高血圧の方が入浴する時に気を付けてほしいこと

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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冬場にお風呂場で倒れて、病院に運ばれたら脳卒中だった・・・という悲しい出来事がよくあります。冬になると心血管病の患者さんが急増します。

高血圧の患者さんは、寒さに注意が必要です。そして入浴する際には、温度差にも注意が必要です。最近では浴室暖房があるお宅も増えてきていますが、これも入浴のときの温度差に注意が必要であることの表れです。

高血圧の方はどのようなことに注意すればよいのでしょうか?ここでは、入浴の注意を中心にお伝えしていきたいと思います。

 

1.高血圧と寒さ

寒くなると血管が細くなるので、血圧があがります。

寒くなってくると、私たちの身体はできるだけ熱を奪われないように工夫をします。そのひとつの方法として、血管を収縮して細くします。細くなることで表面積が小さくなり、熱が逃げにくくなるのです。

それでは血管が細くなると、どのような変化がおきるでしょうか?このことを考えるには、ホースをもって先端をつまんでみるとわかります。ホースをつまむと水が勢いよく出てきませんか?これは、水の通り道が小さくなることで、水の圧が増しているのです。

血管も同じように考えれば、血液の勢いが大きくなるのが理解いただけると思います。ですから、寒いと血圧があがりやすくなると言えます。

冬場は気温が低いので、このように高血圧は悪化しやすいです。さらには、冬場は汗もかかないので塩分が失われることも少なく、塩分を多くとりがちになります。これらも重なって、冬場は高血圧になる方が多いです。

 

2.高血圧の患者さんが冬に気を付けること

高血圧の方は、急激な気温の変化に注意が必要です。

暖房をしっかりとつけてお部屋をあったかくしていると、身体はその温度に慣れていきます。そこで、何かのきっかけで寒い外気に触れると、急激に交感神経が刺激されて血管が収縮します。

すると血圧が一気にあがってしまって血管をやぶってしまったり、血管の中に作られていた塊が血圧の勢いではがされて、重要な血管を詰まらせてしまったりします。このようにして、心筋梗塞や脳卒中(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞)を発症してしまうのです。

ですから、冬場は気温の急激な変化に注意が必要です。特に高齢者では、動脈硬化が進んでいることが多いので注意が必要です。

動脈が硬くなっているところに強い血圧が急に加わると、若い人のしなやかな血管と異なって、破裂したり(くも膜下出血・脳出血・大動脈瘤破裂・大動脈解離など)、詰まったり(脳梗塞・心筋梗塞)します。また、動脈硬化では血管が細くなっていますので、血圧が急に低くなると血液が流れにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞がおこります。

具体的に注意するのは、以下のような場合です。

  • 寒い屋外に出るとき
  • トイレや脱衣所など寒い場所へ移動したとき
  • 夜間や早朝にトイレに起きたとき
  • 熱い風呂への入浴時

 

3.高血圧の患者さんの入浴での注意

浴室は暖かくしましょう。お風呂の温度は40℃以下で5~10分程度にしましょう。

高血圧の方は、入浴に注意をする必要があります。注意する大きなポイントは、浴室の温度と入浴の方法です。

浴室の温度に気を使う必要があります。リビングやダイニングなどは暖房をしっかりときかせていますね。ですが、浴室にはみなさん気を使わないことが多く、寒いことが多いと思います。

入浴のために浴室にいって服を脱ぐと、急激に寒気が襲ってきます。この急激な気温の変化が、血圧を一気に高めてしまいます。高齢者などで動脈硬化がすすんでいると、脳卒中などが起こってしまいます。

ですから、浴室暖房がある場合はつけておきましょう。ない場合は少しもったいないかも知れませんが、温かいシャワーを出しておくと浴室内が暖まります。できるだけ寒暖の差をなくすようにしましょう。

 

入浴の方法としては、温度と時間を意識しましょう。あまりに熱いお風呂に入ると、交感神経が刺激されて血圧が上がってしまいます。温度は40℃以下では、ほとんど血圧は上がらないといわれています。

38℃~42℃くらいの湯温にして、5~10分程度の入浴が目安とされています。銭湯や温泉での湯温は熱すぎることが多いです。また、水風呂やサウナなどは一般的には健康によいとされていますが、避けた方がよいです。

高血圧の方に限らないことではありますが、冬場はお酒を飲んで楽しんだ後に、温泉に入って意識を失って倒れてしまうということが多いです。お酒の利尿作用に加えて、温泉に入ることで脱水します。

そんな状態で温かいお風呂に入ることで身体の血管が拡がりますので、脳に血液が行きにくくなります。これらが重なることで脳梗塞になってしまって、意識を失ってしまいます。発見が遅れたり打ち所が悪いと亡くなられることもあるので、お酒を飲んだ後に入浴することはやめましょう。

 

4.高血圧の患者さんのその他の注意点

高血圧の方は、便秘をしないように意識しましょう。

日常生活の中では、高血圧の方は便秘に注意した方がよいです。排便時にいきむと、血圧が急激に上がってしまいます。

便通をよくするために、朝にトイレに座る習慣を作るようにしましょう。出なくてもよいので、できれば朝食のあとにトイレに数分座る習慣を作ってください。最も腸の動きがよくなるタイミングが朝食後なのです。

また、食事の内容を意識しましょう。食物繊維をとるように意識してください。便が硬い時は、水をしっかりと飲むようにして、水溶性の食物繊維をとるようにしましょう。

さらに運動習慣をつけるとより腸の動きがよくなります。縦の動きが効果的なので、階段をつかうなど工夫しましょう。

 

まとめ

寒くなると血管が細くなるので、血圧があがります。

高血圧の方は、急激な気温の変化に注意が必要です。

浴室は暖かくしましょう。お風呂の温度は40℃以下で5~10分程度にしましょう。

また、便秘をしないように意識しましょう。

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