抗精神病薬の効果のみられ方とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医3名、精神科医4名で協力して診療をしています。所属医師で協力して、記事を書いています。
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抗精神病薬は、おもに統合失調症の治療薬として使われています。抗精神病薬にもさまざまな種類が発売されていますが、患者さんの症状をみて適切なお薬を選んで医者は処方しています。

抗精神病薬の作用時間はどれくらいでしょうか?
どのような飲み方をすればよいのでしょうか?
薬の量はどれくらい必要なのでしょうか?
どのようにして効果を判定していけばよいのでしょうか?

ここでは、抗精神病薬を服用するに当たっての疑問点にお答えしていきたいと思います。

 

1.抗精神病薬の作用時間とは?

抗精神病薬の作用時間や効き方を考える時には、最高血中濃度到達時間と半減期が重要になります。

抗精神病薬の効果を考えるには、そのお薬の血中濃度から作用時間を考えていく必要があります。そのためには、最高血中濃度到達時間と半減期というものが重要になってきます。

最高血中濃度到達時間とは、血中濃度がピークになるまでにかかる時間です。そのままですね。半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことです。

この2つの情報があれば、薬の血中濃度の変化を推測することができます。ピーク時間が短いと即効性が期待できますし、半減期が長いと効果の持続が期待できます。

以下の表は、一般的な抗精神病薬の半減期を比較したものです。

抗精神病薬の半減期を一覧にして比較しました。

2.抗精神病薬はどれくらいで評価するの?

少なくとも2~4週間は様子をみて判断します。

抗精神病薬の効果については、少なくとも4週間、長くて10週間の評価期間を置くことが、多くの治療ガイドラインですすめられています。幻覚や妄想への効果が現れはじめるのは、薬を投与しておよそ1~2週間後です。ですが十分な効果が認められるには、短くても4週間以上を要するのです。何かあってもすぐに対応できる入院中などでは、治療のスピードを優先させて1~2週間で効果を評価していきます。

陽性症状が多く見られる急性期を過ぎると、維持期へと突入します。その後も6ヶ月ほどは薬の用量を変えずに経過を観察し、問題がないようであれば徐々に量を減らし、陰性症状にターゲットをあてて薬の調整を行っていきます。

 

3.抗精神病薬の服用方法は?

人それぞれ、確実に服用できる飲み方を模索します。

一日の中で朝から晩まで薬の効果を保つべきかどうかは、ケースによって判断する必要があります。一定の時間帯にしっかりと薬を服用することでドパミンを調整し、それだけで十分に問題なく生活を送ることができる人もいます。

一方で、薬の効果が切れてくると、調子が悪くなる方もいらっしゃいます。薬を1回にまとめて服用すると、副作用が強く出てくる方もいらっしゃいます。そのような場合は、数回に分けて薬を飲むことで効果が安定し、副作用も軽減できます。

1回で飲むか、複数回に分けるか、人によってさまざまな服用の仕方があります。大切なのは、決められた薬を継続して飲み続けることです。自分に合った飲み方で継続することが何よりも大事だということを忘れないでください。

 

4.抗精神病薬はどれくらい必要?

D2受容体を65~80%ブロックする薬の量が必要といわれています。

抗精神病薬の治療域の薬の量と受容体の関係をみてみました。

副作用を最小限に抑えながら治療効果を得るためには、黒質線条体におけるD2受容体の占拠率が65~80%であることが条件と言われています。80%を超えると副作用が発現しやすくなります。

定型抗精神病薬に比べて、非定型抗精神病薬にはセロトニン2A受容体遮断作用があります。このため、黒質線条体におけるドパミン遮断作用が弱まり、効果が緩やかになっています。その分だけ薬の治療域となる薬投与量の幅が大きくなっています。

それぞれのお薬では、有効用量の目安があります。しかしながら個人差もありますので、それぞれの患者さんにあった量を模索していきます。

 

5.抗精神病薬による作用の特徴と副作用の関係

受容体への結合が強く持続的な方が、副作用は多いですが効果が安定します。しかしながら、結合な緩やかな薬の方がより自然な回復につながるのでは?という考え方もあります。

少し専門的な話になりますが、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)での作用と副作用のざっくりとした関係をお話したいと思います。

受容体への結合の強さや特徴も、薬によって異なってきます。このため、副作用の発現頻度に大きく影響しています。以下に4つの非定型抗精神病薬のドパミンD2受容体への結合の特徴をあげてみます。

  • リスパダール:結合が強く、持続的
  • ルーラン  :結合は強いが、一過性
  • セロクエル :結合が緩く、一過性
  • ジプレキサ :結合が緩いが、持続的

副作用に関していえば、ドパミンD2受容体と強く結合するもののすぐに離れてしまうルーランが、もっとも副作用が現れにくいです。一方で、強く結合し持続的に作用するリスバダールが、最も強く副作用が現れるということになります。

また、「急速解離仮説」という考えも提唱されています。ドパミン受容体に持続的に働きかけるよりも、すみやかに離れる性質が重要だというのです。

このような薬では、ストレスなどが原因でドパミンが過剰に分泌されたときだけ、薬がしっかりと効果を発揮します。時にストレスがない時には大きな変化が起こらないので、薬はあまり働きません。

このようにルーズに脳内のドパミンバランスを整えた方が、より生理的な状態に近づくのではという考えです。これにより統合失調症の陰性症状や認知機能障害を、より改善できるのではと考えています。

 

まとめ

抗精神病薬の作用時間や効き方を考える時には、最高血中濃度到達時間と半減期が重要になります。

抗精神病薬は、少なくとも2~4週間は様子をみて判断します。

薬の服用方法は、人それぞれ、確実に服用できる飲み方を模索します。

薬の必要量としては、D2受容体を65~80%ブロックする薬の量が必要といわれています。

受容体への結合が強く持続的な方が、副作用は多いですが効果が安定します。しかしながら、「ドパミン受容体への結合な緩やかな薬の方がより自然な回復につながるのでは?」という考え方もあります。

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