アレグラとの飲み合わせで注意するもの

元住吉 こころみクリニック
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2017年4月より、川崎市の元住吉にてクリニックを開院しました。内科医と精神科医が協力して診療を行っています。
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「花粉症の薬と言えば?」と問われたら、おそらく一番名前が挙がるのがアレグラ錠かと思います。

花粉症の薬としては、2016年では売り上げナンバーワンを誇っているお薬です。2012年からは、アレグラEXとして市販薬としても売られています。

多くの人が花粉症の時期にアレグラを内服していますが、他のお薬やアルコールと併用して大丈夫?と疑問に思う人も多いかと思います。

ここでは、第二世代抗ヒスタミン薬アレグラの飲み合わせで注意するものは何か、お伝えしていきたいと思います。

 

1.アレグラの添付文書に併用注意となっているものは?

エリスロマイシンのみ併用注意と記載されています。

アレグラの添付文書によると、

「エリスロマイシンをアレグラと併用することで、アレグラの血中濃度を高めるため使用に注意する。」

とあります。

エリスロマイシン(商品名:エリスロシン)は抗生物質の一つです。使用用途としては、

  1. 呼吸器の感染症でマイコプラズマ、クラミジアを疑った場合
  2. 性感染症でクラミジア、梅毒、淋病を疑った場合
  3. ペニシリンアレルギーなどで、一部の抗生剤が使用できない場合

で登場するお薬です。エリスロマイシンは、1錠200mgを4回から6回に1日内服します。このお薬を内服することで、アレグラの血中濃度が上昇するため注意が必要になります。エリスロマイシン1200mgと併用すると、アレグラの血中濃度が倍になったという報告があります。

「血中濃度が上昇するならいいじゃないか」と思う人もいるかもしれません。血中濃度が上がると脳への抗ヒスタミン到達濃度が上昇するため、眠気が一気に来ることがあります。アレグラは眠気が少ない抗ヒスタミン薬ですが、効果が増強されて副作用が強く表れることがあります。できるだけ併用しないようにしましょう。

このためには、2つのことが重要です。

  • 病院で受診するときにアレグラを服用していることを伝える
  • かかりつけの薬局を決める(お薬手帳を必ず持っていく)

医師がアレグラとエリスロマイシンの飲み合わせが悪いことを知らなくて処方しても、かかりつけ薬局の方でチェックすることができます。気づかずに処方してしまって、薬局さんからの問い合わせで気づけることもよくあります。

 

2.アレグラの吸収を抑制するものは?

アルミニウムやマグネシウムと一緒にアレグラを内服すると、アレグラの吸収が阻害されます。

アレグラと一緒に内服するもので注意するものとして、以下の3つがあげられます。

  • アルミニウム
  • マグネシウム
  • 炭酸水素ナトリウム

これらはアレグラと一緒に内服することで、吸収を抑制すると言われています。一部の報告では、一緒に内服することで40%ほどアレグラの吸収が妨げられるとされています。

アルミニウムは胃酸を抑える作用が強いため、アルミニウム単体で胃薬として使われています。多くの胃薬にアルミニウムの成分が含まれていることもあります。

マグネシウムは、下剤の第一選択として多く使われます。副作用も少なく、便を柔らかくする程度の効果ですので、使いやすいためにずっと処方されている人もいます。

炭酸水素ナトリウムは、世間的には重曹として知られていて、歯ブラシや洗剤に使われることが多いです。炭酸水素ナトリウムが胃酸と合わさると気泡を発生し、これを胃薬として使われることが多いです。

胃薬や下剤として使われているため、結構多くの方が服用しています。市販薬の痛み止めなどでは、副作用により胃腸障害が生じることがあります。このため成分として、胃薬を配合していることがあります。成分をみて確認してみましょう。

これらのお薬は、アレグラと一緒に内服することでアレグラの吸収を抑えてしまいますが、アレグラの効果自体を減弱させるものではありません。そのためこれらの成分とアレグラは2時間程度内服をずらすようにすれば併用は可能です。

 

3.アレグラと風邪薬を一緒に飲んでよいの?

