フルタイドは、吸入ステロイドの単剤として軽症の喘息患者さんに使用されています。

フルタイドには、ディスカスとエアゾールの2種類のお薬があります。小児や高齢者、重度の喘息発作などがなければ、通常はフルタイドディスカスの方が使われます。

フルタイドディスカスは50・100・200の3種類あり、それぞれの喘息の症状によって量を使い分けて使用しています。効果が不十分ならば量を増やすのですが、そもそも正しく使えているのか？を確認する必要があります。

ちゃんとフルタイドディスカスが使えていないと、喘息の症状がうまくコントロールできなくなってしまってお薬の量がどんどん増えていきます。お薬代がもったいないだけでなく、身体にも負担になってしまいますね。

フルタイドディスカスをうまく使いこなすために、ここではフルタイドディスカスの正しい使い方を示していきます。

 

１．フルタイドデドディスカスとは？

フルタイドディスカスは50・100・200の3種類あり、主に喘息のコントロール薬として用いられます。

フルタイドは、吸入ステロイド薬のフルチカゾンプロピオン酸エステルの単剤の吸入薬です。

喘息のガイドラインでは、最も軽症な方は吸入ステロイドのみで加療することとなっています。その次はステロイドの吸入量を増やすとともに、

• β2刺激薬の吸入
• 抗ロイコトリエンの内服
• テオフィリンの内服

の併用を指示しています。この中で最も併用されるのが、β2刺激薬です。フルタイドにβ2刺激薬の合剤がアドエアとして発売されています。

成人の場合は現在、ほとんどアドエアなどの合剤でコントロールされていることが多いです。そのためフルタイドはどちらかというと、小児の方が使用頻度は多いでしょう。小児は内服薬でコントロールできなかった場合、吸入ステロイドが推奨されいます。それでもコントロールが悪い重症例のみ、β2刺激薬の上乗せを指示しています。

フルタイドディスカスの使い方は、1日2回朝と夕方に1回吸入します。フルタイドは症状あるなしに関わらず、毎日吸入することが大切なお薬です。

詳しく知りたい方は、「フルタイドディスカスの効果と特徴」をお読みください。

 

２．フルタイドディスカスを吸う前に気を付けることは？

目盛りが0になっていないか、しっかり確認してください。

吸入薬で最も大切なことは、まず残薬が残っているか確認することです。内服薬でしたら飲むはずのお薬がなくなるので、まず問題はありません。しかし吸入薬では、お薬がなくても吸った気になってしまいます。

フルタイドディスカスは粉っぽさがあるため、吸った感触はあるお薬です。しかし慌ててすっていたり、お年寄りの方などは吸った気になってしまう事が多々あります。

フルタイドの端っこに目盛り(カウンター)があり、あと何回吸えるのか分かる目安なります。5以下になると赤く表示されます。

しかしこのカウンターは、非常に文字が小さいです。気にしなければまず見落としてしまうでしょう。さらにフルタイドは、0になってもカバーが開けられ吸入ができてしまいます。必ず吸入する前に、カウンターをみる癖をつけることが大切です。

患者さんによっては、0のまま1か月近く使ってたけど気が付かなかった…なんて例も経験してます。どんなに優れた治療薬も、空っぽでは効果が出せないので気を付けましょう。

 

３．フルタイドの使い方とは？

フルタイドのカバーを開けて、レバーを押します。その後、早く深い呼吸でフルタイドを吸いましょう。

以下の手順で吸入します。

1. フルタイドのカバーを開けてマウスピースを出します。
2. フルタイドのレバーをカチッとなるまで押し込みます。(目盛りが一つ減ります。)
3. ゆっくりと息を吐いた後マウスピースを加えます。
4. 早く深いを意識して息を吸ってフルタイドを吸い込みます。
5. 息を数秒間止めてから吐き出します。
6. フルタイドのカバーを閉じます。
7. 口の中に残った粉を洗い流すためにうがいをします。

これに「カウンターの残薬を確認する」を加えると、8つの手順が必要になります。8つの手順を書くと凄い大変そうに感じますが、慣れてくると手間と感じずにフルタイドが吸入できるようになります。動画や資料でも確認してみましょう。

フルタイドディスカスの使い方（動画）
フルタイドディスカスの使い方資料（PDF）

※GSKの厚意により引用

フルタイドを朝・夕2回吸うことを日課にしていかなければいけません。フルタイドを吸ったり吸わなかったりすると、結果として吸わないのと変わらない結果になります。

 

４．フルタイドの使い方で気を付けることは？

最も気を付けなければならないことは、フルタイドの吸入口を下に傾けないことです。

それぞれの手順で気を付けることをお伝えしていきます。

2.フルタイドのレバーをカチッとなるまで押し込みます。

この時大切なのが、カチッとなるまでしっかりと最後まで押し切ることです。中途半端にレバーを押しても薬がセットされません。結果として、この後の手順が正しくても薬が吸えないことになります。

