ロンラックス錠(ロフラゼプ酸エチル錠「SN」)の効果と副作用

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ロンラックス、抗不安薬メイラックスのジェネリックとして長らく発売されてきました。2014年12月より名称変更して、ロンラックスからロフラゼプ酸エチル「SN」となっています。

ロンラックスは作用時間が非常に長く、それでいて効果と副作用のバランスのとれた抗不安薬です。作用時間が長いので、1日1回の服用で効果が持続します。このため、依存性も低いのが大きな特徴です。

ここでは、ロンラックス錠の効果と副作用について詳しくみていきたいと思います。他の抗不安薬とも比較しながら、どのような方にロンラックスが向いているのかを考えていきましょう。

 

1.ロンラックスの効果と特徴

まずは、ロンラックスの特徴をまとめてみたいと思います。

ロンラックスは、脳の活動を抑えることで落ち着かせてくれるお薬です。これにより、以下の4つの作用があります。

  • 抗不安作用「やや強い」
  • 催眠作用「やや弱い」
  • 筋弛緩作用「弱」
  • 抗けいれん作用「中」

となっています。これをふまえて、ロンラックスの特徴をメリットとデメリットに分けてみていきましょう。

 

1-1.ロンラックスのメリット

  • 抗不安作用がそれなりに強い
  • 1日1回の服用ができる
  • 依存性が低い
  • 効果のわりに副作用が少なめ

ロンラックスは、薬を服用するとすぐに効果が期待できます。作用時間がとても長いので効果が弱いと思われがちですが、抗不安作用もしっかりとしていて即効性もあります。

ロンラックスは作用時間が非常に長いお薬です。このため、1日1回の服用で効果が1日中持続します。抗不安薬では眠気やふらつきといった副作用が多いので、夕方や寝る前に服用してしまえば問題とならないこともあります。

この作用時間の長さは、依存性の低さにもつながります。お薬が身体からゆっくりと抜けていくので、身体が変化に慣れていく時間をかせげるのです。

さらには、ロンラックスは効果のわりに副作用が少なめです。これは、ロンラックスがプロドラッグであるためです。吸収されてから肝臓で分解されるまでは何の作用もしめさず、肝臓で分解されてできた有効成分がダイレクトに脳に作用します。ですから副作用が軽減されるのです。このため、効果のわりに副作用が少なめになっています。

 

1-2.ロンラックスのデメリット

  • 副作用がでると残りやすい
  • 眠気の日中への持ち越しがやや多い

ロンラックスは作用時間が非常に長く、一度服用するとしばらく残って作用し続けます。副作用は少ないとはいえ、ふらつきや眠気といった副作用は避けられません。このような副作用が出てしまうと、薬がなかなか抜けないので続いてしまいます。

副作用としては、日中の眠気がやや多いです。作用時間が長いため、夜間になって服用しても朝まで作用が持続してしまいます。さらには服用を続けていくと、お薬が少しずつ蓄積していきます。催眠作用はやや弱いとはいえ、眠気の副作用には注意しなければいけません。

 

2.ロンラックスの効果時間と効き方

ロンラックスは最高血中濃度到達時間が0.8時間、半減期が102時間の長時間型抗不安薬です。効果の持続時間は12~24時間ほどです。抗不安作用・催眠作用・抗けいれん作用が強く、筋弛緩作用は中程度です。

ロンラックスを服用すると、およそ0.8時間で血中濃度がピークになります。その後ゆっくりと薬が身体から抜けていき、半分の血中濃度になるまで102時間かかります。とんでもなく作用時間が長いお薬です。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

ロンラックスでは、「最高血中濃度到達時間0.8時間・半減期102時間」ということになります。

服用してから0.8時間して効果のピークがくるので、即効性が期待できる抗不安薬です。半減期が非常に長いので、しばらく効果が持続します。1日たっても薬の効果がなくならないので、ロンラックスを毎日服用すると薬が身体にたまっていきます。

