精神科・心療内科の初診を充実させるには?

アイコン 2016.2.23 精神科・心療内科について

精神科・心療内科を初診するときには、いろいろな心配事が頭をよぎると思います。

「主治医の先生は話しやすいかな?」
「ちゃんと自分のことを伝えられるかな?」
「薬ってどんなものを処方されるのかな?」

身体の病気とは違って血液検査や画像検査ができるわけでもなく、見た目にわかるものではありません。心の病気は「患者さんからの情報」が診断や治療にかかせません。ですから、患者さんが事前に話されることを整理していただけると、しっかりと情報をうけとることができるのです。

それには、医者がどんなことを知りたいのかを理解していただくことが大切だと思います。ここでは、「精神科や心療内科を初診を充実させるためには?」というタイトルで、初診の前に準備しておいた方がよいことを整理したいと思います。

 

1.精神科・心療内科初診のイメージとは?

症状や悩みなどを伝えていただくのは、15~20分ほどになります。伝える内容を整理していきましょう。要点が整理される問診票を作成したので、参考にしてください。

どのような病気でもそうなのですが、はじめの診察は丁寧に行っていく必要があります。とくに精神科・心療内科では、血液検査や画像検査のような客観的なものがありません。心の病気を診断して治療の方向付けをしていくためには、患者さんから様々な情報を集めなければいけないのです。

精神科・心療内科の初診は、時間としては全部で30分程度と考えていただくと良いかと思います。次の予約患者さんのこともあるので、長くなってもせいぜい40分までというのが実情です。診断や治療の方向性の説明をすることを考えると、症状や悩みをお伝えいただくのは15~20分程度になります。

どのように伝えたらよいのだろうと不安な方もいれば、話きれないんじゃないかと不安になっている方もいらっしゃるでしょう。どちらの方も、初診される前に整理していただけると充実した診察となると思います。場合によっては、紙にまとめていただいてもよいでしょう。それをもとに、医師が説明していくのもよいかと思います。

医者が知りたいこととしては、以下の7つになります。

これらを網羅した問診票をつくってみました。

精神科・心療内科初診時問診票

上から答えていただくと、7つのポイントが順番に整理されるように意識して作っています。受診される予定のクリニックで問診票がない場合は、ぜひご活用いただければと思います。

 

2.初診で伝えたくないことがある時は?

すべてを伝えなければいけないというわけではありません。ただ何かある時は、「なにもありません」と否定するのではなく、「いまは伝えられない」と正直にいってください。

精神科・心療内科の診察では、患者さんからの情報が大切だということをお伝えしました。しかしながら、いきなり自分の抱えているすべてを初診で伝えなければいけないかというと、そんなことはありません。

心の病気を抱えている患者さんは、過去に深く傷ついた過去を抱えていることも多いです。親に虐待をうけていたり、ひどいいじめにあったり、思い出すだけでもパニックになってしまうような経験をされている方もいらっしゃいます。

そんな深い内容を、初対面の主治医に対してお話しできなくても当然です。信頼関係が築けて、この先生なら話してもいいと思えるようになったらお話してくれればいいのです。

そんなときは、「傷ついた過去がありますが、今はお話できません」と正直にいっていただいて大丈夫です。「とくに何もありません」と否定されてしまうと、医師に誤解して伝わってしまいます。このように伝えたのにしつこく掘り下げて聞いてくる医師でしたら、他の先生に相談した方がよいかも知れません。

 

3.精神科・心療内科初診で伝えること①-主訴

患者さんが一番困っていることに寄り添って治療をすすめていくことで、患者さんとしっかりとした治療関係が築けていきます。

精神科の患者さんでは、症状は決して一つではありません。多くの症状で苦しんでいる患者さんはたくさんいます。その中でも、患者さんの苦しみが一番大きいものが主訴になります。

これが一番つらいという症状を、しっかりと伝えてください。ここでの症状とは、身体の症状だけでなく精神的な症状も含んでいます。「気持ちが晴れない」「趣味すらも楽しいと思えない」といったことから、「人前に出るのが不安」「同じミスを繰り返してしまう」なども主訴になります。

