高照度光療法の有効性とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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季節性感情障害の患者さんは、毎年秋から冬にかけてうつ状態になり、春になると回復します。別名、冬季うつ病とも呼ばれるこの病気では、高照度光療法が有効な治療法となっています。

高照度光療法は文字通り、高照度の光を朝に浴びせる治療法です。冬は日照時間が短くなるため、それを光照射することで整えます。概日リズム障害などの体内時計のリズムのずれにも有効です。

最近になって高照度光療法は、季節と関係のないうつ病や双極性障害にも効果が確認されています。高照度光療法は、副作用が少ない治療法でもあります。

ここでは、高照度光療法の有効性について、詳しくみていきたいと思います。

 

1.高照度光療法とは?

高照度光療法は、強烈な光を朝に浴びせることによってメラトニンの分泌を整え、体内時計のリズムにメリハリを与えます。

休日に午後まで寝てしまって、身体がだるかった経験はありませんか?睡眠時間はとっているのに、不思議ですよね?これは、みなさんに備わっている体内時計のせいです。

この体内時計は、覚醒と睡眠のリズムをつくっています。それだけでなく、様々な身体の機能を調整しています。この調節をつかさどっているのが、メラトニンというホルモンです。

人間は本来、24~25時間の体内時計のリズムで生きているといわれています。ですから、ほっておいたら少しずつリズムが後退してしまうのです。このズレを調整してくれているのが、朝の太陽の光です。

メラトニンには2つの特徴があります。

  • 夜に光を浴びると、メラトニンが抑制される
  • 日中に光を浴びると、夜のメラトニンが増加する

高照度光療法は、強烈な光を朝に浴びせることによってメラトニンの分泌を整え、体内時計のリズムにメリハリを与えるのです。

 

2.高照度光療法の方法

ルクス(照度)が高い光を網膜が受け取ることが大切です。基本的には毎日朝方、30分~2時間照射します。

光が網膜に届くことが重要です。その光の刺激が視床下部の視交叉上核に伝わり、松果体でのメラトニン分泌が調整されます。身体に光を浴びても効果はありません。光をずっと浴び続ける必要はなく、手元で本などを読みながら、1分ごとに十数秒見つめる程度で大丈夫です。

高照度光療法装置(ライトボックス)から、2500~10000ルクスの高照度照射を行います。頭に装着して、眼のあたりに光が来るようにした器具(ライトバイザー)などもあります。最近では、光の成分のうちの青色波長光が、体内時計への作用の大部分を占めることが分かってきました。このため、青色を強めた蛍光灯や青色LEDを使うことで、750ルクス程度の少ない照度で従来の10000ルクスの白色蛍光灯と同等の効果が得られるようになってきています。

原則的には有効性の高い朝方(効果率53%)に行いますが、日中(32%)や夕方(38%)に行うこともあります。毎日30分~2時間、1~2週間行われますが、期間を長くすれば治療効果が高まります。

 

3.高照度光療法の効果

季節性で過眠過食などの非定型症状が目立ち、軽症の方に有効性が高いです。薬物療法と同程度の60%の有効性がみられ、その効果は薬物療法よりも早いです。

高照度光療法は季節性気分障害の治療法として行われてきました。高照度光療法による有効率は60%と、薬物療法とほぼ同等の効果があります。それでいて効果がみられるのが早く、1週間~3週間ほどです。一般的な抗うつ剤が少なくとも2週間~1か月かかるのに対して、この効果の早さは大きなメリットです。

高照度光療法を行って改善すると、そのごはそのまま効果が持続する方もいれば、すぐにまた悪化してしまう方もいます。このため、抗うつ剤と併用して行うこともあります。

最近になって高照度光療法は、季節と関係のないうつ病や双極性障害にも効果が確認されています。ただ、季節性の方が効果が期待できると考えられています。高照度光療法の効果が期待できる患者さんの特徴としては、以下があげられます。

  • 季節性>非季節性
  • 過眠や過食などの非定型症状が目立つ
  • 軽症>重症
  • 双極性(双極性Ⅱ型)>単極性

毎年秋から冬にかけて発症し、春には自然によくなっていくうつ病の方の方が効果が期待できます。夏場は正常ないしは軽躁状態となることもあり、過眠や過食などの非定型症状がみられます。

