リスペリドンの半減期と効果時間とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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リスペリドンは、第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)リスパダールのジェネリックです。統合失調症の治療薬として使われることが多いですが、興奮を落ち着かせる鎮静作用があるので、さまざまな場面で使われます。

リスペリドンの作用時間や効き目は、半減期から考えることができます。

リスペリドンは最高血中濃度到達時間1.1~3.3時間・半減期4~21時間です。かなり幅がありますが、これはどういうことでしょうか?ここでは、リスペリドンの半減期と効果時間について、詳しくみていきたいと思います。

 

1.薬の半減期とは?

薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

薬を飲み始めると、直後は血中濃度がどんどんと上がっていきます。薬の吸収がおわると、薬は代謝されて身体から出ていきますので、少しずつ血中濃度が減少していきます。身体が薬を代謝できるスピードは決まっていますので、どれくらいの量であっても一定のスピードで身体から抜けていきます。このため、薬の量が半分になるまでにかかる時間は、内服量にかかわらず一定になります。

この血中濃度が半分になるまでにかかる時間を半減期(T1/2)といいます。T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。反対にT1/2が長いほど、薬が身体に蓄積しやすいといえます。

薬の効き方を考えるにあたって、もう1つのポイントがあります。最高血中濃度到達時間(Tmax)です。これは文字通りで、血中濃度がピークに達するまでの時間です。効果がでるまでのスピードに関係しています。Tmaxが短いほど、薬の効果がすぐに表れることを意味しています。

 

2.リスペリドンの効果時間と使い方

リスペリドンは、最高血中濃度到達時間が1.1~3.3時間、半減期が4~21時間の非定型抗精神病薬です。外来では1~2mgから、入院では3~4mgから使われることが多いです。最大12mgまで使えます。

リスペリドンを服用すると、1.1時間で血中濃度がピークになります。リスペリドンはそこから少しずつ身体からお薬が抜けていきます。4時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

リスペリドンは体内で分解されて、パリペリドン(9-ヒドロキシリスペリドン)に変化します。このパリペリドンにも効果があるので、活性代謝産物と呼ばれています。これだけを取り出したものがインヴェガというお薬となっています。パリペリドンはリスペリドンとほぼ同等の効果があり、リスペリドンの効果の中心はパリペリドンにあります。

活性代謝産物のパリペリドンは、最高血中濃度が3.3時間、半減期が21時間となっています。このため、リスペリドンでは、「最高血中濃度到達時間時間1.1~3.3・半減期4~21時間」といえます。

 

このため、1日1回の服用でも効果は期待できるお薬です。実際には副作用を避けるために、1日2~3回に分けて服用することが多いです。外来では1~2mgから、入院では3~4mgから使われることが多いです。6mgを超えてくると錐体外路症状が増えてきますので、アキネトンなどの予防薬を併用することも多いです。最大12mgまで使えるお薬です。

小児に対しては、体重によってリスペリドンの用量がわかれています。

体重15~20kgの患者さんでは、0.25mgから開始して1mgまでとなっています。体重20kg以上の患者さんでは、0.5mgから開始していきます。体重45kg未満では2.5mgまで、体重45kg以上では3mgまでとなっています。

高齢者でも薬が身体に残りやすいので、小児と同じように少量から使っていきます。

 

リスペリドンの効果について知りたい方は、
リスペリドン錠の効果と特徴
をお読みください。

 

3.抗精神病薬の半減期と作用時間の比較

リスペリドン自体の半減期は短いですが、活性代謝産物の半減期は長いです。このため、1日1~3回での服用で効果が持続します。

抗精神病薬の半減期を比較してみましょう。

抗精神病薬の半減期を一覧にして比較しました。

抗精神病薬の半減期をみることで、それぞれの薬の作用時間や効き方がある程度わかります。

半減期の長いジプレキサやエビリファイでは、1日1回の服用でも十分に効果が持続します。半減期の短いルーランやセロクエルでは、1日に2~3回の服用が必要になります。

ロナセンやリスペリドンでも1日2~3回の服用となることが多いですが、どちらも1日1回でも効果が持続します。ロナセンでは、反復投与によって半減期が60時間以上に延びていきます。リスペリドンでは、活性代謝産物が長く残って作用します。

薬を服用する人によっても、分解のしやすさには違いがあります。ですから、半減期だけではわからないこともあるのですが、薬の作用を考えていく目安になります。

抗精神病薬は、しっかりと飲み続けていくことが大切なお薬です。患者さんが実際に服用できなければ何の意味もありません。効果や副作用の特徴はもちろん大切ですが、服用のしやすさも意識しながらお薬を選んでいきます。

 

まとめ

半減期とは、薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

リスペリドンは、最高血中濃度到達時間が1.1~3.3時間、半減期が4~21時間の非定型抗精神病薬です。外来では1~2mgから、入院では3~4mgから使われることが多いです。最大12mgまで使えます。

リスペリドン自体の半減期は短いですが、活性代謝産物の半減期は長いです。このため、1日1~3回での服用で効果が持続します。<

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