症状かどうかわからなかったとしても、とにかく自分が一番困っていることを短く伝えてください。

主訴を知ることは、治療を進めていく上でとても大切です。患者さんが一番困っていることを大事にして治療を行っていくことで、しっかりとした治療関係が築けます。一番困っていることがよくなっていかなければ、患者さんとしても信頼して治療を任せられません。

ときには主訴と病気の本質的な症状が異なることもあります。それを主治医から指摘するのは、治療関係が築けてからです。

 

4.精神科・心療内科初診で伝えること②-現病歴

いつから始まっているのか?どんな経過なのか?は重要です。時系列を意識して、整理しておいてください。

主訴が伝えられたら、次は現病歴について伝えていきましょう。現病歴とは、不調になったキッカケから現在に至るまでの経過のことです。

現病歴は非常に大切です。心の病気はいま現在の症状だけでは診断ができません。時間の経過の中で症状が変化する病気もあります。いつから始まった病気なのかも大事です。

例えば双極性障害(躁うつ病)では、患者さんが困って病院にくるのはうつ状態の時ですが、多くの方が若くから発症していて、躁状態とうつ状態を繰り返していることが多いです。同じうつ状態でも、うつ病では中年に発症し、双極性障害とは異なって繰り返しにくいです。

この情報は、正しい方向に見立てて治療を開始していくには欠かせません。

現病歴を伝える時には、時系列を意識していただけると上手に伝えられます。はじめて不調を感じた時のことから、時間経過を意識して整理しておいてください。

「はじめて不調を感じたのは大学2年生の頃です。その時は□□□な症状がありました。その後はしばらく落ち着いていたのですが、就職して2年目の今年に入ると、△△なことがきっかけで、再び□□□な症状が出てきました。だんだん悪くなってきたので、今日受診しました。」

といった形です。過去から現在の時間の流れを意識してお伝えください。すでに他の病院で治療を受けてきた方も、時系列を意識してください。病院での治療に関して伝えていただきたいことは、以下になります。わかる範囲で伝えてください。

 

5.精神科・心療内科初診で伝えること③-症状

心の病気に関係する症状のチェックリストを確認してみましょう。

今ある症状をしっかりと伝えなければいけません。しかしながら心の病気の症状は、出たり引っ込んだりすることがあります。いったん症状が落ち着いてしまうと、思い出せないこともあります。

困っている症状をきっちりお伝えするために、心の病気に関係する症状のチェックリストに目を通してみてください。

その上で、症状が全体的に社会生活にどの程度の影響があるかを伝えてください。

 

6.精神科・心療内科初診で伝えること④-生活歴

出生地や生育地・兄弟姉妹・周産期の異常・発達の異常・家族環境・学校での環境・学歴や職歴・婚姻歴をお伝えください。

心の病気の場合は、これまでの生い立ちや生活のあり方が大きく関係することがあります。このため関係ないと思われるかもしれませんが、個人的なことについてお聞きしていきます。

どうしても答えたくないことに関しては、誤魔化さずに「話しづらいのですみません。」と、正直に伝えてください。それでは代表的な生活歴でお聞きしていくことを見ていきましょう。

 

7.精神科・心療内科初診で伝えること⑤-家族歴

家族の関係性と遺伝性を把握するためには重要です。両親・兄弟・子供・血の繋がっている祖父母の関係を伝えてください。

心の病気を診断・治療していくに当たって、家族の関係性と遺伝性を把握することはとても大切です。

ほとんどの患者さんにとって、家族は何よりも重要な人間関係です。本当の意味での家族の理解があれば、多くの病気で症状がよくなっていきます。一目で関係性がわかる「ジェノグラム」と呼ばれる家系図みたいなものを作成することが多いです。

これをもとに、診察をすすめていきます。家族の変化は精神症状に大きく影響するので、具体的な相談になることも多いです。

 

遺伝歴も大切です。心の病気の中には、遺伝が関係するものがあります。

もっとも遺伝の関連性が強いのが、双極性障害(躁うつ病)です。家族の方に双極性障害と診断された方がいるかを確認するのはもちろんのこと、「家族の方で気分の波が大きい方はいますか?」というように私は質問しています。

