うつに効く食べ物とは?うつ病に有効な食事と栄養

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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日々の食事は、その人の身体を作る源になります。食事を大切にすることは、精神の安定にも関係しているでしょう。

うつ病と関係する食事や栄養に関する知識も、少しずつ分かってくるようになりました。確かに患者さんに食事指導をすると、一定の効果がみられることもあります。

食事や栄養といっても様々なものがあり、「うつ病には〇〇が効く」「△△を食べればうつ病は治る」「▢▢を点滴するうつ病の新しい治療」といった具合で、過大に宣伝するビジネスもあります。ましてや、これを行う医療機関がある始末です。

うつに効く食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか?
どのような意識で食事や栄養を考えていけばよいのでしょうか?
サプリメントや自費診療は本当に有効なのでしょうか?

ここではそのヒントになればと思い、うつ病に有効と考えられている食事や栄養についてご紹介していきたいと思います。

 

1.うつ病につながる食事・栄養の問題とは?

食生活の欧米化や加工食品の流通によって、エネルギー量や必須脂肪酸、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどの不足がみられます。

うつ病という心の病気は、食事とは決して無縁ではありません。食欲は本能のひとつで、もっとも基本となる人の行動です。そして食事をすることで栄養を摂取し、身体を維持しているのです。

現代になって、うつ病の患者さんは非常に増えてきています。うつ病という病気の認知が広まったということに加えて、食生活の変化の影響も無視できません。食生活の欧米化によるエネルギーの過剰摂取、栄養バランスの偏り、加工食品の流通による食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養成分の不足などがあります。

うつ病と関連すると考えられている食生活としては、以下のようなものが考えられています。

  • エネルギーの過剰摂取による肥満や生活習慣病
  • DHAやEPAなどのω-3脂肪酸の不足
  • トリプトファンやメチオニンなどのアミノ酸不足
  • 葉酸やビタミンDなどのビタミン不足
  • 鉄や亜鉛などのミネラル不足

 

2.うつ病と肥満・糖尿病

糖尿病がある方はうつ病にかかりやすいことが分かっています。うつ病と肥満・糖尿病の間には双方向に影響があります。

食生活の変化によって、いわゆるメタボリック症候群といわれている生活習慣病が増加していることは、ご周知のことかと思います。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満によって、心臓や脳の血管の病気が起こりやすくなってしまいます。

それだけではなく、うつ病とも双方向に影響があることがわかっています。つまり、肥満や糖尿病がある方はうつ病になりやすいし、うつ病の方は肥満や糖尿病などになりやすいということです。

 

まずは糖尿病患者さんのうつ病へのなりやすさについてまとめた研究をご紹介します。39の研究をあわせたもので、糖尿病の方でうつ病になる方は11.4%、うつ病の疑いとなる方は31.0%となっています。日本でのうつ病の12か月有病率(12か月でうつ病である人の割合)が1~2%なので、少なくとも5~10倍にもリスクが高まることが示されています。

反対に、うつ病の患者さんは肥満や糖尿病になりやすいです。その理由としては、大きく2つあります。

  • 治療の原則である休息によって活動が低下する
  • 薬によって体重が増加する

うつ病の治療は、原則的に十分な休息が必要になります。確かに、疲労感が強かったりストレスがかかる時には、休息は必要になります。しかしながら、まったく身体を動かさないようにするかというとそんなことはなく、ストレスがかからない範囲の運動はむしろ効果的です。詳しくは「うつ病への運動療法の効果とは?」をお読みください。

さらには、精神科の薬は体重が増加するものが多いです。抗精神病薬はもちろんのこと、抗うつ剤も全体的には代謝を抑制して太りやすい薬も多いです。

 

このようにみていくと、体重管理には気をつける必要があるといえます。

 

3.うつ病とビタミン

葉酸やビタミンDとうつ病の関連を示唆する報告があります。他にも、ビタミンB1・B6・B12などとの関係が考えられています。食事が偏っている方は、補充を検討してもよいかも知れません。

うつ病に関係するビタミンとしては、B1・B6・B12・葉酸・Dなどが関係していると考えられています。その中でもうつ病との関係が深いと考えられているのが、葉酸とビタミンDです。

うつ病の患者さんでは、葉酸が低下していることが多いという報告があります。葉酸は細胞の分裂の際に必要なビタミンです。また、ビタミンDが低下していて、冬季うつ病との関連が報告されています。ビタミンDが作られるためには、紫外線の働きが重要です。冬は日照時間が短く、寒いので肌の露出も少ないので、ビタミンDが低下しがちになります。

ビタミンB1は、細胞でのエネルギーの産生に重要な働きをします。ビタミンB6は、タンパク質をアミノ酸に分解するサポートをして、興奮を鎮めるGABAをはじめとした神経伝達物質の生成に必要です。ビタミンB12は、トリプトファンからメラトニンの合成を促します。メラトニンは体内時計のリズムを調整する物質です。

 

これらのビタミンは、普通に食事をバランスよくとっていれば欠乏することは少ないです。食事が偏っている方は、ビタミンの補充を検討してみてもよいかも知れません。

 

4.うつ病とアミノ酸

トリプトファンはセロトニンやメラトニンの材料になりますが、補充療法による有効性は示されていません。メチオニン(SAM-e)が有効であるという報告があります。

アミノ酸は、タンパク質によって作られる栄養素です。肉や魚などを食べると、消化酵素によって分解されて、最終的にはアミノ酸の形になって腸から吸収されます。

トリプトファンは体内では十分に合成できずに、栄養素として摂取する必要がある必須アミノ酸のひとつです。神経伝達物質のセロトニンやメラトニンの材料になるので、古くからうつ病との関係があるのではと考えられていました。