定期的にロンラックスを服用した時の、血中濃度の変化を考えてみましょう。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

飲み続けていると、あるところで均衡状態ができます。この状態を定常状態といいます。ロンラックスでは2~3週間ほど服用を続けると、定常状態に達します。このように定期的に飲み続けていくと、不安になりにくい土台ができあがります。

ロンラックスのような作用時間の抗不安薬は、「超長時間型」に分類されます。

 

実際の効果としては、服用して15~30分位でてきます。効果のピークは0.8時間くらいしてやってきて、効果はしばらく続きます。

効果の持続時間は個人差があり、薬が効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。ロンラックスの効果の持続時間は、およそ12~24時間といったところになります。ロンラックスはもっと作用時間は長いですが、1日効いているという意味で24時間としました。ロンラックスの効果は少しずつ増していきます。

 

ロンラックスの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「やや強い」
  • 催眠効果「やや弱い」
  • 筋弛緩効果「弱」
  • 抗けいれん効果「中」

となっています。

用量は0.5~2mgとなっていて、最大2mgまで使える抗不安薬です。

 

3.ロンラックスの副作用とは?

ロンラックスは作用時間がとても長いので、眠気やふらつきに注意が必要です。依存性は、他の抗不安薬より低いです。

ロンラックスの効果の特徴を考えると、副作用もわかります。

ロンラックスは最高血中濃度到達時間が0.8時間、半減期が102時間の抗不安薬で、超長時間型に分類されます。

ロンラックスの効果の強さとしては、

  • 抗不安効果「やや強い」
  • 催眠効果「やや弱い」
  • 筋弛緩効果「弱」
  • 抗けいれん効果「中」

でしたね。

 

まずは作用時間をみてみましょう。0.8時間で血中濃度がピークになるので、即効性がある薬です。ロンラックスを飲んですぐに副作用が強く出てくる可能性があります。そして、半減期(血中濃度が半分になるまでにかかる時間)が102時間と長いので、副作用が抜けるまでに長引く可能性もあります。

 

効果の強さをみてみましょう。抗不安効果はやや強く、作用時間がとても長いお薬です。このため、しっかりとした効果が期待できますが、依存性は低いです。

筋弛緩効果は弱いので、ふらつきは比較的少ないです。催眠効果はやや弱いので、眠気も認められますが比較的少ないです。

それでは、症状ごとに副作用をみていきましょう。

 

4.ロンラックスとその他の抗不安薬(効果と副作用の比較)

ロンラックスの作用時間は非常に長いです。効果のわりには副作用が少ないお薬です。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。比較してみてみましょう。

抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

  • 作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)
  • 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)

よく使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

まずは作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみて推測していきます。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

作用時間による副作用の違いは、

  • 短いほど依存しやすい
  • 長いほど身体に薬がたまって眠気やふらつきが出やすい

といえます。

 

患者さんの不安の状態から、どの作用時間の抗不安薬が適切か考えていきます。その上で、作用の強さを比較して選んでいきます。

短時間型では、デパス>>リーゼ>グランダキシンです。デパスは催眠作用が強く、睡眠薬にも分類されることがあります。また、筋弛緩作用も強いので、肩こりなどにも使われます。

中間型では、レキソタン>ワイパックス≧ソラナックス/コンスタンです。いずれも抗不安効果が強く、不安の発作にも使われます。レキソタンは筋弛緩作用が強いです。

長時間型では、リボトリール/ランドセン>セパゾン>セルシン/ホリゾンです。セルシン/ホリゾンには注射があります。服薬ができない時は、筋肉注射が有効です。

超長時間型では、レスタス>ロンラックス(メイラックス)です。このタイプは非常に作用時間が長いです。このため、副作用が一度出てしまうと抜けるのに時間がかかってしまいます。ですから、副作用の穏やかなロンラックスの方がよく使われています。

 

この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

5.ロンラックスが向いている人とは?

