風邪を早く治す方法とは?
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
元住吉こころみクリニック
寒い季節になると、風邪をひく方が増えてくるかとおもいます。
子供のころは風邪と台風は神様のお恵みとすら思いましたが、社会人になるといいことありません。仕事は大変になってしまいますし、同僚にも迷惑をかけてしまいます。多少の風邪ならば休めない方も多いでしょう。
風邪をひいてしまったときは、みなさんどのように過ごしていますか?
お薬をのんでいるのになかなか治らないということがありませんか?
世間で信じられていることには、根拠のないこともあります。風邪を1日でも早く治すためにはどのようにしたらよいのか、ご紹介していきたいと思います。
1.風邪を早く治すためのポイント
免疫を高めることが、風邪を早く治す近道です。
風邪をひくと、頭が痛くなり、咳や淡が出て、鼻水がでます。体温もあがってしまいますし、関節が痛くなることもあります。上気道とよばれる口・鼻・気道にウイルスや細菌がくっついて感染している状態を風邪と呼んでいます。
風邪の原因には、さまざまなウイルスや細菌があります。およそ8割の原因がウイルスで、その中でもライノウイルスが一般的な風邪として多いです。細菌による風邪は多くて2割ほどになります。
ウイルスは低温で乾燥した環境を好みます。このため、冬場にはウイルス性の風邪がはやるのです。抗生物質は細菌にしか効かないので、ウイルスには効果が期待できません。細菌性を考えなければいけないのは、以下のような時です。
- 鼻や淡に黄色や緑色などの色がついている
- 喉の奥に白っぽいものがついていて痛い
- 糖尿病などで免疫が落ちている
- 高齢者で咳の症状が強い
- 39℃以上の高熱
普通の健康な方が風邪をひいたというと、そのほとんどがウイルス性です。ウイルス性の場合に重要なことは、「免疫を上げること」です。お薬でやっつけることができないので、自分自身の免疫細胞でウイルスと戦わなくてはいけません。ですから早く風邪を治すためのポイントは、いかにして免疫を高めるのかにつきるのです。
ただしインフルエンザの流行の時期は、発熱して半日たったら病院に受診するようにしましょう。発熱してから半日たたなければ、インフルエンザの診断がうまくできないためです。インフルエンザにはタミフル・リレンザ・イナビルなどのお薬がありますし、早ければ早いほど効果がよいです。
2.免疫を高めるためには?
- 身体を暖かくする
- 水分をしっかりととる
- 早めに漢方薬を飲む
- よく睡眠をとる
免疫を高めるために大切なことは、体温をしっかりと上げることです。寒気がしたり、身体にふるえがくるということは、必要な体温まで上げようとする身体の働きです。できるだけ身体を暖かくして体温をあげてしまったほうが、免疫が活発になります。お風呂に関しても、長時間では体力や水分が奪われてしまいますが、短時間では入った方がよいとすら言われてきています。
体温が上がると汗が出てきてしまいますので、水分はしっかりととるようにしましょう。水分をたくさんとると、痰や鼻水が出やすくなります。ウイルスは上気道にいるので、痰や鼻水はしっかりと出してしまったほうがよいです。誤解されていることが多いのですが、汗をいっぱいかいたり、おしっこがたくさんでるとウイルスが出ていくわけではありません。
また、風邪の引き初めには身体にあった漢方薬も有効です。強さの順で言うと、麻黄湯・葛根湯・桂枝湯がよく使われます。いずれも新陳代謝と免疫を高める効果があります。漢方薬の風邪薬は、身体本来の力を高めるという発想をしています。
最後に、睡眠をしっかりととることも大切です。どうしても風邪の時は栄養が取りにくくなります。寝ている間はエネルギー消費も抑えられます。暖かくして、睡眠をよくとるようにしましょう。
3.風邪薬は効果があるの?
- 抗生物質は、細菌性の時だけ
- 抗インフルエンザ薬は、インフルエンザとわかれば早めに
- 解熱鎮痛剤・総合感冒薬・咳止め・鼻炎止めは、本当につらい時だけ
- 去痰薬や喉の痛みどめは、症状があれば使って問題なし
病院にいくと、抗生物質と解熱鎮痛剤と総合感冒薬を処方されることが多いかと思います。それ以外にも、症状にあわせていろいろなお薬がだされることもあるでしょう。市販でも解熱鎮痛剤や総合感冒薬が発売されています。
風邪をひいたときに本当に必要なお薬はどのようなものがあるでしょうか?
