肺気腫(COPD)は国民病?患者数と予防対策について

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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肺気腫はタバコがおもな原因で肺がボロボロになる病気です。この病気は一度発症してしまうと二度と治ることができない不治の病です。そのため肺気腫を治療する前に、肺気腫自体にならないことが大切です。

肺気腫は慢性気管支炎をあわせて、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれています。この2つはオーバーラップすることも多く、ひとつの病態として考えていくことになりました。

実はCOPDは、今や国民病といっていいほど多くの方がかかっているといわれています。国の推定では、現在530万人がCOPDに罹患しているといわれています。

一方でこの530万人のうち、しっかりと診断がつけられて治療されている人は1割前後であると考えられます。つまり多くの人が病気になっていることを知らずに、喫煙し続けている可能性があるということです。

COPDと診断されている人が氷山の一角であることは国も痛感しており、 「健康日本21」という生活習慣病の予防に関する取り組みの中でも、肺気腫(COPD)では以下のように目標が掲げられています。

「肺気腫(COPD)の病気についてもっと知ってもらうこと」

タバコを吸い続けるとどういう状態になって、どう困るのかということを知ってもらうことが重要としているのです。現在テレビでもCM等でもCOPD(肺気腫)のことがとりあげられることもあります。

このページを読んでる方は、肺気腫(COPD)という言葉をぜひ覚えてもらえればと思います。

 

1.肺気腫(COPD)ってどんな病気?

タバコで肺が傷つけられた結果、気管支が狭くなる病気です。一度発症するとタバコをやめても二度ともとには戻らないのが特徴的です。

肺気腫(COPD)とは、主にタバコで肺が傷ついてしまう結果起きる病気とされています。日本では85~90%がタバコが原因です。大切なことはタバコを実際に吸っていなくとも、周りの人が吸ってる煙(副流煙)を吸ってしまっても肺が傷ついてしまう病気ということです。

肺が傷ついた結果、肺が穴ぼこだらけになり、気管支が炎症で狭くなります。肺がボロボロになることで、咳や痰、動いた際の息切れが出ます。ここで重要なのはタバコをやめても一度傷ついた肺は二度ともとには戻らないことです。

肺は非常に繊細な臓器で再生する能力がほぼありません。さらに年齢をとると体力は徐々に落ちると思いますが、肺の機能も筋肉と同様に徐々に落ちていきます。肺気腫の方は、正常の方よりも肺の機能が落ちる速度が早いとされています。

さらに肺気腫(COPD)は、日本では2016年の時点で死因第9位の恐ろしい疾患です。世界的に見ても死因第3位になると予想されています。息ができないと人の命が危ぶまれるというのは容易に予想できるかと思います。

COPDは息が思いっきり吐けなく吸えなくなる病気です。十分に息が吸えないということは息苦しさを感じるだけはなく、同時に命の危険性まで出てくる病気なのです。

このように肺気腫はタバコで肺がボロボロになることで、咳や痰が出続ける病気です。さらにそれが、治すことはできない非常に怖い病気ということを認識しておく必要があります。

詳しく知りたい人は、「肺気腫とはどんな病気?寿命を縮めるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の怖さ」を一読ください。

 

2.肺気腫(COPD)の発症はどれくらい?

国の予想では、約530万人程度いるとされています。一方でしっかりと診断を受けられた方は氷山の一角と考えられている病気です。

我が国の喫煙率は、19.3%とされています。性別にみると、男性32.2%、女性8.2%であり、男女ともに10年間で減少傾向にあります。一方、合計で2割前後の人が喫煙を続けている状況です。

この中で何人の人が肺気腫なのでしょうか。実は国が大規模に調べた研究があります。これをNICE  studyといいます。Nippon COPD Epidemiology Studyの略で、NICE studyです。この研究では、全国18都道県で無作為に選んだ40歳以上の方に呼吸機能検査を施行しました。

その結果、40歳以上の10.9%(男性16.9%、女性5.0%)でCOPDと診断がつきました。これの結果から推定すると、40歳以上の8.6%である約530万人、70歳以上では約210万人が日本でCOPDの患者さんがいると考えられています。

530万人と聞くと決して見過ごせない人数ですよね?しかし一番の問題なのは、しっかりと診断がされた方がほとんどいないということです。実際にこのNICE studyでも、COPDと診断された人のうち既に診断を受けていた人は9.4%にすぎませんでした。

つまり肺気腫やCOPDと診断がついてる人は本当に氷山の一角であり、多くの人はCOPDになっている状態でも気が付かず喫煙を続けている状態なのです。

COPDは日本で死因第9位の病気です。平成22年度では、1万6000人の方がCOPDで命を落としています。タバコを吸っていたら咳や痰は出るのが当たり前ではなく、一度病院でCOPDかどうか精査を受けることをお勧めします。

 

3.COPD(肺気腫)の予防対策とは?

「健康日本21」では、COPDの認知率の向上を目標にしています。

COPDは日本で530万人もの患者さんがいると推定されるので、国民病の一つといっても過言ではありません。NICE studyの計算から、このままCOPDを野放しにすると、年間総医療費は約8055億円に上るとされています。

そのため健康日本21という生活習慣改善運動でも、このCOPDは重きが置かれています。健康日本21は、早期発見・早期治療という二次予防でなく、病気自体の発生を防ぐ一次予防に重点対策を置いている運動です。

具体的な数値目標を設定し、目的達成のため、

  1. 自己管理能力の向上
  2. 専門家等による支援と定期管理
  3. 保健所等による情報管理と普及啓発

の推進の三つを柱とする対策を行っています。

 

COPD健康日本

この健康日本21では、癌や心筋梗塞、糖尿病に並んでCOPDも示されていますが、その目標はただ一つ、「COPDの認知率の向上」です。

タバコを吸ってる人の大部分は、体に悪いということは承知で吸っていると思います。体に良いと思って吸ってる人はいないでしょう。しかしながら、体にどう悪いかイメージできてない人が多いのも事実です。ただ漠然と煙草を吸っていると、咳や痰が続いてしまうくらいの気持ちでいる人も多いのではないでしょうか?

そのため国はまず禁煙を勧める前に、なぜタバコを吸ったらだめなのかを広く伝えようと様々な行動を起こしています。肺気腫やCOPDがCMに流れているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?実はこれは、健康日本21の取り組みです。

大切なのは、タバコを吸って肺気腫(COPD)になると、

  • 1回病気になると元に戻らない
  • 息が苦しくなってきた時に著効する治療法がない

ということが理解できているかです。タバコを吸ってCOPDが気になる人は、ぜひ一度病院を受診してみましょう。呼吸機能検査で重度のCOPDと診断される方も多々います。

 

まとめ

  • 肺気腫(COPD)はタバコを吸ったことにより肺が傷ついた結果、気管支が狭まる病気です。
  • 肺気腫(COPD)は一度発症するとタバコをやめてももとには戻りません。
  • 肺気腫(COPD)は日本では約520万人が罹患しているといわれています。
  • 肺気腫(COPD)はしっかりと診断されて治療を受けている方は1割前後と考えられています。
  • 国も健康日本21で肺気腫(COPD)の認知度の向上を目標に行動しています。

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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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