メイラックスの半減期と効果時間

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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メイラックスは、ベンゾジアゼピン系の中ではもっとも新しい抗不安薬です。効果がしっかりとしているわりに副作用が少なく、使い勝手のよいお薬です。メイラックスの作用時間や効き目は、半減期から考えることができます。

メイラックスは最高血中濃度到達時間が0.8時間、半減期が122時間です。メイラックスは即効性が期待でき、作用時間も非常に長いです。このため、1日1回の服用で効果がしっかりと持続します。

ここでは、メイラックスの半減期と効果時間について詳しく見ていきたいと思います。

 

1.薬の半減期とは?

薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

薬を飲み始めると、直後は血中濃度がどんどんと上がっていきます。薬の吸収がおわると、薬は代謝されて身体から出ていきますので、少しずつ血中濃度が減少していきます。身体が薬を代謝できるスピードは決まっていますので、どれくらいの量であっても一定のスピードで身体から抜けていきます。このため、薬の量が半分になるまでにかかる時間は、内服量にかかわらず一定になります。

この血中濃度が半分になるまでにかかる時間を半減期(T1/2)といいます。T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。反対にT1/2が長いほど、薬が身体に蓄積しやすいといえます。

薬の効き方を考えるにあたって、もう1つのポイントがあります。最高血中濃度到達時間(Tmax)です。これは文字通りで、血中濃度がピークに達するまでの時間です。効果がでるまでのスピードに関係しています。Tmaxが短いほど、抗不安薬の効果がすぐに表れることを意味しています。

 

2.メイラックスの作用時間と効き方

メイラックスは、最高血中濃度到達時間が0.8時間、半減期が122時間の超長時間型抗不安薬です。即効性も期待できますし、服用を続けて不安になりにくい土台をつくることもできます。

メイラックスを服用するとどのように血中濃度が変化するでしょうか?メイラックスの添付文章によると、最高血中濃度到達時間は0.8時間、半減期は122時間となっています。

ですから、メイラックスを服用すると0.8時間で血中濃度がピークになります。そこからは少しずつ身体から抜けていき、122時間すると半分の量になります。

 

このような血中濃度の変化をするので、メイラックスは2つの効き方があります。

  • 即効性のある不安を抑える効果
  • 飲み続けていくことで、不安になりにくい土台をつくる効果

最高血中濃度到達時間が0.8時間と短いため、服用して15分~30分くらいで効果がでてきます。効果のピークをすぎても、しばらく効果が持続します。頓服としても使えなくはないですが、効果が長く続いてしまうのであまり向いているとは言えません。

メイラックスを毎日服用していると、薬が身体の中に少しずつたまっていきます。およそ半減期の5倍たつと安定した状態(定常状態)になるといわれています。このため、122時間×5=610時間すると安定していきます。およそ25日間になりますね。常に薬が効いている状態となるので、不安になりにくい土台ができます。

薬を飲み続けると、定常状態となります。その様子を図であらわしました。

メイラックスのような作用時間の抗不安薬は、「超長時間型」に分類されます。

効果の持続時間は 個人差があり、薬が効きやすい方と効きにくい方がいらっしゃいます。メイラックスの効果の持続時間は、12~24時間(以上)といったところになります。

 

メイラックスの効果について知りたい方は、
メイラックス錠の効果・効き目の強さ
をお読みください。

 

3.抗不安薬の半減期・作用時間の比較

作用時間が短い薬は不安発作への即効性を期待し、長い薬は1日を通しての安定に期待します。メイラックスは超長時間型に分類されます。

抗不安薬には、さまざまな種類が発売されています。抗不安薬を比較するにあたっては、2つのポイントがあります。

  • 作用時間(最高血中濃度到達時間・半減期)
  • 4つの作用への強さ(抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん)

よく使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、この2つのポイントを比較してみましょう。

代表的な抗不安薬の効果や作用時間について比較した一覧表です。

作用時間によってタイプがわかれています。作用時間は、ピーク(最高血中濃度到達時間)と半減期をみるとわかります。

作用時間は短時間作用型~超長時間作用型までの4つに分類できます。

短時間~中間型に関しては、即効性を期待して使うことが多いです。一方で超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台をつくるようなお薬です。長時間型はその中間に位置していて、即効性も期待できますし、飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。

 

この他にも、抗不安薬はたくさん発売されています。頻度はかなり減りますが、服用されている方もいらっしゃるかと思います。それぞれのお薬の特徴を表にまとめましたので参考にしてください。

マイナーな抗不安薬の比較

4.メイラックスの使い方

メイラックスは、就寝前や夕方に1回で服用することが多いです。

抗不安薬は、できるだけ少ないに越したことはありません。まずは頓服で使っていくようにします。それでもダメならば常用するようにします。

頓服向きのお薬はどのようなお薬の条件は、

  • すぐに効果が期待できる
  • 効果がある程度強くて実感できる

という2点です。メイラックスは意外とこの2つの条件を満たしています。しかしながら作用時間が非常に長いので、不安や緊張が去っても薬が効き続けてしまいます。このため、頓服としては使いにくいお薬です。頓服としては、リーゼ・ソラナックス/コンスタン・ワイパックス・デパス・レキソタンなどが使われることが多いです。

頓服で使っている場合は、依存になることはありません。アルコールで考えるならば、飲み会の時だけたくさんお酒を飲んでもアル中にはならないですよね。

 

頓服では効果が不十分となると、抗不安薬を常用する必要があります。そのような時に、メイラックスは安全性が高くて使いやすいお薬です。

常用していく目的は、1日を通してお薬を効かせることです。作用時間の長いお薬の方が依存性が低く、服用の回数も少なくて済みます。ですから常用するときは、できるだけ作用時間の長いお薬から使っていくべきです。

メイラックスは作用時間が非常に長く、1日1回の服用で効果が持続します。さらに効果のわりに副作用が少ないです。夕食後や就寝前に1回だけ、服用することが多いです。

 

メイラックスがうまく合わなかった場合は、作用時間の短い抗不安薬を複数回に分けて服用していきます。メイラックスよりも効果の実感が強いお薬もあるのですが、依存性は強くなってしまいます。長期で使っていく方も多く、不安の根が深い方はSSRIなどの抗うつ剤と併用していくことが多いです。抗うつ剤は効果がジワジワ出てくるので、少しずつ抗不安薬からシフトしていきます。

 

まとめ

半減期とは、薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

メイラックスは、最高血中濃度到達時間が0.8時間、半減期が122時間の超長時間型抗不安薬です。即効性も期待できますし、服用を続けて不安になりにくい土台をつくることもできます。

メイラックスは、就寝前や夕方に1回で服用することが多いです。

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