風邪薬の一部には抗ヒスタミン薬が含まれているため、注意が必要です。

風邪をひいたときに鼻水がでて苦しむこともあると思います。ですが実は、鼻水を止める作用がある薬は数少ないのです。鼻炎症状を抑える効果があるのが抗ヒスタミン薬です。

例えば感冒の時多く出されるPL顆粒には、メチレンジサリチル酸プロメタジンという抗ヒスタミン薬が使用されています。他にも市販薬の風邪薬には、

  • ジフェニルピラリン塩酸塩
  • クレマスチンフマル酸塩
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩

といった抗ヒスタミン薬が加えられています。具体的に使用されている市販薬は、

  • プレコール
  • コルゲンコーワ
  • ルル
  • コンタック
  • ベンザブロック
  • エスタック

などがあります。しかしながらこの抗ヒスタミン薬は、アレグラの主成分であるフェキソフェナジンとは違ったものです。人間の体は複雑ですので、違った抗ヒスタミン薬を一緒に摂取したからといって、効果や副作用が倍増するものではありません。

しかしながら、「アレグラ内服中に風邪薬を飲んでも眠くならないか?」というのは、薬以外の要素が関係してくるので別問題です。

そもそも感冒薬に含まれている抗ヒスタミン薬で眠くなる人もいるでしょう。また重度の風邪をひいてる人は、体力が消耗されてそれだけで眠くなる人もいます。風邪薬は風邪の症状を和らげる効果はありますが、風邪を早く治すものではありません。

アレグラと風邪薬の組み合わせで眠気を心配する人は、薬の飲み合わせの前に風邪の治療をしっかりと考えてみてください。

  • 風邪の症状が軽症であれば、感冒薬をそもそも飲む必要がない。
  • 風邪の症状が重症であれば、体力の消耗自体で眠気が出ることが予想されるので、アレグラを飲む飲まないに関わらず安静にすること。

詳しく知りたい方は、「風邪を早く治す方法とは?」をお読みください。

 

4.アレグラ内服中にアルコールはいいの?

アルコールを摂取することでアレグラの効果が落ちることはないですが、アルコールを摂取しすぎると花粉症自体が悪化することがあります。

花粉症シーズンは出会いや別れの多い季節で送迎会が多い季節です。飲み会が多い中、アレグラを飲みながらお酒を飲んでもよいのか気になるところですね。

アルコールについては、添付文章には注意の記載がありません。だからといって、アレグラ服用しているときに飲酒してよいのでしょうか?花粉症の治療という観点も含めて、アレグラと飲酒について考えていきたいと思います。

あまりやられる方はいないと思いますが、アレグラをお酒で服用するのは避けてください。アレグラの主成分であるフェキソフェナジンは、エタノールやメタノールといったアルコールに溶けやすい性質があります。そのためお酒と一緒に摂取することで、早く血中濃度が上がってしまいます。頭痛や眠気の副作用がでたり、薬の持続しなくなってしまうことが予想されます。

一方で、アレグラを内服後にアルコールを摂取したからといって効果が大きくかわることはありません。だからといって、アルコールを飲み過ぎると花粉症の症状が悪化する可能性があります。

お酒を飲みすぎると、花粉症のアレルギー症状が強くなることがあるのです。アルコールの血管拡張作用によって、目の充血やかゆみ、鼻づまりやかゆみが悪化することがあります。その結果としてアレグラの効果が感じなくなる可能性はありますので、アルコールの飲みすぎには注意が必要です。

 

まとめ

  • アレグラの添付文書にはエリスロマイシンとの併用が注意として書かれています。
  • アレグラはマグネシウムやアルミニウムと一緒に内服すると吸収が抑えられます。
  • 風邪薬自体にも抗ヒスタミン薬が含まれているため、眠くなることがあります。
  • アルコールでアレグラの効果が弱まることは少ないですが、飲みすぎると花粉症の症状自体が悪化します。

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