双極性障害の遺伝について詳しく知りたい方は、「双極性障害(躁うつ病)は遺伝する病気なのか」をお読みください。

その他にも、統合失調症や発達障害でも遺伝が原因で発症することもあります。うつ病や不安障害でも遺伝傾向が認められることもあります。

両親や兄弟だけでなく、血の繋がっている祖父母までの病気や性格傾向などを確認していきます。

 

8.精神科・心療内科初診で伝えること⑥-既往歴

身体の病気や薬が原因となって精神症状が認められることがあります。また、薬の飲み合わせやアレルギーの情報も大切です。

既往歴とは、これまでかかっていた病気のことです。心の病気に限らず、どんな病気でも既往歴は大切です。

精神疾患の中には、身体の病気が精神症状と関係する場合があります。病名でいうと、器質性精神障害と症状性精神障害といわれたりして、幻覚・妄想状態や躁状態、うつ状態など、あらゆる症状が認められることがあるのです。

器質性精神障害では、脳神経の直接的な異常が原因となって精神症状が認められます。例えば、頭部外傷や脳腫瘍、脳梗塞や脳出血といった脳血管のトラブルなどがあげられます。

症状性精神障害では、身体の病気が原因となって精神症状が認められます。例えば、甲状腺機能異常症、SLEなどの膠原病(自己免疫疾患)、糖尿病などの代謝性疾患、炎症性疾患などがあげられます。

 

それ以外にも、お薬に関する情報も大切です。お薬によって精神症状が出現することもあります。ステロイドやインタフェロン、降圧剤の一部や経口避妊薬などには注意が必要です。

お薬のことで確認することは2点です。

現在服用している薬の中には、飲み合わせに注意しなければいけないものもあります。中には併用してはいけない薬もあるので、できればお薬手帳を持参してください。ジェネリックを服用している方は、「アメル」や「トーワ」などが薬の名前と勘違いしていることがあります。これらの名称は、ジェネリック医薬品の製造会社の略称になります。これだけではわかりません。

また、お薬を飲んでいて発疹やかゆみがみられたことがある方は、必ずその薬を医師に伝えてください。このような症状は、お薬のアレルギーである可能性が高いです。アレルギーが一度出てしまった薬は、もう一度服用するとアレルギーが出現するリスクが高いです。アレルギーは最悪の場合、アナフィラキシーショックといって死に至ることもあります。

 

9.精神科・心療内科初診で伝えること⑦-嗜好歴

お酒やタバコについては正直に伝えてください。違法薬物の過去も正直に話していただいた方が適切な治療ができます。

嗜好歴とは、一般的にはお酒やタバコのことを指しています。どちらも依存しやすく、ストレスを感じると量が増える方も多いと思います。

お酒やタバコも精神状態やお薬の効果に与える影響はとても大きいです。どれくらいの量なのか、いつぐらいから始めているのかを知る必要があります。お酒は、アルコール依存症を合併してしまう方もいるので注意しなくてはいけません。

お酒やタバコは、やめられたらやめるに越したことはありません。しかしながら、すぐにやめられるものでもありません。「治療するなら絶対に酒とタバコはダメ!」とは、ほとんどの医師は言いません。ちゃんと伝えてください。

 

もしも過去に覚醒剤や大麻、シンナーといった違法な薬物の使用歴があれば、それに関しても伝えてください。過去のことに関しては通報などはされません。

薬物が関係している精神障害の方は突然に興奮が強まることもあるので、入院施設のある病院での治療が適切です。

 

まとめ

症状や悩みなどを伝えていただくのは、15~20分ほどになります。伝える内容を整理していきましょう。要点が整理される問診票を作成したので、参考にしてください。

すべてを伝えなければいけないというわけではありません。ただ何かある時は、「なにもありません」と否定するのではなく、「いまは伝えられない」と正直にいってください。

初診では、以下のようなことをお聞きしていきますので、整理しておいてください。