まずは抗生物質からみていきましょう。抗生物質は細菌性でないと意味がありません。風邪の原因の多くはウイルス性ですので、抗生物質を服用してもまったく意味がないのです。本来は、細菌性が疑わしい方や、免疫が落ちていて細菌性の感染が怖い方にだけしか服用するべきではありません。
インフルエンザに限っては、抗インフルエンザ薬があります。このお薬は、感染した細胞から感染が広がっていくのを防いでくれます。ですから、インフルエンザとわかったら早めに服用した方がよいお薬です。
解熱鎮痛剤はどうでしょうか?あまりにも熱が高く、食時もままならないような時は服用した方がトータルでみてよいでしょう。ですが、免疫を高めるために体温をあげているのに、それを無理にお薬で下げてしまっているのです。本当につらい時だけ使うお薬でしょう。
総合感冒薬としては、よくPL顆粒が処方されます。これにも解熱鎮痛剤成分がはいっていますので、本当につらい時だけ使うべきです。眠気の強い成分が含まれているので、風邪の症状で夜眠りにつけない方はよいでしょう。
これらのお薬をダラダラと使い続けてしまうと、風邪の治りが遅くなる原因となってしまいます。
その他にもいろいろなお薬が対処療法で処方されます。注意した方がよいものは、咳止め(メジコンやフスコデなど)と鼻炎止め(ジルテックなど)です。淡や鼻水は出してしまった方がよいものです。寝れなくなるなどのデメリットがある場合に限った方がよいです。
喉の炎症を抑える喉の痛みどめ(トランサミン)や、痰のキレを良くする去痰薬(ムコダイン)などはデメリットは少ないと思います。
4.ビタミンは風邪に効くの?
ビタミンの即効性は示されていません。予防効果も限られています。
インターネットなどをみると、「風邪をひいたらたくさんビタミンCを取りなさい」ということが書いてあります。ビタミンCは過剰に摂取しても水溶性ビタミンなのでおしっこで流されていきますから、大きな問題にはなりません。ですが、風邪をひいてから大量にとっても残念ながら効果はあまり期待できません。
ビタミンCの効果は、どちらかというと予防効果です。とはいっても予防効果もはっきりとしたものではなく、一部の方に有効性がみられたという報告があるにすぎません。むしろ、否定的な研究の報告もあります。
ですから、ビタミンCが明らかに欠乏している方を除いては、風邪の予防や回復のためにビタミンをとる必要はないと思われます。
5.風邪を予防するためには?
手洗い・うがいが基本です。口呼吸を鼻呼吸に変えたり、部屋の湿度を上げることも有効です。
風邪を予防するためには、どのようにしていけばよいのでしょうか?世間ではいろいろなことがいわれていますが、風邪の予防の一番の基本では、なんといっても「手洗い・うがい」です。小さいころから繰り返しいわれてきたことが、最大の予防になります。
手洗い・うがいといっても、やり方を誤解されている方もいらっしゃいます。この際ですから、正しい手洗い・うがいの方法を確認しておきましょう。
それ以外にも、部屋の湿度を上げたり、口呼吸の方は鼻呼吸を意識することも有効です。
詳しく知りたい方は、
風邪の予防に有効な5つの方法
をお読みください。
まとめ
風邪を早く治すには、免疫を高めることが、風邪を早く治す近道です。
免疫を高めるためには、以下の4つの方法があります。
- 身体を暖かくする
- 水分をしっかりととる
- 早めに漢方薬を飲む
- よく睡眠をとる
風邪を早く治すための風邪薬の使い方は、以下の通りです。
- 抗生物質は、細菌性の時だけ
- 抗インフルエンザ薬は、インフルエンザとわかれば早めに
- 解熱鎮痛剤・総合感冒薬・咳止め・鼻炎止めは、本当につらい時だけ
- 去痰薬や喉の痛みどめは、症状があれば使って問題なし
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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