ドラールの作用時間と半減期

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ドラールは、中途覚醒や早朝覚醒を改善する睡眠薬です。安全性が高いので、使いやすい睡眠薬です。ドラールの作用時間や効き方は、半減期をみると予想することができます。

ドラールは最高血中濃度到達時間が3.5時間、半減期が36時間です。ドラールの作用時間は非常に長く、少しずつ身体にたまっていくことで寝付きやすい土台をつくるような睡眠薬です。このようなタイプの睡眠薬なので、長時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬とよばれています。

ここでは、ドラールの作用時間と半減期について詳しく見ていきたいと思います。

 

1.薬の半減期とは?

薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

薬を飲み始めると、直後は血中濃度がどんどんと上がっていきます。薬の吸収がおわると、薬は代謝されて身体から出ていきますので、少しずつ血中濃度が減少していきます。身体が薬を代謝できるスピードは決まっていますので、どれくらいの量であっても一定のスピードで身体から抜けていきます。このため、薬の量が半分になるまでにかかる時間は、内服量にかかわらず一定になります。

この血中濃度が半分になるまでにかかる時間を半減期(T1/2)といいます。T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。反対にT1/2が長いほど、薬が身体に蓄積しやすいといえます。

薬の効き方を考えるにあたって、もう1つのポイントがあります。最高血中濃度到達時間(Tmax)です。これは文字通りで、血中濃度がピークに達するまでの時間です。効果がでるまでのスピードに関係しています。Tmaxが短いほど、睡眠薬の効果がすぐに表れることを意味しています。

 

2.ドラールの作用時間と効き方

ドラールは、半減期が36時間の長時間型睡眠薬です。「8~12時間の睡眠薬+長時間の抗不安薬」と考えると分かりやすいです。

ドラールを服用するとどのように血中濃度が変化するでしょうか?薬を発売するにあたって、製薬会社がテストを繰り返しています。それによると、ドラールの最高血中濃度到達時間は3.5時間、半減期は36時間となっています。ドラールの量を増減させると多少の違いはありますが、大きくはかわりません。

分かりやすく言うと、ドラールを服用すると3.5時間で血中濃度がピークになります。そこからは少しずつ身体から抜けていき、36時間すると半分の量になります。

 

このような睡眠薬なので、即効性はあまりありません。少しずつ身体に蓄積していって、寝付きやすい土台をつくっていくような睡眠薬です。1週間ほどしてようやく効果が安定してきます。

ドラールは身体の中に残り続ける睡眠薬ですが、一日中ずっと睡眠作用が続くわけではありません。睡眠効果としては8~12時間といったところでしょうか。 ドラールは体内で代謝されて、抗不安薬のメイラックスに類似した物質に変化します。このため、日中は抗不安効果が中心となるのです。ドラールは、「8~12時間の睡眠薬+長時間の抗不安薬」と考えると分かりやすいです。

 

このように、半減期とは薬の濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、作用時間を考える目安になります。ドラールは半減期が長く、「長時間型」に分類されます。効果もしっかりとしていて、「普通~やや強い」睡眠薬です。中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待でき、効果の判断は安定するまでの1~2週間みていく必要があります。

 

ドラールの効果について知りたい方は、
ドラール錠の効果と強さ
をお読みください。

 

3.ドラールの作用時間からわかる特徴

中途覚醒や早朝覚醒に有効です。

睡眠薬のタイプ(作用時間)と特徴をまとめました。

睡眠障害にもいろいろなタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」、明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」。睡眠障害のタイプに合わせて、睡眠薬の作用時間を変えていきます。

超短時間型や短時間型は、薬の効果はすぐに出てきます。中間型や長時間型は、身体に薬が少しずつたまって効果が出てきます。中間型は4~5日かけて、長時間型は1週間以上かけて効果が安定します。どちらも寝つきやすい土台を作っていくようなお薬です。

 

ドラールは長時間型ですから、寝付きやすい土台をつくる睡眠薬です。このため、中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。薬の立ち上がりは遅いので、即効性は期待できません。飲み続けていくことによって、全体的に睡眠が改善していくような睡眠薬です。

副作用としては、翌朝に眠気やだるさなどが出てしまうことがあります。ドラールは身体にたまっていきますが、睡眠作用が出てしまうと眠気やだるさに繋がってしまいます。翌朝への影響がもっとも大きく、「持ち越し効果」と呼ばれています。睡眠時間をちゃんと確保しても改善がない場合は、減薬や作用時間の短い睡眠薬への変更を検討します。

 

4.睡眠薬での作用時間の比較

ドラールは作用時間が他の睡眠薬よりも長いです。

代表的ンな睡眠薬の作用時間(半減期)を比較しました。

睡眠薬の作用時間の違いを比較してみましょう。

薬の効果を見る時は、最高血中濃度到達時間(ピーク時間)と半減期をみていきます。

最高血中濃度到達時間が短いほど、効きが早いということですね。ほとんどの睡眠薬が1~3時間になっているかと思います。中間型や長時間作用型ではさらに長いものがありますね。これらのお薬では即効性はあまり期待できません。

半減期をみると作用時間が予想できます。超短時間型や短時間型では、即効性を期待して使われます。入眠障害だけで困っているならば超短時間型、中途覚醒で困っているならば短時間型がよいでしょう。

中間型や長時間型は、身体に薬が少しずつたまっていくことで寝付きやすい土台を作るようなお薬です。中間型は4~5日かけて、長時間型は1週間以上かけて効果が安定します。中途覚醒や早朝覚醒に効果が期待できます。

 

ドラールは長時間型に分類されていますので、中途覚醒や早朝覚醒が目立つときに有効です。

 

まとめ

半減期とは、薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

ドラールは、半減期が36時間です。「8~12時間の睡眠作用+抗不安作用」というイメージの睡眠薬です。

ドラールは長時間型に分類されます。少しずつ身体にたまっていって、寝付きやすい土台を作ります。

中途覚醒や早朝覚醒を中心に効果のある睡眠薬です。

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