そして最も気を付けなければならないのが、フルタイドの吸入口を下に向けないことです。薬が吸入口から漏れ出てしまいます。

3．ゆっくりと息を吐いた後マウスピースを加えます。

喘息は閉そく性肺障害と言われる病気です。これは気管支が狭くなり、息を思いっきり吐いたり吸ったりできない病気です。ですから息をしっかり吐いて十分量の息が吸える状態にしないと、吸う力が足りなくてフルタイドが十分に気管支に入らない可能性があります。

せっかちな人は、マウスピースをくわえる前から息を吸い始めたりしています。焦って吸っても良いことは何もないので、必ず一息入れましょう。

4．早く深い呼吸を意識して息を吸ってフルタイドを吸い込みます。

ゆっくり深く吸って、肺の奥まで行き届かせたいと思う患者さんもいらっしゃるかもしれません。しかしフルタイドは、気管支の端まで届かせなければいけないお薬です。ゆっくりだと吸入力が弱くて、中枢の気道までしかフルタイドが届かない可能性があります。そのため早く吸うことを意識して、力強く肺の奥までフルタイドをいきわたらせてください。

ただし、なんでも限度があります。思いっきり吸入しすぎて喘息発作が出たり、失神した例が副作用として記載されています。そうならないくらいの力加減で、フルタイドを吸うようにしましょう。

またお年寄りの方は、マウスピースをくわえてから息を吐いてしまっている方が目につきます。必ず息を吐いてから、フルタイドをくわえましょう。そしてくわえたら、息を吸う以外の動作はしないようにしましょう。

5．息を数秒間止めてから吐き出します。

フルタイドは、気管支の奥まで行き届かせることが大切です。吸った瞬間にすぐに息を吐いてしまうと、気道の末梢に届く前に息を吐きだしてしまってフルタイドが吹き飛ばされてしまう可能性があります。必ず吸った後数秒間は、息を止めていましょう。

6．フルタイドのカバーを閉じます。

フルタイドのカバーを開けっぱなしにするとマウスピースが出っぱなしになるので、衛生面からよくありません。また、マウスピースが下に傾けられた状態で誤ってレバーが押されしまうと、マウスピースからフルタイドが漏れ出てしまいます。必ずカバーは閉めるようにしましょう。

7．フルタイドを吸った後にうがいをします。

これは副作用対策です。フルタイドが口の中に残ったままだと、声が枯れる嗄声や喉がイガイガすることがあります。さらに口の中にステロイドが残ったままだと、白苔などのカビがまれに生えてくることがあります。これらの副作用は、1回吸っただけだと起こらないことが多いです。日々の積み重ねでだんだんと出ていきます。

「フルタイドを吸ってうがいしなくても大丈夫だったからいいや」なんていわずに、必ず毎回うがいするようにしましょう。「副作用が出てもう薬が吸いたくない」となってしまうと、喘息のコントロールに苦労することになります。

 

５．フルタイドディスカスを吸入できるか心配な方は？

薬剤師さんに吸入指導をお願いしましょう。

フルタイドを初めて処方された方は、内服と違って戸惑うことも多いでしょう。このサイトも一つの参考になればよいのですが、どうしても実際にみてみないと伝わらない部分もあるかと思います。

フルタイドディスカスに限らず新しい吸入薬を処方された方は、遠慮せずに必ず薬剤師さんに吸入指導をしてもらいましょう。その場で自分の吸い方のどこが悪いかを指導してもらった方が間違えないで済みます。

またフルタイドディスカスは、ドライパウダーとして吸ったら粉っぽさがあります。さらにフルタイド自体甘みがついているため、吸った感覚はわかりやすい吸入薬です。吸入したつもりなのにこのような粉っぽさや甘みがなかったら、もう一度このページを確認してみてください。

1. 一番あり得るのがカウンターが0になって残薬がない可能性です。
2. レバーを最後まで押し切ってないのではないでしょうか？レバーの位置を確認してみてください。
3. 間違えて息を吐いてしまってなかったですか？もし吸入自体がうまくできないと感じたら、レバーを動かさずもう一度吸ってみましょう。

このページを読んでも原因がわからない人は、もう一度薬剤師さんに相談しに行きましょう。一番まずいのは使い方が良くわからないといってフルタイドの吸入を自己中断することです。

 

まとめ

フルタイドディスカスの使い方をもう一度確認してみましょう。

1. フルタイドのカウンターで0ではないか確認しましょう。
2. フルタイドのカバーを開けてマウスピースを出します。
3. フルタイドのレバーをカチッとなるまで押し込みます。(目盛りが一つ減ります。)
4. ゆっくりと息を吐いた後マウスピースを加えます。
5. 早く深いを意識して息を吸ってフルタイドを吸い込みます。
6. 息を数秒間止めてから吐き出します。
7. フルタイドのカバーを閉じます。
8. 口の中に残った粉を洗い流すためにうがいをします。