妊婦さんの花粉症対策と使える薬とは?
毎年春が近づいてくると、花粉症の心配をされる方も多いかと思います。
花粉は妊婦さんにも容赦してくれません。このような時に、どうすればよいでしょうか?どのようなお薬が安全といわれているのでしょうか?
ここでは、妊婦さんができる花粉症対策と使えるお薬に関して、お伝えしていきたいと思います。
1.まずは花粉の予防が大切
メガネとマスク・室内に入る時は花粉を払う・加湿空気洗浄器などで、花粉が身体に入らないようにしましょう。
花粉症対策で一番大切なのは、花粉を避けて除去すること。アレルギーの原因である花粉を避けることで、症状を重くしないようにしましょう。具体的な方法をみていきましょう。
- メガネとマスク
- 室内に花粉を持ち込まない
- 空気洗浄器
- 濡れぞうきんで掃除
- 加湿
普段コンタクトをつけている方は、メガネにかえるだけでも花粉症を軽減します。もちろん、だてメガネでもOKです。そこまでしなくてもよいかも知れませんが、花粉症を予防するゴーグルなども市販されています。マスクは花粉を予防するだけでなくて、鼻粘膜の保湿保温をしてくれますので有効です。これらはシーズンに入る前から着用したほうがよいです。
室内に入る時に、玄関で花粉を払ってから帰宅するなどして、花粉を室内に持ち込まない対策も有効です。また、洗濯物もしっかりとはたいたり、取り込んだら掃除機などで花粉を吸い取りましょう。花粉を除去するスプレーなども発売されています。
もちろん空気洗浄器も有効です。また、花粉は湿度が高いと重たくなって落ちやすくなります。ですから加湿も考えて、加湿空気洗浄器を設置すると効果的です。掃除をする時は、花粉を舞い上げないように濡れぞうきんで掃除することがすすめられています。
2.妊娠すると鼻炎になりやすい?
妊娠すると血液量が多くなって、鼻粘膜が充血して鼻炎になりやすくなります。
妊娠すると、くしゃみや鼻づまりになりやすくなることがあり、妊娠性鼻炎と呼ばれたりもします。これは、妊娠による生理的な現象で、赤ちゃんに多くの血液を送るために妊婦さんの身体が変化するためです。
妊娠すると女性ホルモンが増加します。すると、妊娠4週目ころから少しずつ血液量がふえていき、32週をピークに血液量は1.4倍くらいになります。このため、鼻の粘膜が充血したり、むくみやすくなります。
この結果として、くしゃみや鼻づまりになりやすくなることがあり、これを妊娠性鼻炎と呼んだりします。ですから、ただでさえ妊婦さんは鼻炎になりやすいのです。花粉症が重なってしまうと、症状が例年よりひどくなってしまう方も多いです。
3.妊婦さんが使える花粉症の薬
妊娠16週までは薬を使わず、その後は点鼻や点眼を中心に治療をしていきます。
妊婦さんが花粉症で苦しんでいる時、どのような薬がつかえるのかを考えていきましょう。花粉症の薬は、抗ヒスタミンやステロイドなどのアレルギーを抑える薬を使います。薬の種類として、飲み薬・点鼻薬・点眼薬などがあります。
妊婦さんの花粉症の薬としては、点鼻や点眼が中心です。点鼻や点眼は飲み薬と違って、その場だけに作用して効果が出てきます。血液にはほとんど取り込まれないので、ごくわずかしか赤ちゃんには届きません。
ですからストロイドの点鼻薬や抗ヒスタミン点眼薬、インタールの点鼻や吸入などは比較的安全といわれていて、妊婦さんでも使われています。
これらの薬が関連した奇形の報告などはないのですが、念のため赤ちゃんの身体の重要な部分が完成する妊娠15週目までは使わない方がよいです。鼻アレルギー診療ガイドラインでは4か月までは避けた方がよいとされていますので、16週までは一般的には使いません。
点鼻や点眼で症状がコントロールできない時は、飲み薬も大きな問題はないといわれています。ですが、抗ヒスタミン薬の一部で口蓋裂のリスクが増加したとの報告もありますので、妊娠16週までは使わない方がよいです。
とはいえ、妊娠に気づく前に治療をしていたとしても過度に心配しなくても大丈夫です。薬の影響はないという報告の方が多いくらいです。
抗ヒスタミン薬の中では、昔からあるポララミンなどの薬では安全性が高いといわれています。ポララミンで眠気が強く出てしまった時は、新しい抗ヒスタミン薬も使うことはできます。クラリチン・ジルテック・アレグラなどは奇形のリスクはないだろうと言われています。
最重症の場合はステロイドの内服をすることもあります。ステロイドの中では、プロドニンの安全性が高いといわれています。
4.市販薬は使えるの?
概ね問題ありませんが、ナファゾリンなどの血管収縮成分の入っているものには注意しましょう。
市販薬は病院の薬よりも弱いです。ですから、基本的には大丈夫なことが多いのですが、市販の点鼻薬には血管収縮成分がほとんどすべてに入っています。この成分が要注意です。初めは効きがよいのですが、少しずつ効かなくなっていきます。
あまり連用していると、むしろ鼻粘膜がむくんでしまったりします。ですから、ナファゾリンやテトラヒドロゾリンといった血管収縮成分が入ったものは、長期で連用を避けた方がよいです。さらに、これらの成分は子宮収縮作用があります。点鼻薬ですので血中に入って子宮に作用するのはごく微量ですが、気を付けた方がよいです。
その他の成分として、市販の点鼻薬によく含まれているものは2つあります。クロモグリク酸ナトリウムという抗アレルギー薬とリドカインという局所麻酔薬です。前者の抗アレルギー薬は、病院ではインタールというお薬です。上述しましたが、インタールは安全性が高いので問題はありません。局所麻酔薬のリドカインも赤ちゃんへの影響はほとんどありません。
飲み薬も最近は市販されています。市販の飲み薬に関しては、抗ヒスタミン薬は安全性が高いので医療用と同成分の薬も発売されています。花粉症でしたら産婦人科の先生も処方してくれると思いますので、先生に相談するようにしてください。
市販医薬品として、鼻うがい用の生理食塩水なども売っています。お薬が心配な方は、鼻うがいをしてみてはいかがでしょうか?鼻づまりが改善し、鼻粘膜にくっついた花粉も洗い流せるのでスッキリします。
まとめ
まずは花粉の予防が大切です。メガネとマスク・室内に入る時は花粉を払う・加湿空気洗浄器などで、花粉が身体に入らないようにしましょう。
妊娠すると血液量が多くなって、鼻粘膜が充血して鼻炎になりやすくなります。
できるならば、妊娠15週までは薬を使わず、その後は点鼻や点眼を中心に治療をしていきます。
概ね問題ありませんが、ナファゾリンなどの血管収縮成分の入っているものには注意しましょう。
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