軽症のうつ病患者さんでは67%、中等度から重症の患者さんでは40%の有効性と報告されていて、高照度光療法は軽症の患者さんの方が効果が期待できます。

また、双極性障害Ⅱ型のうつ状態の方が効果が認められます。双極性障害には概日リズム障害がみられることも多く、体内時計のリズムを整えることが大切な病気なのです。そもそも季節性感情障害の方は、広い意味で双極スペクトラム障害になります。ゆくゆく双極性障害と診断される患者さんも多いです。

 

4.高照度光療法の効果を高めるために

タンパク質を十分量とることが必要です。

季節性感情障害では過食がみられることが多いのですが、炭水化物飢餓といって、炭水化物に取り付かれている方が多いです。夜間にご飯やパンを食べてしまったり、チョコレートがないと生活できなかったりします。このような方では高照度光療法がよく効くのですが、栄養の偏りに注意が必要です。

炭水化物ばかりをとってしまうので、タンパク質が不足しがちになってしまいます。タンパク質はアミノ酸となって身体の中で利用されます。必須アミノ酸(身体で作られるアミノ酸)のトリプトファンは、うつ症状と関係が深いといわれるセロトニンの材料になります。トリプトファンが欠乏すると高照度光療法の効果が弱まることが報告されています。

このため食事が偏ってしまっている方では、肉や魚などのタンパク質をしっかりととることが必要です。

 

5.高照度光療法の副作用

軽度で一過性の副作用がほとんどで、頻度は少ないですが躁転することもあります。

高照度光療法は、副作用はほとんどが軽度で一過性のものばかりです。ですから副作用のために治療を中止しなければいけないケースはほとんどありません。一般的に良くみられる副作用としては、以下があげられます。

  • 頭痛
  • 眼精疲労
  • 倦怠感・イライラ感
  • 嘔気
  • めまい
  • 不眠

頻度は少ないですが、躁転することもあります。双極性障害Ⅰ型では躁状態での損失が大きいので、積極的には行えません。双極性障害Ⅱ型の方は、躁転には気をつけながら行っていける治療でしょう。

 

6.高照度光療法の向いている人とは?

  • 季節性感情障害(冬季うつ病)の方
  • 概日リズム障害の方
  • 季節性感情障害で、予防したい方
  • 妊娠や身体疾患のために薬物療法が行えない方
  • 薬物療法で効果が乏しい方

高照度光療法では、季節性感情障害(冬季うつ病)や概日リズム障害など、体内時計のリズムとの関係が大きな病気では非常に効果的です。季節性うつ病は冬場になるとうつ状態になることを繰り返すので、秋になって抑うつ症状が悪化する前に高照度光療法を行っていくことで予防もできます。

高照度光療法の効果が持続せず、すぐにうつ症状が酷くなることもあります。そのような時は、抗うつ剤によって維持療法を行うこともあります。

高照度光療法は季節性感情障害だけでなく、うつ病にも効果があることが分かっています。妊娠や身体疾患で薬物療法が行えないときには、ひとつの選択肢になります。

また、薬物療法の効果が不十分な患者さんに高照度光療法を行うと、44%で改善がみられ、22%で部分的な改善がみられたという報告があります。薬物療法で上手くいかない時のひとつの選択肢となるでしょう。

 

まとめ

高照度光療法は、強烈な光を朝に浴びせることによってメラトニンの分泌を整え、体内時計のリズムにメリハリを与えます。

季節性で過眠過食などの非定型症状が目立ち、軽症の方に有効性が高いです。薬物療法と同程度の60%の有効性がみられ、その効果は薬物療法よりも早いです。

副作用は軽度で一過性のものがほとんどで、頻度は少ないですが躁転することもあります。

以下の患者さんに高照度光療法は向いています。

  • 季節性感情障害(冬季うつ病)の方
  • 概日リズム障害の方
  • 季節性感情障害で、予防したい方
  • 妊娠や身体疾患のために薬物療法が行えない方
  • 薬物療法で効果が乏しい方

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