ノロウイルスの治療と有効な薬とは?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
ノロウイルスは非常につらい嘔吐や下痢に襲われます。病院にいけば薬があるのかというと、残念ながらノロウイルス治療薬はありません。嘔吐や下痢についても、止めてしまうと治りが悪くなってしまうので、お薬を出すことはありません。
ですから、ノロウイルスの治療はお薬を使わず、身体の免疫がノロウイルスをやっつけてくれることをじっと待ちます。
それでは、どのようなことに気をつけて治療をしていけばよいのでしょうか?ここでは、ノロウイルスの治療や薬についてお伝えしていきます。
1.ノロウイルスはどうやって治療するの?
脱水に気を付けながら、水分補給をします。身体の免疫がノロウイルスをやっつけるのを待ちます。
風邪をひいて病院にいくと、抗生物質をはじめとして様々なお薬が処方されます。ノロウイルスで病院にいっても、処方されるとしても整腸剤くらいです。お薬は基本的に使わないで治療をしていきます。
激しい嘔吐や下痢があると水分が奪われてしまうので、水分補給を大事にながら自然に回復するのを待ちます。自分の免疫がノロウイルスをやっつけてしまえば、症状は次第によくなっていきます。
健康な方では、非常に苦しい思いはしますが、自力で治せてしまう病気です。しかしながら、注意をしなければいけない方もいます。
- 乳幼児や高齢者
- 免疫が落ちている方
このような方では、時に重症化することがあります。
- 脱水が極度にすすんでしまう
- 体力の低下で元々の病気が悪化する
- 体力の低下で他の感染症にかかってしまう
このような懸念があるので、時に入院治療となることもあります。入院したからといって特別な処置をするわけではなく、水分の点滴を行うくらいです。
2.ノロウイルス治療に有効な薬とは?
ノロウイルスに直接効くお薬はありません。整腸剤が下痢をやわらげてくれます。吐き気止めは、よほどつらい時だけ使います。
風邪をひいたら抗生物質を出されることがあるかと思います。抗生物質は残念ながら、細菌にしか効果がありません。このため、ノロウイルスには全く効果がないのです。そればかりか、すべての腸内細菌を殺してしまうので、善玉菌もいなくなって下痢が悪化してしまうことがあります。
ウイルスには、インフルエンザのようにお薬があるものもあります。ノロウイルスでは残念ながら、そのような抗ウイルス薬が開発されていません。ノロウイルスは人の腸管でしか繁殖させることができず、他の動物では増殖できません。このため、ノロウイルスに効果のあるお薬の研究がなかなか進まないのです。
ですから、ノロウイルスに直接効くお薬はありません。ノロウイルスの治療で使うお薬は、あくまで対症的なものになります。ノロウイルスの症状は大きく3つあります。
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
発熱は、あまりにつらければ解熱剤を使います。ですが、身体の熱が出ることには意味があります。体温を上げることで免疫を高めているのです。解熱剤を使うと回復が遅れるので、早く治したい方はできるだけ使わないようにしましょう。
嘔吐や下痢は、どちらも腸内に侵入してきたウイルスを排泄しようという身体の働きです。これを止めてしまうと、ウイルスが身体から排泄されません。ですから吐き気止めや下痢止めは、できるだけ使わない方がよいです。
下痢に対しては、整腸剤を服用すると下痢の量や期間などが軽減することがわかっています。腸内の善玉菌が増えることで、腸内バランスが整います。
3.ノロウイルス治療中の水分と食事はどうすればよいの?
塩分の含まれるスポーツ飲料などで水分補給をしましょう。食事をとれるなら、食べた方が回復は早いです。
ノロウイルスの治療では、水分補給がかかせません。激しい嘔吐や下痢に襲われるので、身体から水分がたくさん失われてしまいます。このため、ちゃんと補給しないと脱水になってしまいます。
水分としては、できれば程度な塩分が含まれているものがよいです。嘔吐と下痢と同時に塩分が失われていくからです。スポーツドリンクやスープなどをとるようにしましょう。最近は、OS-1などの経口補水液も市販されています。これは、身体の血液に近い濃度に塩分と糖を調整したものなので、より効率的に水分補給ができます。
水分を飲むときも、一気に飲むと吐き気が強くなってしまいます。せっかく飲んでも吐いてしまったら意味がないので、少しずつ布教するようにしましょう。
食事に関しては、特別なものをとったり、絶食する必要などはありません。嘔吐が強いので無理して食べる必要はありませんが、消化によいものを食べると回復は早いです。食べ物をとることで、腸液が分泌されます。
また、食事と一緒にウイルスが便に排泄されます。ですから、できるなら食べるようにしましょう。脂肪分が多い食事については、下痢を長引かせることがあるので避けるようにしましょう。
まとめ
脱水に気を付けながら、水分補給をします。身体の免疫がノロウイルスをやっつけるのを待ちます。
ノロウイルスに直接効くお薬はありません。整腸剤が下痢をやわらげてくれます。吐き気止めは、よほどつらい時だけ使います。
塩分の含まれるスポーツ飲料などで水分補給をしましょう。食事をとれるなら、食べた方が回復は早いです。
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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