実際にうつ病の患者さんでは、血中のトリプトファン濃度が低いという報告も多いのですが、トリプトファンを補充することでの効果はあまり期待できないという報告が多いです。

 

うつ病と関係があるといわれているその他のアミノ酸として、メチオニンがあります。SAMe(サミー)と呼ばれていて、正式な名称はSアデノシル-Lメチオニンといいます。身体の中で作られているアミノ酸です。軟骨の産生を助けるといわれていて、うつ病にも効果があるのではと考えられています。

濃度は小児期が最も高く、年齢とともに減少します。SAMeは食物にはほとんど存在しないため、体内のSAMeレベルが低い場合はサプリメントとして摂取する必要があります。また、葉酸やビタミンB6・B12が補因子として働くので、同時に摂取すると効率がよいといわれています。

うつ病治療の正確な作用機序は明らかにされていませんが、セロトニンやドパミンやノルアドレナリンなどの合成および異化にとって重要といわれています。受容体の活性にも影響するのではといわれています。

SAMeの補充が効果があるかどうかは、方法が不十分なものが多い印象です。短期間では有効とする報告もあり、海外では処方薬として使われている国もあります。

 

5.うつ病とミネラル

とくに女性では鉄が欠乏しがちで、産後うつ病との関連が指摘されています。亜鉛に関しても、うつ病との関連が報告されています。

ミネラルとは、身体に必要な微量元素のことです。ミネラルは人の身体で作ることはできないので、適量を食べ物からとる必要があります。不足してしまってはいけませんが、過剰になってもいけないので注意が必要です。

うつ病と関係があると考えられているのは、鉄と亜鉛です。

鉄は産後うつ病との関連が数多く報告されています。とくに女性では鉄欠乏の方が多く、出産では胎児によって栄養を取られているだけでなく、出血によって鉄を失いやすいのです。鉄が欠乏している方に補充したところ、うつ症状が改善したという報告もあります。

レストレスレッグ症候群、別名むずむず足症候群という病気では、鉄欠乏が原因で起こる方もいます。ドパミンを増加させる薬で改善することを考えると、鉄とドパミンは何らかの関係があると思われます。

 

その他にも亜鉛はタンパク質の合成や神経シナプスの機能に重要な働きがあります。食品添加物に含まれるリンは、亜鉛の吸収を邪魔してしまうので、亜鉛欠乏の方は多いです。亜鉛が足りなくなると味覚の異常がでてくるといわれていますが、うつ病のリスクを高めるという報告もあります。

 

6.うつ病と脂肪酸

ω‐3脂肪酸のDHAやEPAでは、抗うつ効果は多少あるのかもしれませんが、残念ながらそこまで大きく期待はできません。抗うつ効果を期待するならば高用量になります。

DHAやEPAがうつ病に効果があると考えられるようになったのは、魚をたくさん食べる地域ではうつ病にかかる方が少ないということからです。

それに加えて、うつ病患者さんの血中でω-3脂肪酸が低下していることが報告されたり、うつ病患者さんの死後の脳にはDHAが低下しているという報告がなされました。

このような根拠に基づき、いくつかのDHAやEPAの臨床試験が行われています。これら35の研究をまとめた論文では、うつ症状には多少の効果は認めたが、うつ病の予防効果は認められなかったという結果になっています。この論文は あまり質の良いものとはいえず、効果がみられるのは高用量のものが多いです。

これを踏まえると、あまり大きくは期待できず、抗うつ効果を期待するならば高用量が必要になると考えられます。

詳しく知りたい方は、「DHA・EPAはうつ病に効果があるのか」をお読みください。

 

7.うつ病と緑茶・ヨーグルト

緑茶には、抗ストレス効果・認知機能改善効果などが報告されています。ヨーグルトは腸内細菌叢を整え、抗ストレス効果だけでなく整腸作用としても有益と思われます。

緑茶(カテキン)やヨーグルトは、どちらも身体によいものと考えられています。うつ病にはメリットがあるのかを考えていきましょう。

まず緑茶からみていきましょう。緑茶にはカテキン(渋味成分)だけでなくテアニン(旨味成分)が含まれています。このどちらも、中枢神経(脳)には良い効果があることが分かってきています。

カテキンやテアニンには抗ストレス効果があり、リラックス作用があることが分かってきています。また、カフェインの吸収を抑えたり、神経保護作用や認知機能改善効果も報告されています。

東北の高齢者の調査では、緑茶が1日4杯以上飲む方はうつ症状が少ないと報告されています。緑茶は、うつ病や不安に対しても有益と考えてよいかと思います。

 

つぎに、ヨーグルトをみていきましょう。ヨーグルト(プロバイオティクス)には乳酸菌やビフィズス菌が含まれていて、腸内細菌叢(フローラ)を改善する効果が期待できます。

腸内細菌叢が改善されると、抗ストレス効果があることが分かっています。このため、うつ病に対する効果も期待できます。また、うつ病の患者さんでは腸の自律神経の調節が乱れ、過敏性腸症候群という腸の機能異常による下痢や便秘が認められることがあります。

整腸作用も考えると、ヨーグルトもうつ病には有益と考えられます。

 

まとめ

うつ病の栄養療法・食事療法は、管理栄養士と連携して行っていくのが望ましいです。

これまでうつ病に効果があると考えられている栄養素などをご紹介してきましたが、ビタミンDやミネラルなどは過剰になると他の症状が出てくる恐れがあります。

かたよりのない食事を心がけていれば、大きく栄養素が欠乏することはありません。緑茶やヨーグルトを積極的に摂取するくらいの意識でよいかと思います。

ただ、体重管理には注意をしていきましょう。体重をしっかりと維持できているならば、自分自身をほめてください。

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