花粉症はどうして発症するの?花粉症の原因とメカニズム

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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毎年春になると、花粉症に悩まされる方も多いかと思います。かく言う私もそのうちの一人です。

鼻水・鼻閉・くしゃみ・目のかゆみという花粉症の4大症状は、お花見をしながら春の陽気を楽しもうといった気持ちを台無しにしてしまいます。

そもそもなぜ花粉症は起こるのでしょうか?その作用機序をみていきましょう。

 

1.花粉症を発症するメカニズム(仕組み)とは?

花粉を異物と認識して追い出そうとして働く体のメカニズムが、花粉症の症状へとつながります。

なぜ、花粉が飛散したら花粉症になるのでしょうか?実は花粉自体は悪さしてないのです。私たちの体が、花粉を異物と認識して排除しようとすることによって、鼻水や目のかゆみが出現するのです。このアレルギー反応をⅠ型アレルギーといい、主に免疫物質のIgEが関与するアレルギーとなります。

Ⅰ型アレルギーの作用機序を詳しくみてみましょう。代表的な原因花粉であるスギ花粉を吸いこんで、どのように花粉症が発症するのかみていきましょう。

簡単に流れを説明すると、以下のようになります。

  1. 花粉(スギ)が体内に侵入。
  2. マクロファージ(体の中の警察官)が異物と認識して花粉を食べる。
  3. マクロファージがT細胞、そしてB細胞とバケツリレーのように花粉の情報を次々に渡す。
  4. 花粉が次に入ってきたときに撃退するために、B細胞がIgEという特殊な爆弾を作り、肥満細胞(体の中の爆弾保管庫)に保管しておく。
  5. 花粉が再び侵入した際に、肥満細胞は保管しておいたIgE爆弾が発射されて花粉にくっつく。
  6. IgEが爆発することをきっかけに、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出される。

こうして作られたヒスタミンやロイコトリエンによって、鼻の知覚神経や血管が刺激され、くしゃみや鼻漏、鼻閉といった症状を引き起こします。(即時相反応)

また、このような花粉とIgEとの反応が繰り返されると、鼻では好酸球が増加して症状が遷延します(遅発相反応)。

 

なぜこのようなアレルギー反応が出現するかというと、大量に入ってきた花粉を、体が敵と認識して追い出そうとしているのです。鼻水には大量にスギの花粉が含まれていて、外に洗い流しています。

今まで症状が何もないのに、今年から鼻水や鼻づまりが・・・と花粉症を発症してしまった人は、IgE爆弾が毎年少しずつ作られたのです。症状が出るまでにIgEが少しずつ作られていき、限界になって発症したのが花粉症となります。

 

2.スギ花粉で花粉症になる原因とは?

スギ花粉だけがアレルギーを起こすわけではありません。日本ではスギ花粉が多いので、スギ花粉のアレルギーが多いのです。

アレルギーが起こるのはスギの花粉に限ったことではなく、他の花粉でもなります。日本では約60種類の花粉が原因になると考えられていて、スギの次に多いのがヒノキになります。

花粉が飛散するのにはそれぞれ時期があり、症状もその時期に一致します。まず、2月頃よりスギから始まって、次いでヒノキです。その後夏場を中心にイネ科で、秋になるとキク科になります。

一つの花粉でしか花粉症にならないなんてことはありません。むしろアレルギー体質の人は、複数の花粉でアレルギーを起こしている可能性があります。

しかし日本では、国土の実に12%がスギに覆われているスギ大国のため、花粉症の70%の原因がスギになります。日本にスギが多いのは、日本の木の文化と大きく関係しています。

徳川家康が江戸に幕府を開いて以降、急速に関東は発展していきました。それにあわせて木材の需要が急激に増えていきました。こうして自然林の木が大量伐採され使い尽くされたのち、建築材としてスギの植林が始まったのです。スギは人の手で非常に育てやすい木なのです。江戸時代の時は、花粉症なんて誰も気にしていないのです。

さらに戦火によって自然林が燃えてしまったため、1970年代までスギをどんどん植林していきました。こうして日本国土の1割がスギというスギ大国日本が完成したのです。そのため暖かくなった2月頃から、スギの花粉をこんなに大量にとぶ国は日本しかないのです。スギを大量に伐採するわけにもいかないので、毎年このスギ花粉が拡がるのは止めようがありません。

 

3.花粉以外でもアレルギーって起こるの?

花粉以外、さらにいうと全ての物でアレルギーは起こりえます。動物アレルギー、食べ物アレルギー、さらには薬剤アレルギーもあります。

アレルギー反応は、何も花粉に限った話ではありません。ネコやイヌなどの動物、小麦や牛乳、卵などの食べ物、カビやハウスダスト(ほこり)など、家に普段からあるものでもアレルギーになりえます。

医療の世界で一番困るのは、お薬のアレルギーです。治療で使ったお薬によってアレルギーが出て、治療する前よりひどい目にあったということは時々起こります。そのため医師は、お薬のアレルギーは必ず確認します。

どういったメカニズムでアレルギーが起きるかは、かなり細かく分かってきました。しかしながら、どういった人がアレルギーになりやすいかまでは分かっていないのです。卵をたくさん食べても多くの人は大丈夫なのに、少し食べただけであっという間にアレルギーがおきてしまう人は、なぜ卵だけをそんなにすぐ敵と認識してしまうのでしょうか?この原因はわかっていないのです。

スギの花粉も同じです。皆同じ量を大量に体に取り込んでいますが、IgEがほとんど作られない人もいれば、IgEが大量にできてしまう人もいるのです。今後、アレルギーが起きやすい人の特徴が分かれば劇的に治療が良くなるのでは?と言われています。

 

まとめ

  • 花粉症は花粉を異物と認識して起こる体の防御反応です。
  • この防御反応をⅠ型アレルギーと呼び、IgE、好酸球、肥満細胞、ヒスタミン、ロイコトリエンが主に働いて起こります。
  • 日本は国土の12%がスギであるためスギによる花粉症が多いのです。
  • スギ以外の花粉、さらに言うとこの世の全ての物質でアレルギー反応は起こります。

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