい症状が強い時に使用しましょう。

また眠気の副作用を利用して、夜間に蕁麻疹のせいで痒くて眠れない人にもポララミンは適応になると思います。

しかしながら、運転や危険作業をする人には向いていません。眠気があるため、自己に繋がってしまう可能性もあるためです。

ポララミンは古いお薬なのでジェネリック医薬品もありますが、そもそも先発品の薬価も非常に安くなっています。以前からポララミンを使っていて問題がなく、安く済ませたい方は無理に新しい薬に変える必要はありません。

 

6.抗ヒスタミン薬の第一世代・第二世代の違いとは?

第一世代の抗ヒスタミン薬は、脳へ移行しやすいため眠気が出ます。また抗コリン作用に似てる成分もあるため、緑内障や前立腺肥大には使用できません。

最後に、抗ヒスタミン薬の第一世代と第二世代の違いをお伝えしたいと思います。

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー反応を抑えて効果を示します。しかしながらヒスタミンは、実は全身に色々なところで活躍しています。

脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、抗ヒスタミン薬によって脳でのこの働きがブロックされてしまうと、中枢神経が抑制されて眠気が出現します。

また抗ヒスタミン薬は、抗コリン薬と似ている部分があります。このためアセチルコリン受容体をブロックしてしまい、便秘・口渇・尿閉といった抗コリン作用が起きることもあります。そのため抗コリン薬が禁忌である緑内障患者や前立腺肥大患者には、抗ヒスタミン薬も禁忌とされていました。

 

このように、副作用がかなり強いのが発売当初の抗ヒスタミン薬でした。こうした強い副作用のお薬を「第一世代」と呼んでいます。現在では副作用を逆に利用して、術後疼痛コントロール目的にソセゴン(痛み止め)+アタラックス(第一世代抗ヒスタミン薬)など投与することもあります。(病院用語では略して「ソセアタ」といいます)

また第一世代は花粉症や蕁麻疹以外に、風邪による鼻炎にも保険が適応されています。一方の第二世代は、保険適応されていません。これは第二世代の抗ヒスタミン薬は効果がないというわけではなく、時代が進むにつれて「ばい菌による鼻水は積極的に止める必要はない」と考え方が変わったからです。

ばい菌で鼻水が出るのは、鼻水でばい菌を外に出そうとする防御反応だからです。防御反応を無理に止めるとむしろ風邪の治りを悪くすると考えられるようになり、第二世代以降の抗ヒスタミン薬では感冒による鼻水を保険適応外としました。

しかし適応が認められていた第一世代の抗ヒスタミン薬は、あえて感冒を適応から外すことはしなかったので、今でも第一世代の抗ヒスタミン薬は風邪に対して適応が認められているのです。

 

第二世代抗ヒスタミン薬は、1980年代になって続々と発売されました。ヒスタミン受容体のみをブロックして、アセチルコリンの受容体をほぼブロックしないという特徴があります。中枢神経に対する作用も少なく、眠気といった副作用も軽減されています。

これらの抗ヒスタミン薬を一覧にして、以下の表にまとめました。

抗ヒスタミン薬の種類について一覧にしました。

第二世代は第一世代に比べると、副作用がだいぶ抑えられています。このため現在は、第二世代から使われることが主流になっています。どうしても第二世代では効果が不十分な時は、第一世代が使われることがあります。

ただし第二世代でも、ザジテンなどの一部は中枢のヒスタミンに作用してしまいます。このため眠気も強いですし、てんかんや熱性けいれんを悪化させてしまうリスクがあります。このような疾患がある方はザジテンのみ禁忌となっており、それ以外の眠気が強い抗ヒスタミン薬でも注意が必要です。

 

まとめ

<メリット>

  • 風邪による鼻水がある人
  • 豊富な剤形
  • 抗ヒスタミン薬では数少ない注射剤がある
  • 小児に使いやすい

<デメリット>

  • 第一世代のため眠気が強い(花粉症には不向き)
  • 前立腺肥大、緑内障の方は使用できない
  • 便秘・口渇・尿閉

<ポララミンが向いてる人>

  • 第二世代抗ヒスタミン薬では効果が不十分な人
  • 風邪で学校や職場を休む人
  • 夜間に蕁麻疹が出て眠れない人
  • ポララミンで問題がなく、安く済ませたい人
  • 運転や危険作業をしない人

投稿者プロフィール

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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