ディレグラの飲み合わせで注意するもの

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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ディレグラ配合錠は、2012年に発売されたアレグラ錠(フェキソフェナジン塩酸塩)と塩酸プソイドエフェドリンというα交感神経刺激薬が加わったお薬です。

アレグラで注意する必要があるものは、ディレグラでも注意が必要です。それに加えてディレグラでは、塩酸プソイドエフェドリンとの飲み合わせも考慮する必要があります。

ここでは、ディレグラの飲み合わせについてみていきましょう。よく質問される風邪薬やアルコールとの飲み合わせについてもお伝えしていきたいと思います。

 

1.ディレグラの添付文書での併用注意とは?

アレグラで併用注意とされていたのが、水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム製剤、エリスロマイシンです。塩酸プソイドエフェドリンが加わったことで、交感神経を抑制したり刺激したりする薬剤、セレギリン(選択的MAO-B阻害剤)にも注意が必要です。

アレグラの主成分であるフェキソフェナジン塩酸塩は、ディレグラでも同じ量が含まれています。そのためアレグラで併用注意されていた水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤、エリスロマイシンは、そのままディレグラでも注意されています。これらの薬剤はフェキソフェナジン塩酸塩と一緒に飲むことで、通常の血中濃度を増減させてしまうのです。

詳しく知りたい方は、「アレグラとの飲み合わせで注意するもの」をご覧ください。

 

さらにα交感神経刺激薬が加わったことで、併用に注意が必要なものが増えます。まず、交感神経を刺激したり遮断したりする薬は、基本的に一緒に飲むことで効果が増減することが予想されます。

α遮断薬のアポプロン錠(レセルピン)やアルドメット錠(メチルドパ)は、主に高血圧に使われます。交感神経の働きを抑制することで血管を拡張して、結果として血圧を下げます。

そのため作用が逆の塩酸プソイドエフェドリンを加えてしまうと、ディレグラだけでなく、アポプロン錠やアルドメット錠などの降圧の効果も薄れてしまう可能性があります。高血圧自体が、ディレグラでは慎重投与となっているので、降圧剤を使用してる人には使わないほうが無難です。

またα刺激薬の併用も、慎重投与になっております。同じ効果のあるものを違った目的で使用するのは、実はかなり難しいのです。単純に足し算とはなりません。思わぬ形でα刺激薬の効果が強すぎて、そのために副作用が生じることもあります。

α刺激薬としては救急治療などで昇圧剤として使用するネオシネジンや、起立性低血圧治療薬として血管を収縮して血圧を上昇させるメトリジン・リズミック・エホチールなどがあります。

詳しく知りたい方は、「抗アドレナリン(α1)作用とは?」をお読みください。

またαだけではなく、β交感神経を遮断したり、刺激したりする薬とも相性が悪いとも言われています。β遮断薬は主にアーチスト(カルベジロール)やメインテート(ビソプロロール)など降圧薬に使われます。

詳しく知りたい方は、「β遮断薬(降圧薬)のまとめ」をお読みください。

またβ刺激薬は、喘息の発作時としてサルタノールやメプチンエアー、さらに喘息のコントロールするためのアドエアやシムビコート(ステロイドとの合剤)などにも含まれています。

 

その他としては、選択的MAO-B阻害剤であるセレギリンも、塩酸プソイドエフェドリンと併用すると血中濃度が上昇すると言われています。セレギリンは、パーキンソン病など神経疾患に使われるお薬です。

上記の薬との併用はディレグラは禁忌ではないため、これらの薬を使用しているから絶対に使ってはいけないということはないです。しかし花粉症の薬は沢山あります。あえてディレグラにこだわる必要はないかもしれません。

 

2.ディレグラと風邪薬を一緒に飲んでよいの?

