ユーロジンの半減期からわかること

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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半減期とは、薬を服用してから血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。薬の半減期をみると、睡眠薬の効き方を予想することができます。また、気を付けなければいけない副作用も変わってきます。

ユーロジンの半減期は24時間と長い睡眠薬です。このためユーロジンは中間型睡眠薬と呼ばれていて、寝付きやすい土台を作っていくような睡眠薬です。

ここでは、ユーロジンの半減期からどんなことがわかるのか、詳しく説明していきたいと思います。

 

1.薬の半減期とは?

薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

薬を飲み始めると、直後は血中濃度がどんどんと上がっていきます。薬の吸収がおわると、薬は代謝されて身体から出ていきますので、少しずつ血中濃度が減少していきます。身体が薬を代謝できるスピードは決まっていますので、どれくらいの量であっても一定のスピードで身体から抜けていきます。このため、薬の量が半分になるまでにかかる時間は、内服量にかかわらず一定になります。

この血中濃度が半分になるまでにかかる時間を半減期(T1/2)といいます。T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。反対にT1/2が長いほど、薬が身体に蓄積しやすいといえます。

薬の効き方を考えるにあたって、もう1つのポイントがあります。最高血中濃度到達時間(Tmax)です。これは文字通りで、血中濃度がピークに達するまでの時間です。効果がでるまでのスピードに関係しています。Tmaxが短いほど、睡眠薬の効果がすぐに表れることを意味しています。

 

2.薬を飲み続けているとどうなるのか?

身体の中に一定の薬が残って効果が持続するようになり、これを定常状態といいます。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

それでは薬を飲み続けていると、どのようになっているでしょうか?薬が血中からなくなりきらずに次の日に薬を飲むと、少しずつ薬が身体の中にたまっていきます。半減期が長い薬は、どんどん蓄積していきます。

ですが、薬は無限に蓄積していくわけではなく、少しずつ一定の濃度に収束していきます。この状態を「定常状態」といいます。抗うつ剤では、一日中薬が作用することで効果が安定しますので、定常状態を作ることが大事です。この定常状態に達するまでは、およそ5日~1週間かかります。

 

ユーロジンの効果について知りたい方は、
ユーロジン錠の効果と作用時間
をお読みください。

 

3.ユーロジンの半減期と睡眠薬での比較

半減期は24時間と、半減期の長い睡眠薬です。

代表的な睡眠薬の最高血中濃度到達時間(Tmax)と半減期(T1/2)を比較してみましょう。

代表的ンな睡眠薬の作用時間(半減期)を比較しました。

これを見ると、ユーロジンは半減期が長い睡眠薬であるということがわかります。

ユーロジンは、薬を飲み始めてから血中濃度がピークになるまでには2~5時間ほどかかります。そこからおよそ24時間かけて半分の量になります。ゆっくりと身体から抜けている睡眠薬ですので、即効性があったら大変なことになってしまいますね。ユーロジンは、服用を続けていくことで少しずつ身体にたまっていき、寝付きやすい土台をつくっていくような睡眠薬です。

およそ4~5日すると定常状態となり、ユーロジンの効果が安定するようになります。このため、1週間ほどかけて効果や副作用をみていく必要があります。

このように半減期が比較的長いため、ベンザリンは「中間型」に分類 されます。

 

4.ユーロジンの半減期からわかる特徴

中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。持ち越し効果に注意が必要です。

睡眠薬のタイプ(作用時間)と特徴をまとめました。

睡眠障害にもいろいろなタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」、明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」。睡眠障害のタイプに合わせて、睡眠薬の作用時間を変えていきます。超短時間型や短時間型は、薬の効果はすぐに出てきます。中間型や長時間型は、身体に薬が少しずつたまって効果が出てきます。中間型は4~5日かけて、長時間型は1週間以上かけて効果が安定します。どちらも寝つきやすい土台を作っていくようなお薬です。

 

ユーロジンは作用時間が比較的長い中間型です。寝付けなくて困っている方にもある程度の効果があります。少しずつユーロジンが身体に蓄積されていく ことで、寝付きやすい土台が作られていきます。このため、中途覚醒や早朝覚醒にも有効です。

ユーロジンはこのように作用時間が長い睡眠薬です。少しずつたまっていくので、日中にもユーロジンが作用しています。悪い影響がでてしまえば副作用となってしまいます。

副作用としては、翌日に眠気やだるさなどが出てしまうことがあります。翌朝にも睡眠薬の効果を持ち越してしまう「持ち越し効果」がみられるのです。睡眠時間をちゃんと確保しても改善がない場合は、減薬や作用時間の短い睡眠薬への変更を検討します。

 

まとめ

薬の半減期とは、薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

繰り返し服用していると、身体の中に一定の薬が残って効果が持続するようになり、この状態を定常状態といいます。

ユーロジンの半減期は24時間です。中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。持ち越し効果に注意が必要です。

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