エビリファイの半減期と効果時間とは?

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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エビリファイは、第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)に分類されます。統合失調症だけでなく、双極性障害やうつ病など、気分障害の治療薬としても使われています。

エビリファイの作用時間や効き目は、半減期から考えることができます。エビリファイは最高血中濃度到達時間3.6時間・半減期61時間です。エビリファイは、1日1回の服用でも効果がしっかりと持続するお薬です。

ここでは、エビリファイの半減期と作用時間について、詳しくみていきたいと思います。

 

1.薬の半減期とは?

薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

薬を服用した時の、血中濃度の変化を図に表わして、Tmaxと半減期を説明します。

薬を飲み始めると、直後は血中濃度がどんどんと上がっていきます。薬の吸収がおわると、薬は代謝されて身体から出ていきますので、少しずつ血中濃度が減少していきます。身体が薬を代謝できるスピードは決まっていますので、どれくらいの量であっても一定のスピードで身体から抜けていきます。このため、薬の量が半分になるまでにかかる時間は、内服量にかかわらず一定になります。

この血中濃度が半分になるまでにかかる時間を半減期(T1/2)といいます。T1/2が短いほど、薬の切れ味がよく身体からすぐになくなるといえます。反対にT1/2が長いほど、薬が身体に蓄積しやすいといえます。

薬の効き方を考えるにあたって、もう1つのポイントがあります。最高血中濃度到達時間(Tmax)です。これは文字通りで、血中濃度がピークに達するまでの時間です。効果がでるまでのスピードに関係しています。Tmaxが短いほど、薬の効果がすぐに表れることを意味しています。

 

2.エビリファイの効果時間と使い方

エビリファイは最高血中濃度到達時間が3.6時間、半減期が61時間の非定型抗精神病薬です。統合失調症では6~12mgから開始してすぐに増量することが多いです。躁状態では12mgから、うつ状態では1.5~3mgから使われます。最大30mgまで使えます。

エビリファイを服用すると、4.8時間で血中濃度がピークになります。そこから少しずつ薬が身体から抜けていき、28.5時間ほどで血中濃度が半分になります。

この血中濃度がピークになるまでの時間を「最高血中濃度到達時間」、血中濃度が半分になるまでを「半減期」といいます。

さらにエビリファイが体内で代謝されると、OPC-14857という物質になります。この物質はエビリファイとほぼ同等の効果をもっていて、その最高血中濃度到達時間は69.6時間、半減期は279時間にもなります。

 

このため、1日1回の服用でも効果がしっかりと持続するお薬です。一番服用しやすい時間帯を見つけて飲むようにしましょう。多くの場合が夕食後や就寝前になります。

エビリファイの添付文章では、統合失調症・躁症状・うつ病で用法が異なります。まとめると以下のようになります。

  • 統合失調症:6~12mgから開始して、1日6~24mgを維持量。1日1~2回投与で、最大量30mgまで。
  • 躁症状:24mgから開始して、1日12~24mgを維持量。1日1回投与で、最大量30mgまで。
  • うつ病:3mgから開始して、効果によって3mgずつ調整する。1日1回投与で、最大量15mgまで。

統合失調症では、多くの場合12mgから始めます。興奮や攻撃性が強い方では、すぐに24mgまで上げてしまいます。躁症状では、添付文章通り24mgから開始します。うつ病では、抗うつ剤で十分な効果がない時に使われます。少量で使うことで効果が増強されるので、1.5~3mgから使っていきます。

効果が安定するまでには2週間ほどかかります。効果時間が長い分、じっくりと効果を見ていく必要があります。

エビリファイは副作用が全体的に少なく、量を増やしても大きく変わらない傾向にあります。このため、飲み始めに問題がなければ、思い切って量を増やすことが多いです。症状が落ち着いてきてから少しずつ減量していくことで、適切な量を見つけていくお薬です。

エビリファイの効果について詳しく知りたい方は、
エビリファイ錠の効果と特徴
をお読みください。

 

3.抗精神病薬の半減期と作用時間の比較

エビリファイは、他の抗精神病薬と比較しても半減期が長く、1日1回の服用でしっかりと効果が持続します。

抗精神病薬の半減期を比較してみましょう。

抗精神病薬の半減期を一覧にして比較しました。

抗精神病薬の半減期をみることで、それぞれの薬の作用時間や効き方がある程度わかります。

半減期の長いエビリファイやエビリファイでは、1日1回の服用でも十分に効果が持続します。半減期の短いルーランやセロクエルでは、1日に2~3回の服用が必要になります。

ロナセンやリスパダールでも1日2~3回の服用となることが多いですが、どちらも1日1回でも効果が持続します。ロナセンでは、反復投与によって半減期が60時間以上に延びていきます。リスパダールでは、活性代謝産物が長く残って作用します。

薬を服用する人によっても、分解のしやすさには違いがあります。ですから、半減期だけではわからないこともあるのですが、薬の作用を考えていく目安になります。

抗精神病薬は、しっかりと飲み続けていくことが大切なお薬です。患者さんが実際に服用できなければ何の意味もありません。効果や副作用の特徴はもちろん大切ですが、服用のしやすさも意識しながらお薬を選んでいきます。

 

まとめ

半減期とは、薬を飲んでから血中濃度が半分になるまでの時間のことです。

エビリファイは最高血中濃度到達時間が3.6時間、半減期が61時間の非定型抗精神病薬です。統合失調症では6~12mgから開始してすぐに増量することが多いです。躁状態では12mgから、うつ状態では1.5~3mgから使われます。最大30mgまで使えます。

エビリファイは、他の抗精神病薬と比較しても半減期が長く、1日1回の服用でしっかりと効果が持続します。

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