風邪薬の一部には抗ヒスタミン薬が含まれているため、注意が必要です。

風邪をひいたときに、鼻水が止まらずに苦しむこともあると思います。ですが実は、鼻水を止める作用がある薬は数少ないのです。その数少ない鼻炎症状を抑える効果があるのが、抗ヒスタミン薬です。

例えば感冒の時によく処方されるPL顆粒には、メチレンジサリチル酸プロメタジンという抗ヒスタミン薬が使用されています。他にも市販薬の風邪薬には、

  • ジフェニルピラリン塩酸塩
  • クレマスチンフマル酸塩
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩

といった抗ヒスタミン薬が加えられています。具体的に使用されている市販薬は、

  • プレコール
  • コルゲンコーワ
  • ルル
  • コンタック
  • ベンザブロック
  • エスタック

などがあります。しかしながらこの抗ヒスタミン薬は、ディレグラの主成分であるフェキソフェナジンとは違ったものです。人間の体は複雑ですので、違った抗ヒスタミン薬を一緒に摂取したからといって、効果や副作用が倍増するものではありません。

 

しかしながら、「ディレグラ内服中に風邪薬を飲んでも眠くならないか?」というのは、薬以外の要素が関係してくるので別問題です。

そもそも感冒薬に含まれている抗ヒスタミン薬で眠くなる人もいるでしょう。また重度の風邪をひいてる人は、体力が消耗されてそれだけで眠くなる人もいます。風邪薬は風邪の症状を和らげる効果はありますが、風邪を早く治すものではありません。

ディレグラと風邪薬の組み合わせで眠気を心配する人は、薬の飲み合わせの前に風邪の治療をしっかりと考えてみてください。

  • 風邪の症状が軽症であれば、感冒薬をそもそも飲む必要がない。
  • 風邪の症状が重症であれば、体力の消耗自体で眠気が出ることが予想されるので、ディレグラを飲む飲まないに関わらず安静にすること。

詳しく知りたい方は、「風邪を早く治す方法とは?」をお読みください。

 

3.ディレグラ内服中にアルコールはいいの?

アルコールを摂取することでディレグラの効果が落ちることはないですが、アルコールを摂取しすぎると花粉症自体が悪化することがあります。

花粉症シーズンは出会いや別れの多い季節で送迎会が多い季節です。飲み会が多い中、ディレグラを飲みながらお酒を飲んでもよいのか気になるところですね。

アルコールについては、添付文章には注意の記載がありません。だからといって、ディレグラ服用しているときに飲酒してよいのでしょうか?花粉症の治療という観点も含めて、ディレグラと飲酒について考えていきたいと思います。

あまりやられる方はいないと思いますが、ディレグラをお酒で服用するのは避けてください。ディレグラの主成分であるフェキソフェナジンは、エタノールやメタノールといったアルコールに溶けやすい性質があります。そのためお酒と一緒に摂取することで、早く血中濃度が上がってしまいます。頭痛や眠気の副作用がでたり、薬の持続しなくなってしまうことが予想されます。

一方で、ディレグラを内服後にアルコールを摂取したからといって効果が大きくかわることはありません。だからといって、アルコールを飲み過ぎると花粉症の症状が悪化する可能性があります。

お酒を飲みすぎると、花粉症のアレルギー症状が強くなることがあるのです。アルコールの血管拡張作用によって、目の充血やかゆみ、鼻づまりやかゆみが悪化することがあります。その結果としてディレグラの効果が感じなくなる可能性はありますので、アルコールの飲みすぎには注意が必要です。

 

まとめ

  • ディレグラの飲み合わせに注意するものは、水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム製剤、エリスロマイシン交感神経を抑制したり刺激したりする薬剤、セレギリン(選択的MAO-B阻害剤)など多岐にわたります。
  • 風邪薬自体にも抗ヒスタミン薬が含まれているため、眠くなることがあります。
  • アルコールでディレグラの効果が弱まることは少ないですが、飲みすぎると花粉症の症状自体が悪化します。

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