  • 不安が1日中強い方
  • 抗不安薬が長期に必要な方
  • 1日1回の飲み方がよい方
  • 睡眠障害がある方
  • 他の抗不安薬で離脱症状がある方

ロンラックスの特徴は、「作用時間がとても長く、効果のわりに副作用の少ないお薬」ということです。効果が長く続くので、依存性も低いお薬です。

このため、不安が1日を通して強い方には向いているお薬と言えます。このような方は、抗不安薬の服用が長期に及ぶことが多いです。長い目で見ても、依存性の少ないロンラックスは向いているといえます。

1日に1回の服用がよい方にも向いています。お薬を何回も飲みたくない方、職場でお薬が飲めない方などでは、ロンラックスは1回の服用で効果が持続します。

睡眠障害がある方にもよいでしょう。不安が強い方は、不眠症になっていることが多いです。ロンラックスは、少ないながらも催眠作用があります。服用を続けていくうちに、少しずつ眠りやすい土台ができていきます。就寝前に服用すれば、多少の催眠効果も期待できます。

ロンラックスは依存性が低いので、他の抗不安薬で離脱症状が出てしまって減薬できない時に使われることがあります。ロンラックスに置き換えてしまって、少しずつ減量していくのです。ロンラックスはゆっくりと身体から抜けていくので、スムーズにやめられることが多いです。

 

このように、ロンラックスは使い勝手のよい抗不安薬です。私はよくロンラックスを使っています。ロンラックスでは、高齢者に使えるかどうかが懸念されます。

一般的に作用時間の長いお薬は、高齢者に敬遠されます。高齢者は肝臓や腎臓の機能が低下していて、ただでさえ薬の分解が遅れるからです。ロンラックスは作用時間が非常に長いですが、副作用は少ないので高齢者でも使うことができます。向いているとまではいきませんが、問題はないお薬です。

 

6.一般名と商品名とは?

一般名:ロフラゼプ酸エチル 商品名:メイラックス・ロンラックス(ロフラゼプ酸エチル「サワイ」)

まったく成分やモノが同じものでも、発売する会社が異なればいろいろな商品があるかと思います。医薬品でも同じことがいえます。このためお薬には、一般名と商品名というものがあります。

一般名というのは、薬の成分の名前を意味しています。発売する会社によらずに、世界共通で伝わる薬物の名称です。「ロフラゼプ酸エチル(ethyl loflazepate)」に統一されています。主に論文や学会など、学術的な領域でこれまで使われてきました。

商品名とは、医薬品を発売している会社が販売目的でつけた名称になります。「メイラックス(meilax)」は、先発品の製造元であるMeiji Seikaファルマがつけた名前です。Meiji+Relaxでメイラックスと名付けられています。

先発品のメイラックスは、日本では1989年から発売されています。特許がきれた1997年から、ファイザーよりジェネリック医薬品として「ロンラックス」が作られました。ジェネリック医薬品の紛らわしさをなくすために一般名(成分名)に統一する流れを受けて、2014年12月より、ロフラゼプ酸エチル「SN」に名称変更されました。

 

ロンラックスの効果や副作用について詳しく知りたい方は、
メイラックス錠の効果・効き目の強さ
メイラックスの副作用(対策と比較)
をお読みください。

 

まとめ

ロンラックスの作用の特徴は、

  • 抗不安作用「やや強い」
  • 催眠作用「やや弱い」
  • 筋弛緩作用「弱」
  • 抗けいれん作用「中」

ロンラックスのメリットとしては、

  • 抗不安作用がそれなりに強い
  • 1日1回の服用ができる
  • 依存性が低い
  • 効果のわりに副作用が少なめ

ロンラックスのデメリットとしては、

  • 副作用がでると残りやすい
  • 眠気の日中への持ち越しがやや多い

ロンラックスが向いている方は、

  • 不安が1日中強い方
  • 抗不安薬が長期に必要な方
  • 1日1回の飲み方がよい方
  • 睡眠障害がある方
  • 他の抗不安薬で離脱症状がある方

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